夏は割と訪問者の数が多い

北国スコットランドの我が家です。

 

冬はさ・・・

 

路面凍結で足元が悪くなるし

何より寒くて暗いからさ・・・

 

ここ数年、夏に必ず

泊まりに来てくれる

趣味・特技・職業:カメラ

という日本人好青年がいます。

 

職業カメラマンってなんだか

こう気が強く偏屈で

ワガママそうな

印象があったのですが(偏見)

こちらの青年は驚くばかりに

物腰丁寧で気質も穏やか。

 

見た目も・・・某サンリオの

ポムポムプリン的というか・・・

 

 

 

 

最初に彼を我々に紹介したのが

某大学の先生であったためか

我々のことも『先生』と呼び、

話をする時はこちらの目を

真っすぐに見て

『傾聴』の姿勢を取り

これで本当に

生き馬の目を抜く

写真業界(これも偏見)で

生きのびていけるのか、と

勝手に不安になっていた

私なのですが、

仕事の話を少し聞くと

「撮影助手の仕事は

『カメラマンの要望を

すべてかなえること』です。

僕は助手時代『できません』と

口にしたことはないです」

 

こう言い切った時の

ポムポムプリン君の目は

突然鋭い強さを見せて

・・・あれ?この

人畜無害そうな

見た目と挙動は

もしかして仕事のため

後天的に身に着けたもの・・・?

 

ポムポムプリン君曰く

写真で大事なのは

一にも二にも

『光・ライト』だそうです。

 

光源と光線の話になると

プリン好きの

レトリバーの姿は消え

獲物のにおいを貪欲に追う

オオカミが出現する感じ。

 

ライトとか言われても私は

「写真を撮る時逆光は

避けましょう」くらいの

認識しかないのですが

わが夫は何故かそこらへんに

多少の造詣があるようで

「ああ、だから君は

スコットランドが

好きなのかもしれないね、

雨がちだから空気が常に

湿気を含んでいて、

そこに日が差すとまさに

写真に残すべき

風景が立ち上がるものね」

 

「ゴメス先生は!

写真のことが

わかっていらっしゃる!」

 

・・・いやまあ本当に

私は空気中の湿気とか

洗濯物に関連してしか

考えたことのない人間ですけど

しかしこういう何事かに

のめり込んだ人を間近に見るのは

とても面白いなあ、と。

 

これとか割といい光が

撮影できたと思うんですけど:

 

雨の日に室内でお茶など飲んで

雑談をしているじゃないですか、

ポムポムプリン君は

いつもの通り体全体を

こちらに向けて

手をお腹のあたりに組んで

いつもの傾聴の姿勢で

じっと私の顔を見て

頷いたり相槌を

うったりするのですが、

その視線が時々ずるずるっと

私の顔から逸れて、すると

ポム君は慌てたように目を

また私の顔に戻す、しかしまた

それがズルズルっと滑る。

 

振り返ると

窓の外の雨がやんでいる。

 

「ポム君・・・もしかして

いい光が来ているんだね」

 

「えっ!すみません、僕、

お話の最中によそを

見てしまっていましたか!」

 

「いや、いいよ、で、どう、

これは『いいライト』なの?」

 

「すみません、本当に

すみません、

僕ったらなんて失礼を・・・

はい、いいライトです」

 

「じゃあ私のことは気にせず

どうか外に出て撮影をしてください」

 

「そんな!お話の最中にそんな!」

 

「いいライトなんでしょ?」

 

「いいライトです」

 

「なら撮影優先だ!」

 

「ああっ!なんてことを!

本当にすみません!じゃあ

ありがとうございます、

行ってきます!

お茶はそれ、戻って来たら

僕は必ず飲みますので!」

 

かくして夏の間の数日間、

わが近所には

『巨大なカメラバッグを

背負った不思議な東洋人』が

出没するのでありました。

 

 

神奈川でも

地震があったと聞きました

 

皆様どうかお気をつけて

 

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