わが夫(英国人)の父、

すなわちわが義父

(白色シュレック)が

入院した病室の

隣のベッドの殿方の話。

 

まあこの方が割とお元気で

義父が病室に入ってから

ずっと携帯で元気よく

誰かと話をしていて、

で、話をしながら15秒に1回

必ずFワードを口にする。

 

わが義父は

『病室では静かに』

みたいな美徳の持ち主だし

Fワードとか大嫌いだし

さぞやそれは

お辛かったでしょう、と

思いきや、その殿方の

『話』の内容が

非常に興味深かったそうで。

 

向こうの電話が終わった後

義父は礼儀正しく挨拶をして

「ところでお電話の声が

聞こえてしまいましたが

今回のお怪我は車で・・・?」

 

「ああ、そうなんですよ、

まあ聞いてくださいよ

(15秒に1回

Fワードを使いながら)」

 

なんでもこちらの殿方は

違法薬物の裏取引では

地域に名を知られた方だそうで

「怪我をした日は自宅で

お客を招いてパーティーを

していたんですよ。

まあ私のような奴の

主催するパーティーです、

それは大盛り上がりですよ」

 

「なるほど」

 

「そうしたらねえ、深夜を

回って少し経った頃に

どこかの馬鹿が窓からレンガを

投げ込んできたんですよ」

 

 

 

 

「それは危ない」

 

「そうです、危ないですよ、

特にこっちのお客は皆

オクスリキメて

おかしくなってるんだ、

だから主催者として俺は

外に飛び出したんですよ、

そうしたらね、窓の

下には誰もいないんだ」

 

「おやおや」

 

「こん畜生ってなってたらね、

ちょっと離れたところから

車のエンジンをかける音がして、

だから私は怒鳴ってやったね、

何だこの野郎、卑怯者、

窓を壊すだけで逃げ出しやがって、

臆病者が、男ならもう少し

本気を見せてみろや!ってね」

 

 

「ふむ」

 

「それで私が家に入ろうとしたらね、

その車が背後から私のことを

跳ね飛ばしゃあがったんですよ」

 

「背後から」

 

「意気地がない奴はこれだから

嫌ですよ、だから私は起き上がって

言ってやったね、馬鹿野郎

後ろからなんて誰でもできらあ、

本気なら前から来いや!って」

 

そうしたらその車は

今度は前からこちらの殿方を

『轢きに来た』そうです。

 

しかもご丁寧に

前輪で殿方を轢き倒してから

前進・後進のギア変更の

練習みたいなこともしたらしい。

 

そこらへんでどなたかの通報で

警察の皆様がやって来て

殿方は結構な怪我で入院。

 

どうも違法薬物取引の

『シマ』の問題がこじれた末の

事件であったらしいんですが

「向こうの運転手が

手錠をかけられたとこにね、

私は言ってやりましたよ、

こんなオフザケで

忙しいおまわりさん方の

手を煩わしやがって、

こっちの息の根を止めたいなら

もっとそれなりの方法で

かかってこんかい、コラ!」

 

・・・そうしたらその翌日、

入院中の殿方のところに

拳銃を持ったお若い二人組

押しかけてきて警備員と大騒ぎ、

病院側の要請でその後

病棟入口と病室前に制服警官が

配置されることになったそうです。

 

 

 

 

この場合わが義父は

『警察官に守られて

とびきり安全な病室』に

入院したことになるんでしょうか、

それとも『事件関係者に

間違えられてカチコミを

かけられる可能性のある病室』に

入ったことになるんでしょうか。

 

ちなみにこちらの4人部屋、

残る2名様の入院理由も

かなり予想外な内容で

そのお話は明日に続く。

 

 

各人とプライバシーと

匿名性と諸々に配慮して

今回のこちらの事件の詳細、

ちょっと細かい点を

変更してありますが

変更前と後だと

変更前の話のほうが

数段に過激であることを

どうかご了承くださいませ

 

・・・私がこれまで

無縁に生きて来ただけで

裏社会って案外身近に

存在するものなんですね

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