仙台城ガイドボランティア会のブログをご覧頂きまして、ありがとうございます。m(_ _)m
我らが伊達政宗様がご存命のときには望めなかった天下人。
しかしながら、350年の時を超えて天下を獲ったという紛れもない事実があるのです。
それがNHK大河ドラマの年間平均視聴率。
1987(昭和62)年に放送された第25作目の大河ドラマ「独眼竜政宗」において、年間平均視聴率39.7%、瞬間最高視聴率は最終回の47.8%という金字塔を打ち立てました。
第21作目の滝田栄さんが演じた「徳川家康」以降、第22作目の「山河燃ゆ」、第23作目の「春の波涛」、第24作目の「いのち」と昭和や明治を舞台にした現代劇が続き、女性が主人公の作品が続いたこともあり、戦国モノが渇望されていたという追い風もあったのかもしれませんが、ストーリー、キャスト、そしてなにより政宗様の魅力に満ちた生き様が人々の心を捉えたと言っても過言ではないでしょう。
実はこの記録を打ち立てた要因が3つあることをご存知でしたでしょうか?
1つ目 「中央ではなく、地方にフォーカスしたかった」
当時、NHKの制作担当だった中村氏は朝ドラ【澪つくし】(1985年前期)で脚本をジェームス三木氏に依頼して、最高視聴率55.3%を記録していました。(ちなみに、独眼竜政宗の脚本もジェームス三木氏)
NHK大河ドラマで久しぶりの時代劇を託された中村氏は、自身がNHK札幌放送局時代に中央と地方の関係にふれたこと、これまでのNHK大河ドラマを振り返ると関東より北の題材が少なかったことなどから、東北の戦国武将を選んだのだそうです。
2つ目 「映画ゴッドファーザーを参考にしていた」
複雑な家庭環境で育った伊達政宗様の生涯をとらえるにあたり、実はアメリカの映画【ゴッドファーザー】を参考にしていたのです。主役の伊達政宗様と父・伊達輝宗の関係を、アル・パチーノが演じたマイケル・コルレオーネとその父でマーロン・ブランドが演じたヴィトー・“ドン”・コルレオーネとみなしたのだそうです。
3つ目 「オープニング解説のスタートはここから」
「独眼竜政宗」の視聴率1位への援護射撃として、一役買った出来事として大河ドラマ恒例のオープニングタイトル前にある解説が始まったのは、「独眼竜政宗」からなのです。
そう言われてみると、オープニングの解説があるのとないのとでは観る人のドラマへの興味・関心度やモチベーションが全然違うような気がします。信長・秀吉・家康といった上方の有名どころの三英傑に比べれば、当時としてはマイナーな奥州の話な分けですから、そもそも解説がなければ予備知識のないビギナー視聴者には何がなんだか分かりません。そういう意味では、政宗様が主役となる作品の登場で大河ドラマにイノベーションが起きたのかもしれません。
歴代の年間平均視聴率として天下を獲った政宗様ですが、実は瞬間最高視聴率ではさらに上を行く作品がありました。第2作目の「赤穂浪士」の吉良邸討ち入りの回がなんと53.0%という
二人に一人が観たかもしれない驚異的な数字。もちろん、昭和39年の作品ですから今と比べれば、TVがお茶の間の娯楽の中心で、ビデオもないインターネットもない時代ですから単純比較は出来ませんが、それでも凄い数字です。
そして、瞬間最高視聴率2位は第26作目の「武田信玄」の49.2%で「独眼竜政宗」は3位に甘んじているのです。4位の「元禄太平記」が41.8%ですから、クライマックスシリーズ進出を掛けて3位争いをしていた楽天イーグルスに通じるものがあるんですかね。
今では、NHKオンデマンドやNHKプラスによるネットによる動画視聴だったり、録画による後視聴だったりと、視聴率という数字だけでは単純に評価が出来ない時代になりましたが、今も昔も知らない時代の知らなかったことを分かりやすく、興味深く伝えてくれる大河ドラマには、これから先もさらなる進化を遂げて、私たちを楽しませていって欲しいものです。