今年の夫(英国人)の

『お誕生日登山』には

夫の末の弟(わが義弟その3)

ヘイスティングス君)が同行。

 

登山口というか

自然公園の入り口までは

愛をこめて私が送迎。

 

まあ往路の運転手は

夫だったんですが。

 

(だって片道3時間ですよ)

 

 

ともあれ自然公園の入り口で

夫と義弟その3が

支度をしていたら

我々の隣に車を停めていた

若い男の子(大学生くらい)

3人組が興味津々という顔で

「あのすみません。

おふたりは山に登るんですか?」

 

「そうですよ」

 

「どの山を登るんですか?」

 

「この公園を突っ切って

その奥にある山を皮切りに

尾根伝いに進むんです」

 

「へえ!あの、僕たちは

ただ散策をしに

ここに来たんですけど、

僕たち、どこを

歩けばいいと思いますか?」

 

私は思わず横から

「君たちの背後に公園の

『散策マップ』が

掲示してありますよ」

 

「えっ?あっ!本当だ!

うわあー、聞いてよかった!

僕たち何もわからなくて!

ありがとうございます!」

 

いや素直なのはいいことですし、

すぐにお礼を口にするのも

美徳ですし、この子たちはたぶん

純粋にいい子達だと思うんですが

・・・君らこんな山奥というか

人里離れた場所に来て

それで本当に大丈夫なのか。

 

なんか3人とも妙にパリっとした

街中用お洒落着(ジャケット、

スカーフ、革靴どれも

一点の汚れもなし、みたいな)で

髪とかお肌もふんだんに

手入れしてある艶やかさで

義弟があとから指摘したには

「あの子たちの車、

レンタカーだったけど

新車同然の

メルセデスだったでしょ。

あれはどこぞのご子息たちですよ」

 

・・・そういう子達が

自然に親しむのはいいことですけど

・・・君たち本当に大丈夫?

 

わが夫もそこで

老婆心にかられたか

「どの散策路を歩いても

楽しいだろうから

自分の体力と相談して

ルートを決めるといいと思うけど、

ここらへんそこら中に

マダニがいるから

気を付けたほうがいいよ」

 

「・・・えっ!マダニ?

マダニ・・・って

聞いたことあるんですけど

どんな見た目を

しているんですか?」

 

 

 

 

「うーん、最初はゴマ粒というか

けし粒くらいの小ささなんだけど

クモみたいな形をしていて・・・

それが血を吸うと

どんどん大きくなって

目立つホクロくらいになるかな」

 

「血を?吸う?血を吸われると

痛かったり

痒かったりするんですか?」

 

「いやそれが吸われるほうは

何も感じないんだよ、

それが怖いんだ、だから今日

散歩を終えて家に帰ったら

鏡の前でよく確かめたほうがいいよ」

 

「でも・・・でもそんな

滅多に噛まれるもんじゃ

ないですよね?」

 

「いや、噛まれるよ。

僕も噛まれたことがあるし

僕の弟も家内も

噛まれたことがあるよ」

 

「・・・深い草むらとかに

入らなければ大丈夫ですよね?」

 

「うーん、やつらは

そこらへんの草原にいるし

木の上からも落ちてくるし

草むらを避ければ

大丈夫ってことはないかな」

 

男の子たちはお洒落着で

精一杯肌を隠すようにして

(ポロシャツの襟を立てたり

靴下にパンツの裾を入れたり)

「・・・これで!

大丈夫ですかね?」

 

「いや、噛まれる時は

噛まれると思うよ。

帰り道に薬局で

リムーバーを買うといいよ」

 

 

 

 

自然を楽しむには

ある程度の準備と諦観が

必要なのだと思います。

 

 

傍から見ている分には

今時の若者の希望的観測対

酸いも甘いもかみ分けた

中年男の直言、みたいな

感じで面白かったです

 

皆様もマダニにはお気をつけて

 

それにしても

あの男の子たちは何者だったのだ

 

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