夫(英国人)の末の弟は

身の丈約2メートルのベビーフェイスで

人当たりもよく仕事も出来るナイスガイ、

しかし何故かガールフレンドがいない。


まあ『これといった欠点はないと思われるのに

何故か異性にはもてないというのは

わが夫や私にも身に覚えのある過去なので

人生そういうものだよね、と

ここは年長者の理解を示しておきたい。


それにあれです、

『それなりにいい人物なのに

異性関係が派手ではない、

というか、かなり地味』というのは

この性感染症の時代

ある意味美徳だとも思うんですよ。

ええ、負け犬の遠吠えです、すみません。


そんなわけで私はこの義弟に

大いなる親近感を抱いているのですが、

そんな彼と対照的なのが

夫の二番目の弟です。


彼はね・・・

もてるんですよ・・・


ジョースター家におけるジョセフというのでしょうか

(わかる人にだけわかる形容)、

女性に関してはオクテであることを伝統とする

夫の一族の男達の中にあって、彼はまさに異質。

別に女遊びが派手、というわけではないんですけど。


大学時代にボランティアとして従軍していたとか

ロンドン・マラソンを初参加で完走したとか

そういうわかりやすい『男らしさ』に加え、

優しかったり気が利いたりする上に、

どうもね、外見がね、

女性受けするルックスらしいんですよ。


夫と私の結婚式の披露宴で

わが口の悪い従姉妹たちが

夫の兄弟を眺めつつ

「ちょっと!なんかあの中に

ひとりだけ雰囲気が違う子がいるじゃない!


夫の他の弟達にはない

セクシーさとか悪っぽさとかが

彼にだけはあるらしい。


で、先日夫の実家で遊んでおりましたら

末の義弟が暖炉のそばで寛いでいた

私のそばにやって来まして

「義姉さん、どうやら

うちの真ん中の兄貴(セクシー爆弾)、

新しいガールフレンドが出来たみたいですよ

「なんと!彼はすごいなあ、

前の彼女と別れて傷つきまくっていたのが

つい先日のことなのに・・・

彼はお世辞抜きで女性に人気のある男ですね」

「人気がある・・・

と言うんですかね、ああいうのは」

「あるさ!ほら、私と夫の結婚式のとき、

わが従姉妹達が騒いでいたじゃない、

『彼はその兄(brother)とは

似ても似つかないセクシーさがあるわ!』って。

彼は一部の女性には大人気なタイプだよ!」


・・・口にしてから気がついたんですけど、

『brother』ってこの場合、

わが夫じゃなく

末の義弟を指しちゃっています・・・よね・・・


「・・・へえー・・・うちの真ん中の兄貴は

そんなにセクシーですか、他の兄弟とは違って」

「・・・いやいやいや!

それはほら、所詮『一部の女性』の意見だから!

その従姉妹ってのもあれだ、

私の親族とは思えないくらい

こう世間的な意味で垢抜けているというか

『イケてる』タイプで、こう、男を見る目があるっていうか!

いや、そうじゃない、つまりある種世俗的で

軽薄な観点から君ら兄弟を見ればだね・・・」


もういいです。ただひとつお尋ねしたいんですけど

あの結婚式の日、義姉さんの親戚の間で

僕のことはまったく話題にはならなかったんでしょうか?」

「君のこと?なったなった!

一部女性の間では君がダントツの一番人気!」

「・・・それは嘘ではなく?」


「嘘じゃないよ、

うちの母とか叔母とかにとっては

君はまさに理想の英国青年、

でかい身体に柔和な笑顔、

セクシーさとか悪っぽさとかとは

無縁なところが好感度の秘密だと思う!

うちの母なんて私に真顔で聞いてきたよ

『あの末の弟君には絶対彼女がいるでしょ?』と」

「・・・で、義姉さんはどう答えたの」

「えっ・・・『いないんだよ』と・・・

あ、ごめん、正確には

『いたことがないんだよ』と・・・

あの・・・その、でも、そう、だよね・・・?」

「・・・」


「いやさ、それでさ、

その答えを聞いてわが母の驚くこと驚くこと!

『あら嫌だ、あんな優しそうで可愛らしい子なのに、

ああいう子は今は流行らないのかしらねえ

みたいなことをだね・・・

ごめん、私は貴方を傷つけていますか、今」

「・・・いいえ、僕は別に傷ついてはいませんよ」

「申し訳ない、何と説明すればいいのか・・・

私が言いたかったことは・・・

つまり、つまりだ・・・君だって女性人気が

ないわけではない、ということを・・・」

「いいんです。わかっています。

僕の真ん中の兄貴は今時の若い女性に受け、

僕はお年を召された淑女方に受ける、と

そういうことを義姉さんは言いたいんですね」


わたくし、今後履歴書の『特技』の欄には

『怒涛の墓穴掘り』と記入したいと思います。


私という奴は

義理の姉としては最低な部類に属すると思う

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ちなみにこの末の義弟は

以前 も述べましたが)

この5月に健康美人と

運命の出会いを果たす予定らしいです



私は全身全霊をかけて

義弟の恋路を応援する所存であります