だぁれも知らない仙台城三の丸(東丸)の見逃しそうなレアスポット | 「ガイドが教える 仙台城を10倍楽しむ方法!」

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仙台城のボランティアガイドが、仙台城の魅力や伊達政宗のトリビアな話を出し惜しみせず、ボリューム満載で語り尽くしまーす。(^_^)

仙台観光をお考えの方は、旅支度の前に予習としてご一読を頂ければ、仙台城が10倍楽しめるかも。


仙台城ガイドボランティア会のブログをご覧頂きまして、ありがとうございます。m(_ _)m

 

日本には星の数ほど観光地の有名な旧所・名跡はあります。

 

がしかし、ネットで検索しても観光ガイドブックを見ても、一般的に紹介される内容はどれも同じようなものばかりで、「これ知ってる人しか知らない!」とか「これって超レアなのに」といったいわゆる「トリビアネタ」にはなかなかたどり着けなかったりするものです。

 

仙台城にも実はそうした「普通の人は訪れない」、「気が付かない」、「素通りして見逃す」ような隠れスポットが存在します。

 

今日は仙台城の本丸ではなく(本丸はボランティアガイドさんに聞いて下さい)現在仙台市博物館や仙台緑彩館のある三の丸(東丸)周辺にある、普通だったら素通りするようなところに設置されている貴重なものにスポットを当ててみました。

 

これから仙台城を訪れる予定の方、地元に住んでいるけど知らなかったという方はぜひとも参考にして頂いて、「あーこれがブログで言っていた例のアレね」と確認に足を運んでみてください。

 

それでは、トリビア発見ツアーのはじまり、はじまり~。(^^)

 

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仙台市博物館の入口を正面に見て左側の花壇に埋もれてしまっていますが、なにやらゴツい石が1つと小ぶりな石が1つ。白い札を拡大してよーく見てください。仙台城の石垣と書かれていますね。



実はこれ、1998(平成10)年から2004(平成16)年まで行われた青葉山公園仙台城石垣修復工事の際に出てきた左が1期の石垣(政宗様築城当時)の石で、右側が3期(4代綱村公当時)の石垣の石なのです。

 

左の石がゴツくて大きい。つまり、野面積みで使用された石で石切り場から切り出した石をほとんど加工せずに石垣に利用したということがよく分かります。政宗様が仙台城を築城した当時の石工さんの加工技術はそれほど高くなく、石と石を積んだときに一番重心が安定するポイントをわかった熟練の石工さんでないと、積めないというものでした。

一方右側の小ぶりな石はきちんと面取りがされていて、石がまるでブロックのようにどの石も同じような大きさや形に加工されていました。熟練工でなくとも扱いやすい石のサイズに加工して、積み上げていく切石積みに石工さんの加工技術もレベルアップしていったということが理解できるひじょうに良いサンプルがこんなところに隠れています。

 

続いてこちらは、なにやら石のようなものが2つと木が2本、いったいこれはなんなの?

この向かい側には中国文学の父で思想家でもある魯迅(1881-1936)の碑があります

青年時代の1年半を医学生として仙台市で過ごした。祖国の危機を知り、民族の魂を救うことが急務であるとして、この地で医学から文学へと志を転換した近代的な中国の功労者、魯迅。

 

この魯迅に対する敬愛の念は中国の方々は並々ならぬものがありまして、現在の中国共産党の幹部の方から一般観光客の方が仙台に来たら必ず訪れるという場所でもあるのです。

 

さきほどの石碑は中国の江沢民国家主席が仙台に訪れた際に、魯迅の碑にお立ち寄りになり、その記念として奥様と梅の木と松の木を植樹していったという日中友好関係の記念すべき場所なのです。

まあ、この2枚の写真だけじゃあ、ちょっと分かりませんよね。中国関係の知人を案内する際はぜひともお連れしてあげていただきたい場所です。

 

続いてこの石碑、古くて字もよ読めません。

 

誰もが素通りするこの石碑。場所は脇櫓を左折してちょっと歩いたところにあります。幕末の倒幕ムード一色の中、仙台藩内では勤王(倒幕)派と佐幕派が対立し喧々諤々の議論が行われていた頃、一触即発の緊張状態に今で言う「自爆テロ」のようなものを仕掛けた人物がおりました。

 

それが、仙台藩士・若生文十郎景祐。彼を含めた複数の藩士が強硬姿勢を崩さない倒幕派の世良修蔵を襲撃し、斬首してしまいます。結果、手切れとなった仙台藩は奥羽越列藩同盟結成からの戊辰戦争で最終的には賊軍として降伏してしまいます。

 

新政府軍こと長州藩にとっては、敵のような若生さんですが、地元にとってはヒール役を倒したということで一時的に英雄扱いをされたんだそうで、この石碑は若生さんの功績をたたえたものなのだそうです。「幕末推し」の歴史好きの方はぜひとも、手を合わせてくださいませ。

 

そして、最後に紹介するのが、またまたゴツい大きな石。これって、ベンチかな?

 

ちなみに、仙台国際センターの道路を挟んだ向かい側の仙台緑彩館を正面に見た左側にひっそりとあります。

 

実はこれも、先に紹介した石垣修復工事のときに掘り出されて使えなかった石垣の石のうちの1つなのであります。切石積みの3期の石垣になりますね。

 

幅1メートル、長さ2メートルこれで重さがどのぐらいあると思いますか?

実に5トンあります。クレーンのない時代、移動するのはさぞ大変だったことでしょう。

 

よーく見ると、奥の端っこの方が欠けていますよね。なので、再利用出来なかったんです。

 

カップルのみなさんはぜひともこの「石垣ベンチ」に座ってみて、300年前のノスタルジーな気分に浸ってみてください。なんだったら、「待ち合わせは、石垣ベンチね♡」なぁんて二人だけの合言葉にしたら、もう二人は恋愛ドラマの立派な主人公です。青葉山の中心でしっかりと愛を叫んで頂きたい。


だって石=LOVEはそう簡単に壊れませんから。

 

以上、駆け足で仙台城三の丸(東丸)周辺のレアスポットを紹介してまいりました。

 

石垣の石ですが、3期だと300年前、1期だと400年前。そんな昔の秘めたパワーをもらいに足を運んでみるのも悪くはないかもしれませんよ。(^^)