正月休みに達成できたこと、その3読書 「失敗の本質 : 日本軍の組織論的研究」を読み切る | 仙台城 謎の覆面ガイド「すこっち」のブログ

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正月休みに達成できたことが3つあると申し上げましたが、1つ目が「スパイファミリー」を鑑賞したこと、2つ目が映画「パーフェクトデイズ」を鑑賞したこと。でしたが、実はこの3番目が一番重たいながらも達成度がハンパない出来事でした。

 

それは、日本経済新聞社が出した「失敗の本質 : 日本軍の組織論的研究」という本を読み切ること。ご存知ない方がほとんどだと思いますので、この本について富山敬ばりに「説明しよう!」

 

この本はですね、今から40年前の1984年にダイヤモンド社から出版された本なのですが、太平洋戦争に日本軍がなぜ負けたのか?そもそも勝てると思ってたのか?途中でもっと早めに降参するという選択肢はなかったのか?何がどう問題だったのか?を分析して、敗戦という失敗から私達が何を学べるのか?学ぶべきなのか?ということを徹底的に掘り下げて検証した本なのです。

 

どうしてこの本を読むに至ったのかといいますとね、11月18日に放送大学の面接授業で郡山に行ったときに、講師の先生から薦められた本を何冊かメモってまして、その中の1冊を読んでみようと思ったのです。

 

ところが、多賀城市立図書館にはこの本が置いてない。仕方がないので、放送大学の図書館に問い合わせたところ、あるということで借りました。貸出期間は1ヶ月。余裕で読めるだろうと思っていたら、これが昔の本なので分厚くて、字がメッチャ多い!期限が迫りつつ正月休みに読み終えたという分けなのです。

 

ちなみに、その分厚い内容の目次はこのようになっています。

 

序章: 日本軍の失敗から何を学ぶか

第1章: 失敗の事例研究(1「ノモンハン事件」-6「沖縄戦」)

第2章: 失敗の本質 -- 戦略・組織における日本軍の失敗の分析

第3章: 失敗の教訓 -- 日本軍の失敗の本質と今日的課題

敗戦の原因は何か? 今次の日本軍の戦略、組織面の研究に新しい光を当て、日本の企業組織に貴重な示唆を与える書。ノモンハン事件、ミッドウェー作戦、ガダルカナル作戦、インパール作戦、レイテ沖海戦、沖縄戦という大東亜戦争における6つの作戦の失敗の原因を掘り下げ、構造的問題と結びつけた日本の組織論の金字塔。

 

でね、読み終わった感想ですが、いやぁ良かった。先生がお勧めしていた意味が分かったわ。

ひじょうに細かいところまで分析がされていて、組織論をとことん突き詰めている内容でしたわ。

 

まあ、日本の敗戦というとね、日本の軍部が独断専行して中国で戦をおっ始めて、初めのうちは真珠湾攻撃でもってイケイケドンドンみたいな感じで進んでたけど、ミッドウェー作戦~ガダルカナル作戦からどんどん日本軍が劣勢に回って、沖縄占領からの原爆投下で終戦。東條英機を始めとする戦犯を東京裁判でまとめて処刑を敢行。アメリカには占領されたけど、手厚い支援のお陰で戦後に目覚ましい復興を遂げた日本は先進国の仲間入りを遂げましたとさ、めでたし、めでたし。

 

ってなイメージでみなさんは認識が止まっているのではないでしょうか?

 

あの太平洋戦争って、日本にはアメリカとの開戦に踏み切ったとして、その後日本がどうやってアメリカ軍のどこどこの拠点を落として、軍事作戦がどのぐらい進んだら、そこからアメリカ本土に空襲を仕掛けて、どのように占領して戦争を終わらせるかというグランドデザインというビジョンが存在していなかった。

 

戦が始まるという現実から出発し、あとは状況ごとに場渡り的に対応して、それらの結果を積み上げていくという帰納法(個別の経験や観察、事実に基づいて論理的に思考すること)が主体の戦略だったんですわな。そんでもって、戦局が有利な状況で停戦協定に持っていければ、太平洋の領域をある程度アメリカに割譲したとしても、アジア圏の利権は維持出来る。アメリカもそんなに本腰を入れて、日本といがみ合おうとは思っていないだろうと高をくくっていたところがあったんですね。

 

その点アメリカはパールハーバーの奇襲で一旦は頭に血が上って反撃に出たけど、なんせ広い広い太平洋を舞台にした戦ですから、そりゃあ人もお金も時間も掛かるんで、途中から間延びしてやる気も薄れてきてた。ところが、ミッドウェー海戦で激勝した辺りから、それまでの失敗を検証し、改善点を洗い出し、本腰を入れて日本をどうやって占領するかまでを、念入りにプランを練って、軍事作戦を進めていったということのようです。典型的な演繹法ってやつですかね、ルールや法則に基づく物事に当てはめて結果を導き出す日本とは真逆のスタイルですかな。

 

精神論主体の日本軍ですから、無理難題な作戦を突き付ける指揮官に対して意見したりすると、「弱気な発言をするやつはいらん!」ということでパワハラ罷免され、イエスマンの代替え要員が作戦を実行したりしてたんですから、そりゃあ勝てるわけ無いよね。(ー_ー;)

 

最終的には、所々のポイントとなる戦場の負け戦を反省し、そこから学んで改善していったアメリカ軍と負け戦を反省せず、何も学ぼうとしなかった日本軍ということになるんですかね。


そんなこんながこの本を読むとですね、目からウロコな「へぇ」、「なるほど」に出会えます。

これまでの教科書からインプットしただけの戦争物語の認識が改まります。

 

読み切るのはなかなか根性がいりますが、読んだらかなりためになることは間違いありません。

 

興味を持たれた方は、お時間あるときにぜひどうぞ!