先日、雷被害に悩まれご相談いただいたエンドユーザー様から、
『答えを教えてくれとは言わないが、一般住宅における雷対策にはどんなものがあるのか、一部の学者さんは知っていても、素人には全くイメージが湧かない。一部分でもいいからブログに記載して欲しい』というご要望をいただいたため、一般住宅雷対策における、一部の工法について記載させていただきます。
(入念な事前検討が必要です。どこでも使用できる工法ではございません。)
先日、一般住宅において雷対策工事を行いました。
工事を行った地域での木造低層一般住宅の落雷対策は必要であり、
落雷は全国平均の7倍、度重なる機器故障に悩まされていた模様です。
(地域名は記載いたしません。)
計算した結果、誘導雷による居住者の感電事故防止を第一とし、
あわせて家電製品の故障防止を目的、
一般住宅を確実に安全な避難場所にする必要があると判断したため工事を行いました。
現場写真・図面資料・調査により計算した結果
変圧器の2次側保安接地インピーダンスが低い、また大地抵抗も上述の通り低いことから、雷サージによって生じる相間の電位差を速やかに抑え、住宅内にサージ電流そのものを極力侵入させず、変圧器の2次側保安接地に流す方法、すなわち相間中和法が最善策と判断しました。
つまり、今回はトランケル(避雷器)を使用し、
相間の電圧差をなくし(同電圧)、異常電流を生じさせない工事です。
今回の場合、大きな雷サージ電流を処理するものとはならないため、小型の避雷器(SPD)で十分な効果を得ることが出来ます。
今回の工事によって想定される雷被害抑制効果は
①人的被害防止効果(家電製品からの出火を含む)
②物的被害防止効果(家電製品被害の抑制効果)
今回使用した設備
給電している変圧器のタイプや周囲の環境等を計算に盛り込み、計算した結果、
UL認証SPD SINGLE PHASE用SPD(トランケル)が最適であると判断しました。
トランケルは安全に壊れて出火しないSPD、
半透明プラボックスの中に入れ、
交換サイン(スロットが赤くなります)が見えるよう仕上げました。
このSPDを相間中和法に適用した場合、ブレーカも保護します。
つまり、雷サージによってアンペアブレーカやELBが切になっても(概ね100万分の1の確率ですが、これらが故障した場合を除く。ただしこのときにはブレーカが割れるので、目視ですぐにわかります。)安心して入にすることが出来ます。
ただし、今回の工法を適用できたのは、事前にしっかり調査・計算・設計・検討できたためであり、どの地域でも使用できるものではありません。
よって、設計計算無しに問題なく工事できますとは言えません。
雷対策は人の命に関わります。
施工には高い技術が必要です。
検討される方は、最寄りに専門業者に相談してください。