かつて演劇の舞台に出演した時、ダンスのシーンがありました。
上手い人のダンスは見ていて気持ちがいいのですが、その時は具体的に何が違うのかがよくわかりませんでした。
漠然と意識していたリズム感というもの。
言葉で言えないものは体験しないとわからない、という事はよくあります。
おそらく、リズム感もその類いのものでしょう。
「気持ちのいい」リズムの正体を探ってみよう、と思い立ちました。
マジックも音楽に合わせて動くのはダンスと同じです。体験してみて何かが掴めれば、きっと舞台で役に立つはずです。
リズムと言うならば、とりあえず思い付くのは楽器のドラムです。これを練習してみてはどうか?という訳で、まずは入門の本を読んで、初心者向け練習をやってみました。
膝を手で叩いてみる。
雑誌を棒で叩いてみる。
……2分で飽きました。単調すぎてむしろ苦痛です。
これはたぶん、実際のドラムを叩いた事がある人が、それをイメージしながら復習するための方法でしょう。
飽きない方法と言うなら、これか?という事で、ゲームセンターにあるドラム演奏のゲームをやってみました。
とりあえず、ドラマーっぽい動きはできますが……リズムの方はそんなに正確でなくてもいいみたいです。
あくまでゲームなので、リズムを身に付けるためのものではなかったようです。
それじゃあ!という訳で、楽器メーカーから出ているドラム練習パッドを買ってみました。
正確なリズムで叩いた時だけ音が出る、というものです。
……え?ぜんぜん鳴らない?こんなに難しいの?!
いきなり高レベルを求められました。ゲームと演奏練習の差はかなり大きいようです。
うーむ。
いやこれはなかなか。
……ちょっとハマりました。難しいと、つい練習してしまうのはマジシャンの性のようです。
しばらく練習してみて、わかった事は。
リズムに沿って動くのではなく、リズムを生み出す、と言う感覚が必要なようです。
叩いて音を出す行為には、いろいろと予備動作が必要なんですね。その必要な動作にかかる時間も計算に入れて動かないと、正確なタイミングになりません。
頭の中で刻んでいるリズムと、それが手を通して外に伝わった時の動きには、微妙なズレが起きるのです。
おそらく、この「一連の動きを計算して、結果を正確なリズムにする」感覚が、リズム感の中でも大きな要素なんじゃないでしょうか。
そしてこの感覚の有る無しが、ダンスの動きが見ていて気持ちいい人とそうでない人の差なんじゃないかな、と思いました。
そしてもう一つ、体験して分かったのが、「リズムはズレやすいポイントがある」、という事です。
(続きます)