わが夫(英国人)の父、

すなわちわが義父

(白色シュレック)が

4人部屋に入院した際の話

 

『無免許14歳の運転する

車にはねられた』男性

無事退院していったあと、

同じ日のうちに今度は

若い男性が病室に

やって来たそうです。

 

全身にまんべんなく

怪我をしている様子の

その若者いわく

「職場で事故に

巻き込まれたんスよお~!」

 

若者は車の修理工場で

働いているそうで

「でけえキャンピングカーが

持ち込まれてえ~、

車体の底の部分を見ないと

駄目って話だったんスけどお~、

車を持ち上げる修理台が

どれも埋まっててえ~」

 

そこで若者は閃いた!

 

工場の隅っこにある

フォークリフトで

キャンピングカーを

持ち上げればいいじゃない!

 

 

 

 

というわけで若者は

キャンピングカーの窓を

すべて全開にして

そこにフォークリフトの

フォークを刺しこみ

キャンピングカーを

持ち上げたとのこと。

 

 

 

 

・・・私は素人なので

的外れなことを言っていたら

恐縮ですが、これ、すでに

車の修理法として

間違っていますよね?

 

現場猫案件ですよね?

 

 

 

 

でもまあ恐ろしいことに

キャンピングカーは

無事に持ち上がったそうです。

 

で、若者君は車の底部を

確認して問題個所を特定し

『上の人』にそれを口頭で報告。

 

それはキャンピングカーの

居住部分(というんですか?

人間が中に入ってキャンプする

部分のことです)と

車部分(居住部分を支える

車の下部のこと)を一度

切り離して修理しなくちゃ

いけないな、ということになり

「つなぎ目を外せって

言われたんスよぉ~。

でも修理台はまだ他の車で

埋まっていて使えなくてェ~、

だから俺、そうだ!このまま

修理しちゃうべ!ってなってェ~」

 

で、彼はそのまま、つまり

キャンピングカーを

フォークリフトで

持ち上げたまま

キャンピングカーの

『つなぎ目』を

外していったのだそうです。

 

・・・ですから私は素人なので

状況がいまひとつ正確には

わかっていないんですけど、

まあそうやって若者が

『つなぎ目』を外しますよね?

 

『つなぎ目』はどうやら

複数あるらしいんですけど、

最後のつなぎ目を外した瞬間、

キャンピングカーの上部、

すなわち居住空間は

フォークリフトに

突き刺されたまま

中空に残りつつ、

下部、すなわち足回りとか

エンジンとかの車部分、

素人考えでもかなり重くて

硬そうな部分

「いきなり俺の上に

落ちてきたんスよ!

まじヤバくないっすか?」

 

話を聞いていたわが義父と

同室者2名は素直にうなずき

「それはヤバイねえ~」

 

「メッチャ重いし痛いし

マジのマジで危ねえんすよ!」

 

「それは危ないねえ~」

 

「そういう危ない作業を

従業員にさせちゃ

駄目と思いません?

これ、上司の

責任問題っスよねえ?」

 

「・・・」

 

ここで若者君は少し勢いを失い

「・・・まあ後から考えたら

フォークリフトに吊るされた車の

真下で作業するのは

よくなかったかな、と

俺も思ったんですけど」

 

「うん、それはよくないね」

 

「やっぱよくないっすかね」

 

「よくないね」

 

「でもアレ、エンジンとか

パーツとか、落ちた瞬間

周囲に飛び散ったんで、

車の真下にいなくても

俺は怪我をしたと思うんスけど」

 

「・・・」

 

「・・・やっぱり

修理台が空くのを俺は

待つべきだったっスかねえ」

 

「待てばよかったねえ」

 

「工場長にもそう言われました。

でもさあ!俺は仕事をして

こんな大怪我したんスよ!

・・・ねえ、これって

工場を訴えると俺、

金持ちになれると思います?」

 

 

仕事熱心で何事にも前向きな

好青年であったそうです。

 

退院の日、義父は全員に

『小さなプレゼント』を

用意して渡したそうです。

 

「同室者のおかげで

飽きる暇がなかった」

入院生活であった模様です。

 

 

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