仕事上で、電気料金の話が出ましたので、こんな話を書きたいと思います。
有効電力(W)は電力会社からの料金請求の元となる。
低圧電灯契約の場合、無効電力がどれだけ含まれていても、電気代には関係が無いとされております。
(高圧以上は影響)
であるならば、力率は全く考えなくてもいいの?という話になるのか。
以下、回答。
低圧電灯契約(一般住宅等)の場合、確かに有効電力(実効電力)が電気料金になるのですが、問題なのは機器側で「じわじわ知らないうちに増える実効電力」が、くせものなのです。
例えば40Wの蛍光灯、昔方式のグロー式ですと、放電管(蛍光管)は商用周波(50Hz及び60Hz)で「直接点灯」しますから、蛍光ランプが劣化し、COSφ(力率)が0.6になっても40Wは40W、電気代は変わりません。
ところが、例えば今のインバータ方式のものですと、SIN波を細かくチョップして40W蛍光管を「間接点灯」していますから、40W蛍光管が劣化すると、力率が悪化、これを補正するため、その分、実効電力を増やしますので、40Wを越え、電気代は増えてしまいます。
白熱電灯の調光器もインバータですから、ずばり、力率が電気代に効いてきます。
インバータ式蛍光灯は古くなっても明るいけれど、グロー式は暗くなるというのは、実効電力を増やしているかいないかの違いから発生しているものなんです。
ですからインバータ方式がほとんどの場合、力率を考慮した計算による電気代のほうが、真の値に近くなるはずです。
グロー式、白熱電灯、調光なしとして、古くなっても40Wは40W、60Wは60Wとして考えられますが、普通、今の機器では(10~15年くらい前の機器からは)そうはいきません。
明るさ補正をかけるため、実効電力そのものをじわじわと増やすためです。
大体、40Wインバータ方式の蛍光灯だと、球切れ直前には70W近い実効電力を喰うようになります。「インバータ蛍光灯は早めの球替えがお得」なんて宣伝していたのもこのためです。