われらがお散歩仲間の

牧羊犬ちゃんは賢く強く

仕事の出来る犬ではあるものの

社交性には少々難あり。

 

難・・・というか、今まで

仕事(牧羊)一筋で

生きてきたため

他の犬とのかかわり方、

『遊び方』みたいなものが

いまひとつわかっていない。

 

わが愛犬アーシー

(黄色雌犬)(超能天気)と

一緒に外を歩くようになってから

牧羊犬ちゃんはそこらへん

多少改善というか

おおらかに

なってきたところがあり

最近は道ですれ違う他の犬にも

それなりに

親し気なそぶりを見せます。

 

ただ犬同士の『遊び方』は

まだ正確には理解して

いないんだな、と思ったのが、

先日我々は山道で小柄な

バーニース・マウンテン・

ドッグと出会いまして。

 

 

 

 

バーニーズ君は

非常に懐っこいいい子で、

アーシーと牧羊犬ちゃんも

その低姿勢な挨拶を気に入ったのか

まずアーシーが一歩前に出て

「君、いい子ね!遊ぶ?」

 

 

バーニーズ君は

尻尾を振り回して

「遊びたい!遊びたいです!」

 

よし!じゃあ駆けっこよ!と

山のを全速力で

走り降りるアーシー、

その後を大喜びで

追いかけるバーニーズ君。

 

適当なところで足を止めると

「はい、交代!今度は

私が君を追いかける番!」

 

「わあっ!

追いかけて追いかけて!」

 

で、今度は崖を全速力で登って

「交代?ここで交代?」

 

「そう!また君が私を

追いかける番!おいで!」

 

そうして2匹は崖を

エンジン全開で行ったり来たり、

その様子を崖の中腹の

人間用散策路から

じっと見つめる牧羊犬ちゃん。

 

・・・これは・・・

 

牧羊犬ちゃんは今

明らかに何か『考えている』

顔をしている・・・!

 

と、牧羊犬ちゃんは

「あっ!そういうことか!」

という表情をして、

アーシーに追い上げられる

バーニーズ君を

崖の上部、散策路で

『待ち構える』姿勢を取り、

バーニーズ君が近づいてくると

その進行方向に体を入れて

バーニーズ君が散策路に

入れないようにしました。

 

つまり散策路を

ディフェンスラインに見立てた

フットボールのDFの動き。

 

後方からアーシーが追い付くと

バーニーズ君は崖の

下からアーシーに

上から牧羊犬ちゃんに

ゾーンプレスを

かけられる形になり

もう喜びと楽しさは頂点。

 

「あーっ!お姉さんたちに!

挟まれちゃった!

挟まれちゃった!あーっ!」

 

バーニーズ君が

アーシーと牧羊犬ちゃんの間で

右往左往をする姿を我々人間は

微笑ましく見ていたのですが

・・・気が付くと牧羊犬ちゃんが

チラリチラリと飼い主である

毒舌奥様に

目線を送ってきてですね。

 

何かしら、やっぱり犬としても

「見てください!今、私は

他の犬と『遊んで』いますよ!」

みたいな報告をしたいのかな、

それにしては眼差しが真剣だな、

と思っておりましたら、

バーニーズちゃんたちと別れて

しばらく歩いたところで毒舌奥様が

「・・・さっき、うちの犬が

チラチラ私を見てたの、気づいた?」

 

「気づきましたよ、あれ

可愛かったですね、

牧羊犬ちゃんは何が

言いたかったんでしょうね」

 

「・・・あれねえ、うちの犬が

何をしていたかアナタわかる?」

 

「え?何というか・・・仲良く

他の犬と遊んでいたんですよね?」

 

「あのバーニーズとアーシーは

遊んでいたんだけどね・・・

うちの子のあの姿勢、体の

使い方と目線はね・・・

うちの子、あれ、羊を

移動させる時の動きなのよ」

 

 

 

 

「羊を移動?」

 

「そう。バーニーズ君を

羊に見立ててね、あの目線は

私に『この羊をどこに

追い立てますか?』って

指示を仰いでいたのよ」

 

つまりアーシーと

バーニーズ君が楽しく

追いかけっこをする最中

牧羊犬ちゃんはあの状況を

『お仕事』ととらえ

牧羊ならぬ

牧バーニーズ大作戦を

決行しようと

していたのであった・・・!

 

これも職業病のひとつでしょうか。

 

社交性構築の道のりは遠いのです。

 

 

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