ポムポムプリンに似た

某日本人好青年カメラマン

何よりも大事にしているのは

撮影時の『光』。

 

たとえばわが前庭の雄鶏を

「可能なら柵の上に

乗ったところを撮りたいんです、

ただその場合、光の位置が

限られるんですよね・・・」

 

「えっでも今は太陽が

あっちだから

逆光にはならないでしょ」

 

礼儀正しいポム君は

口では何も言いませんでしたが

目には明らかに嘲りというか

憐みの色を浮かべて

私を眺めていたのでした。

 

なんかもう逆光・順光の

レベルを超えた光の話らしいです、

彼が問題にしているのは。

 

そんな光と影の織り成す

芸術が大好物である

ポム君がある日ぽつりと

私の夫(英国人)のことを

「僕、ゴメスさんの写真を

撮りたいんですよね」

 

「ああ、なるほど、確かに

わが背の君は光次第で

顔の印象が変わる被写体かもな」

 

「あっ!Norizo先生にも

おわかりになりますか!」

 

(ポム君は紹介者の影響で

私のことを『先生』呼びする)

 

「ホリが深いというか

冗談みたいに凹凸がある顔面だし、

顔が殴られた後のよう

アンシンメトリーなところとか

たぶん君にはたまらんのじゃろ?」

 

「・・・別にそういう

わけではないんですけど、

まあでもそれも含めて

ポートレイト風に

撮ってみたいな、と・・・

でもあれでしょうか、

ゴメスさんは

写真がお嫌いでしょうか」

 

「うーん、どうだろう、

ネットに顔写真を

載せることなんかは

好きじゃないみたいだけど

写真撮影自体は

大丈夫なんじゃないかな。

でも君が将来写真家として

大成したら

君の撮影した写真は

どうしたって

ネット拡散するだろうし

・・・本人に聞いてみたら?」

 

「いえ、でも・・・

そういうことをお尋ねして

無理に承諾していただくのも

申し訳ないし、かといって

お断りしていただいても

僕は構わないんですが

ゴメスさんが気に

なさるかもしれないし・・・」

 

この子は本当にこういうところ

深く気を遣う性格だよなあ、

カメラマンってもっと

無礼なくらいに押しが強いのが

正解と違うのか?と

不安になった私は

ポム君を力づける意味で

「うちの夫は写真を

嫌がるかもだけど、ポム君、

私でよければいくら

撮影してくれても問題ないよ」

 

するとポム君は私の言葉の意味を

理解しようとするかのように

じっと私の顔を眺めてから

「・・・え?あれ?あ、

僕、Norizo先生のお写真を

撮ったほうがいいですか?

 

「・・・撮らなくていいよ」

 

「あっ!すみません!

僕は今、たいへん失礼な

物の言い方をしました!

よろしければ僕、先生の

お写真をお撮りしましょうか?」

 

「結構です!無理して撮影して

いただかなくても結構です!」

 

「いやそんな!

無理なんてそんな!」

 

「はい、ここに

わが夫ゴメスと私がいます。

写真家として素直に肖像写真を

撮影したいのはどちらですか」

 

「ゴメスさんです」

 

「返答によどみがなさすぎる!」

 

「いえだからといって僕が

Norizo先生の写真を

撮りたくないなんてことは!」

 

ポム君は普段日本で

嫌というほど美男美女を

撮影しているため、

私のような

『ノーマルな美人顔』には

飽きているに

違いない、という理論で

自分を納得させた私です。

 

匿名ブログであるため

容姿に関しては

好き勝手言っています。

 

 

しかしひどいですよね、

「撮ったほうがいいですか?」は!

 

私はこの後しばらく

笑いが止まりませんでした。

 

 

写真を撮られるのが

お好きなあなたも

苦手なアナタも

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