夏の間に我が家に来る

日本人好青年カメラマン君

ポムポムプリンに

似ていることで有名ですが

(注:私が勝手に裏で

そう言っているだけです)、

 

 

 

 

噂によると写真に関しては

腕が良く、聞けばどうも

私のようなファッション音痴さえ

名前を知っているような

お洒落雑誌と組んで普段は

仕事をしているらしいのです。

 

ここらへんはポム君と

我々の間を仲介した

某大学の先生からの情報で、

ポム君自身は平安貴族のような

奥ゆかしさからそういうことを

滅多に口にせず、しかし

こちらがちょっとしつこく

「最近ポム君が撮影した

有名人で私が名前を

知っていそうな人は誰」と

尋ねると、あ、その人、

本当に私も知っています、

みたいなお洒落有名どころの

名前が出てくるのです。

 

・・・いやでも待って、

ポムポムプリンですよ?

 

ポムポムプリンはカワイイ、

一般人気も高い、でもほら・・・

 

お洒落雑誌のお洒落写真を

撮るような人って

どちらかといえば

ポムポムプリンとは対極にある

イメージを要求されるのでは・・・?

 

せめてバッドばつ丸くらいの

キャラクターが必要なのでは・・・?

 

 

 

 

だってだって、ああいう職業は

モデルの気持ちを持ち上げて

カメラの前で『酔わせる』ような

話術も技術のうちなわけでしょ?

 

ポムポムプリン君に

それが出来るのか?

 

ポム君は声も

ポムポムプリンぽいんですぜ?

 

(ポムポムプリンの声は

私の勝手なイメージです)

 

しかしある日。

 

私が台所で遊んでいると

居間のほうから突然

私がこれまで聞いたこともない

低くなめらか、かつ甘い

まるでベルベットのような

セクシー駄々洩れの声が

漏れてまいりまして。

 

「そうだァ、とてもいい、

とてもいいよ、きれいだァ!

完璧、最高、そのまま

自然にしていて、そう、

ああ!そう!とてもきれい!」

 

は?

 

なにこれ、ラジオの

メロドラマ放送?

 

昼日中に流して許される

声のセクシー度を

超えていると思うんですけど?

と慌てて居間を確認したら、

そこには居間の床に

べったりと腹ばいになり

カメラを構えるポム君の姿が!

 

ファインダーの

正面にあったのは

我らが愛犬

アーシーのお尻で

・・・朝から降っていた雨がやみ

雲の間から差した陽光が

居間で昼寝をしていたアーシーの

尻尾にいい感じに降り注ぎ、

「写真で大事なのは

一にも二にも

光・光・光」を信条とする

ポム君にしたらどうしたって

見過ごせない状態の陰影が

アーシーのお尻周りに

出現していたようで・・・

 

 

 

 

「ああーっ!いい!

本当にきれいだ!そう、

そのまま動かないで動かないでェ、

そうだね、首だけこっちに向けて、

尻尾はそのまま!動かさない!

それで・・・それで少しだけね、

目線、目線をね、目線を

もう少しカメラにね・・・」

 

床に平たくなったポム君を

目撃した私も驚きましたが

アーシーはそれ以上に

事態が把握できておらず、

「えっ何」みたいな

顔をして混乱しておりました。

 

ストーブ前でウトウトしていたら

普段はロープで楽しく

遊び相手を務めてくれる

お兄さんが突然

腹ばいになって床と一体化し

自分のお尻に向かって

真剣に話しかけている。

 

それは・・・

 

わけがわからないよ・・・

 

飼い主として私は愛犬に

なんらかの声を

かけるべきだったかも

しれないんですけど

興の乗った芸術家に

水を注すのも無粋。

 

水も滴るわが被写体:

 

私は何も聞かなかった・

見なかった振りをして

台所に戻りました。

 

そんなわけで本日のオチは

「撮影スイッチの入った

カメラマンは怖い」で

お願いしたいところです。

 

 

いやあれは確かに

モデル相手に勝負できる

カメラマンですわ

 

こんなふざけた

書き方をしていますけど

すげえ声と気迫でしたわ

 

写真における光と影の

重要性がよくわかるあなたも

ブレさえしていなければ

それでヨシなアナタも

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