階下のメタル住人(詳しくはこちら )。


この週末、彼らはノリノリでした。


土曜日、昼の10時から日が暮れるまで

大音量でメタル&レゲエ。


メタル同好の士ということで

彼らに対し好意的だった夫(英国人)でさえ

「・・・今日の彼らは

ちょっとうるさ過ぎない?」


「君はいつも

平日の昼は家にいないからねえ。

彼らは基本的に毎日こんなものよ」

「そ、そうなんですか!」

「耐えられないなら私がいっちょ

バグパイプの練習をしてやろうか?

あ、でも私は夜7時以降に

大きな音を出すのは自分が嫌なんだよね」


しかし変なところで常識派の階下の住人は

日没と同時にぴたりと音楽を止めまして。


「・・・本当に彼らは

いい子なんだか悪い子なんだか・・・」


そして翌日、日曜日。


朝の10時から響き渡るデスメタル。


また天気がいいものですから

彼らは窓という窓を開け放しておりまして。


それでも我々は

午後3時までは我慢いたしました。


「・・・妻、もしも僕が階下に行って

もう少し静かにしてくれるように

彼らに頼んだら・・・君は嫌ですか?」


「嫌ではないが・・・大丈夫か?

あれだ、英国って

こういう隣人トラブルを専門に扱う

公的機関があるんだろ?

そこに連絡を取ったほうが安全じゃないか?」

「確かにそういうシステムは存在しますが、

僕はそういう他力に頼る前に

とりあえず一度は

自力解決を試みたいんですよ」

「そうか・・・」

「直接一度こちらから彼らに

静かにするようお願いしてみて、

で、彼らが怒って変なことをしてきたら

そのとき警察に行けばいいと思うんです」


「なるほどな。わかった、行くがいい

・・・というか、ちょうど下の子、

窓辺から身を乗り出して煙草を吸いつつ

発声練習をしているみたいだから

もう窓から声をかけちゃうんでいいんじゃない?」


私の言葉に頷いて

居間の窓から身を乗り出す夫。


階下の部屋の窓からは

茶色のモヒカン頭が覗いていました。


「あのー、ヘーイ!

そこの君!君、そう、君、ここだよ、

上を見てくれ、違う、上、そう、ハーイ!」

「・・・ハーイ!」

「楽しそうだね、調子はどう?」

「悪くないよ!天気もいいしね!」

「いきなり話しかけて

驚かせちゃって悪かったね!

あのさ、ちょっとお願いがあるんだけど。

音楽の音、少し小さくしてもらえないかな?

こっちの窓を閉めても丸聞こえなんだ!」

「え!ごめんごめん、わかった、

小さくするする、あとこっちの窓も閉めるよ!」


言葉どおり彼はすぐに

スピーカーの音を下げてくれまして。


・・・あれ?


やっぱりもしかして

彼らはものすごく素直ないい子なのかな?


「ふう!これで静かになったね!

じゃあ僕はこれから1時間くらい

外を走ってくるね!」

「待て待て待て!

この状況で私をひとり家に残すか!」

「え、だってもう静かで過ごしやすいでしょ?」

「そうではなくて!

下の若者が仕返し気分になったら

それに私ひとりで対応しろというのか!」

「・・・仕返しをするような子達だったら

さっき僕が声をかけた段階で

Fワードのひとつも口にしそうなものですから

たぶんそれは心配しないで平気ですよ。

もし何かあったら

躊躇わずに警察に電話してください」


そして夫は走りに行きました・・・


残された私は一人

こっそりと居留守を使っていたのですが

下の部屋からは何一つ物音がしない。


仕返しとかお礼参りとか、

あれは私の取り越し苦労であったか、と

窓の外を覗いてみましたら。


階下の住人であるモヒカン君と長髪君が

裏庭の芝生の上で

紙飛行機を飛ばして遊んでいました・・・


いや・・・どう見ても大学生、

もしくは社会人な年齢のふたりなんですけどね。


服装はザ・パンク。

モヒカンも私は久々に目にしましたけど

鋲のついた皮ジャケットとか

・・・今時・・・というか

こんな片田舎で普段から

そんなもの着て、君らは何を目指すんだ・・・


とりあえず『パンクと紙飛行機』という

取り合わせから目が離せなくなった私。

すると数分後、そこにもうひとり

モヒカン部分を金色に染め抜いた

背の高い若者が新たに登場しまして。


「お前ら、何を健康的な真似をしてるの?」

という長身青年の問いかけに

我が家の窓を指差し何か説明する

茶色モヒカン君と長髪君。


あら、もしかして仲間を増やした上で

嫌がらせとかしてくるつもりかしら、

との私の懸念は杞憂でした。

「そうかあ、じゃあ俺にも紙飛行機貸して!」


・・・スコットランドのパンク青年の間では

現在紙飛行機が人気なようです・・・


紙飛行機の後は

今度は3人で川辺に佇んで

『誰が一番遠くに

石を投げられるか』競争をしていました。


彼らはもしかして

実は小学生男子だったんでしょうか。


とりあえず以来

階下の人たちは

ものすごくボリュームを絞って

音楽を聴いてくれています。


えーと・・・たぶん本当に

彼らはいい子達なんだと思うのです。

はい。



やはり人間

胸襟を開いて話すが吉ですね

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