わが前庭のニワトリ社会は

新顔雄鶏(コッパーマラン種)

2羽の共同統治時代

迎えるかと思われたこの年明け。

 

3羽目の雄鶏

(ウェルサマー種)が

あんまり除け者にされるようなら

彼の引き取り先を探すとして、

雌鶏たちもサセックス種2羽は

完全に新権力者を

受け入れたようだし、

ウェルサマー嬢も

コッパー兄弟とは

悪い関係ではなさそうだし、

残るクリームレグバー種2羽

(通称『青たまご姉妹』)は

年初からこっち状況の

変化を受け入れられず

鶏小屋に2羽揃って

ひきこもりがちだけれども

まあそのうちに・・・

 

いや、待てよ、

「青たまご姉妹、

いくらなんでも

引きこもり過ぎと違うか」

 

私の指摘にわが夫(英国人)は

「とはいえあの2羽は

冷静に考えると結構もう

お年を召していますからね。

雨や雪の日は外に出たく

ないんじゃないでしょうか」

 

それも一理あるとは

思ったんですが

「でもちょっと心配だな。

今度天気のいい日に

それでも2羽が

小屋に閉じこもっていたら

私は強制介入して2羽を

家の反対側に連れ出すよ。

そこでちょっと

日光浴とかさせてやりたい」

 

そして先週。

 

その日は朝から日が照って

非常にご機嫌な陽気でした。

 

私はまず愛犬アーシーの

散歩を済ませ、一度家に入り

「おう、青たまご姉妹を

外に出したいから

手伝ってくれるか」

 

いいですよ、と夫は

身支度を整えながら

「・・・あ!でも

見てください、

青たまご姉妹が2羽とも

小屋のあっち側に出て

自主的に

散歩していますよ!」

 

窓の外を眺めると

なるほど確かに2羽は

仲良く連れだって

草地の上を歩いている。

 

ああ、じゃあ本当に

寒さが辛くてここのところ

外出しなかっただけなのか、と

これまでの懸念を

手放そうとしたその瞬間、

「・・・あ!待ってください!

今コッパー兄弟の兄貴のほうが

青たまご姉妹に気が付きました、

ものすごい勢いで

駆け寄っています!」

 

次の瞬間、青たまご姉妹の

妹のほうの首筋に

凄まじい突きを

クチバシで入れるコッパー兄。

 

我々が慌てて戸口に駆け寄り

長靴を履き外に飛び出し

青たまご妹の元に

たどり着いた時には

彼女はすでに事切れていました。

 

首から頭にかけて

鮮血で真っ赤に染まっていて、

殺人鬼は相変わらずの色男ぶりで

胸を張って顎を上げて

高く持ち上げた脚の

その腿の部分で

クチバシについた血を

拭っていて・・・

 

「夫よ!コッパーマラン2羽を

今週中にどこかにやってくれ!

私は自分の雌鶏を殺した奴を

可愛がってやることはできない!」

 

「・・・わかりました!

引き取り先が

見つからなかった場合は

週末にチキンカレーですね!」

 

いやそれも倫理的に

どうかって

発言ではあるんですけど

・・・でもまさか雄鶏が雌鶏に

こんなことをするなんて・・・!

 

私も夫も今後

命にかかわる怪我をするなら

それは3羽目の雄鶏である

ウェルサマー君と考えていたんです。

 

だって通常雄鶏は雌鶏に対し

ここまで暴力的には

ならない筈なんですよ!

 

ただその後夫が

調べたところによると、

雌鶏であっても自分が

ニワトリ集団を

率いてきたような

気骨のある雌鶏の場合、

そこに雄鶏が登場すると

権力争いを始めてしまう

ことがあるらしく。

 

つまり「誰が貴様の

お手付きになぞなるか、

この集団が欲しければ

私を倒してからにしろ」的な。

 

でも通常は、本当に多くの場合は

雄鶏相手に力負けした雌鶏は

「じゃあ仕方ない」と相手の

軍門に下るものなのですが、

わが青たまご妹嬢はそこらへん

本当に誇り高かったのだと思います。

 

「彼女はその誇りの対価を

命で支払ったんですね」とは

わが夫の弁でございます。

 

誇りあるわが雌鶏は現在

庭のリンゴの木の下に眠っています。

 

 

在りし日の青たまご姉妹の姿:

 

ウェルサマー雄鶏君の

前にいるのが青たまご妹嬢

 

このあとコッパー雄鶏が

どんどん大きくなって増長して

今回の悲劇に至ったのです・・・

 

・・・正直、我々がもう少し

早めに行動していれば

彼女の命は救えたのでは、と

私は今も悔やんでいます

 

なんか・・・心のどこかで

「まあでももう2,3回

コッパー兄に

上に乗っかられたら

青たまご妹も諦めるだろう」

みたいな考え方をしていたんですよ

 

下衆い、私は心底下衆い

 

でもさあ!

 

ニワトリって

普通はそうなんですよ!

 

見てくださいよ、うちにいる

サセックス種の『公爵夫人』を!

 

彼女は本当にその時その時の

一番の権力者に近づきすり寄り

寵愛を得て順風満帆なんです!

 

・・・もう本当に後悔しています

 

コッパー兄弟のその後と

さらにその後の

わがニワトリ社会については

明日に続きます

 

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