北朝鮮が初の核実験、2発目準備か
北朝鮮は9日、国営朝鮮中央通信を通じ、初の地下核実験に成功したと発表した。北朝鮮北東部を震源とする地震波が観測された。7月の弾道ミサイル発射を上回る強硬措置で、国連で経済制裁論議が高まるのは必至。昨年11月以来中断している6カ国協議は崩壊の恐れが強まった。韓国の国家情報院によると、実験が行われた場所近くで人や車両の不審な動きがあり、追加実験が行われる可能性がある。
日本の気象庁は北朝鮮北東部で午前10時35分ごろ、マグニチュード(M)4・9の地震を観測した。韓国の情報機関、国家情報院は、核実験の場所は咸鏡北道金策市上坪里付近と推定している。
爆発規模については情報が錯綜(さくそう)しており、韓国政府関係者は、中国から10キロトン程度と知らされたことを明らかにした。ロシアのイワノフ副首相兼国防相は5~15キロトン、韓国の地質資源研究院は最低で0・8キロトン以上としている。米CNNテレビは、米情報当局高官の話として「1キロトン以下の爆発で、それが核爆発なのかどうか結論が得られるには72時間かかる」と伝えた。米FOXテレビも爆発規模は小さく、北朝鮮が目標として想定した結果に至っていないとの米当局者の見方を伝えた。
朝鮮中央通信は、核実験による放射能漏れはないとしている。プルトニウム型原爆とみられる。ロイター通信は米当局者の話として、中国は核実験を20分前に知らされ、直ちに日米韓3カ国に通知したと報じた。
朝鮮労働党創建日を10日に控え、実験はこれに合わせたとみられるが、11月の米議会中間選挙をにらみ、ブッシュ政権を揺さぶろうとした可能性も高い。
北京発のロイター電によると、北朝鮮関係筋は「北朝鮮の国力誇示と、金正日体制の転換を狙う米国の脅威を押さえ込むこと」が目的と述べ、米国に対し(1)経済制裁の解除(2)北朝鮮が核を平和利用する権利の尊重-などを要求。今回の核実験によって「米国も北朝鮮を過小評価できなくなった」とアピールした。金正日総書記(64)は実験の数日前「(聖地)白頭山を揺らしすぎないこと」との指令を出したという。
経済制裁をはじめ米国主導による包囲網強化に危機感を強めた北朝鮮が「核保有国」であることを誇示して米国を直接交渉に引き出し、金正日体制の維持を図る狙いとみられるが、米国が応じる可能性は低い。国連安全保障理事会で経済制裁を求める声が強まるのは必至で、国際的な孤立をますます深めることになった。
韓国の聯合ニュースは同日、国家情報院の金昇圭院長が非公開で開かれた国会情報委員会で、核実験が行われたとされる金策市に近い吉州郡豊渓里で30~40人の人間や車両の異常な動きがあると報告したと伝えた。
核爆発を伴う核実験は98年5月にインド、パキスタンが行って以来で、公表したのは8カ国目。核を持たないイラクの旧フセイン政権が崩壊していくのを目の当たりにした北朝鮮が、米国と対等に渡り合おうと、核で体制維持を目指す危険なかけに出た。
[2006年10月10日8時48分 紙面から]