伊達政宗および伊達軍の甲冑が「黒」なのは有名です。
この黒い甲冑の黒という色を出すためには、黒漆つまり「漆」を使っているんです。
漆というのはまあ、高価だし調達するのも大変だし、何より日光に当たると
光沢が無くなってはげ落ちてしまう。
じゃあ、なんでそこまでして黒にこだわったのかというと、それにはこんな
理由があります。
政宗が隻眼となって落ち込んでいた少年時代、それを救ってくれた心の師は
前にもふれました虎哉和尚なのですが、その虎哉和尚が彼に語って聞かせたのが
隻眼の唐の武人「李克用」の話なんですね。
のちに皇帝にまで登りつめた李克用が使用していた鎧が黒。
彼の軍は鴉(からす)の軍と呼ばれ、非常に強かった。
黒の軍が来ると、それだけで敵はビビった。
だから、虎哉和尚は中国には片目でも立派な武将がいたんだぞ、
だからお前も頑張れよ!李克用を目指してみようぜ!的な
励ましをしたんじゃあないかと思われます。
政宗少年は心根が素直だったので、この言葉をずっと大事にしていました。
天正十三年11月の「人取橋の戦い」からこの黒の鎧を使用し始めるわけなんですが、
そこから彼の快進撃はスタートするのです。
ちなみに、この黒の甲冑(黒漆五枚銅具束という)が映画「スターウォーズ」に出てくる
ダースベイダーのモデルにもなっているのは結構有名な話。
世界一有名なダークネスヒーローのルーツは伊達政宗だったのです。