無肥料栽培の土壌環境が3ヵ月で出来てしまうという、魔法の様な菌ちゃん農法にユーチューブで出会って一年と少し経った。その間に元気野菜の収穫で凄さを実感し、通信講座も受けて細かい手順も理解が進んで来た。

私がハマっている菌ちゃん農法は畝を高くして、肥料・農薬を一切使わないのだが、実は菌ちゃん農法には、無肥料栽培の他に生ごみを堆肥化して使う有機栽培の菌ちゃん農法もあるので、ややこしくて混乱しがちではある。なので開発者の吉田俊道先生は、二つは明確に区別して栽培する様にと注意喚起されている。

 

無肥料の菌ちゃん農法では50㎝の高い畝の上に糸状菌のエサを載せるのだが、適しているのは、丸太・枯れ枝・竹・枯葉・硬い雑草(セイタカアワダチソウ等)・籾殻等乾燥した硬い物に限られている。有機栽培で活躍する乳酸菌・酵母菌・麴菌等の発酵を促進する微生物にとっては、これ等の硬いエサは美味しくないので食べ難く、糸状菌だけが食べる事になるので、無肥料栽培では糸状菌が増えて優勢となるというメカニズムらしい。一方窒素を多く含む有機肥料を与えてしまうと、発酵を促進する菌達が増えてしまい、其処では糸状菌の出番が無くなるので逆効果になるそうだ。つまり堆肥・米糠・野菜の残渣・コンポスト等肥料として効く物は無肥料菌ちゃん農法のエサには不適切という訳だ。

 

1年前のユーチューブで「菌ちゃん農法」で検索した時は、吉田俊道先生が登場して高畝の無肥料栽培を解説するビデオが沢山出て来たのだが、最近のユ-チューブは様変わりで色んな人が高畝の菌ちゃん農法を紹介する様になって居り、菌ちゃん農法が普及しつつある勢いを感じる。

 

吉田先生は菌ちゃん農法が広まる事を優先して、「菌ちゃん農法」や「菌ちゃん野菜」という呼び名を使う事に関してオープンな姿勢を取られているが、最近のビデオの畝作りの手順を見ていると、何だか吉田先生直伝の方法とは違うやり方が結構多く、気になる処ではある。

 

菌ちゃん農法を紹介するユーチューブではエサとして丸太・枯れ枝・枯葉等に加えて有機栽培用の堆肥・米糠・残渣・柔らかい雑草等を畝に載せているビデオも多く、どうやら無肥料菌ちゃん農法と有機菌ちゃん農法を混同している感じで、エサの置き場所も基本手順である畝上部だけでなく畝の底部からも置いたりしている。

狙いの相反するエサを混ぜてしまった時点で、吉田先生の菌ちゃん農法ではなくなるのだが、それでも「菌ちゃん農法」と称している。ちゃんと育てば良いのだが、それらのビデオを見て真似した人達の野菜が上手く育たないと、「菌ちゃん農法はダメだ」等と変な噂が立ってしまうと残念だ。

 

無肥料の菌ちゃん農法自体は発展途上であり、手順も少しづつ変わって来てはいるが、基本となる処は一貫しているので、自己流にアレンジしてビデオ投稿するユーチューバーの人達は、せめて「菌ちゃんっぽいオリジナル農法」とでも称して区別して貰いたいものだ。

 

因みに、菌ちゃん農法はオープンな姿勢だが、同じ無肥料無農薬栽培の協生農法は登録商標として厳格に管理している点は興味深い。