『日本占領と「敗戦革命」の危機』書評制作日誌■最高のインテリジェンスと消費増税とゲテ者たち | ScorpionsUFOMSGのブログ

ScorpionsUFOMSGのブログ

ブログの説明を入力します。

『日本占領と「敗戦革命」の危機』でも触れられている、情報士官・小野寺信少将の孤独な闘いを描いた『消えたヤルタ密約緊急電』

これはもう涙なしには語れない必読の一冊です。

 

「諜報の神様」と言われ、連合国側からは「枢軸国側諜報網の機関長」、「欧州における日本の情報収集の中心」、「インテリジェンス・ジェネラル」と恐れられた、小野寺信陸軍少将。

 

ポーランドやバルト三国で構築したネットワークを駆使し、トルーマン副大統領ですら当時知らされていなかった「ヤルタ密約」を会談直後に極秘入手していたとは。戦前の日本のインテリジェンスがイギリスに比肩する、世界最高レベルにあったことを如実に物語っています。

 

それに反して、その世界最高峰のインテリジェンスをまるで生かそうとしない、大本営参謀本部、政府首脳陣の無能さときたら饒舌に尽くし難いです。

希望的観測に基づき、独善的に立てた作戦(構想)があり、そこから外れた情報はいかに正確な情報であっても頑なに拒絶し、握り潰す。

 

そんなことをしていれば、事態は一向に好転せず、対応も後手に回るのは火を見るよりも明らか。

これでは日本が敗戦に至ってしまったのも当然と言わざるを得ないでしょう。

  

これが過去の話であれば、よかったのですが、現代においても、この「インテリジェンス・サイクルの機能不全」という負の遺産だけは受け継がれているようです。

 

その最たる例が来年10月に実施される予定の「消費増税」でしょう。

消費増税の威力の凄まじさは、5%→8%へ引き上げられた時に日本国民全員が目のあたりにしたはず。

黒田日銀が金融バズーカを2発打って何とか凌いでいる状況です。

 

ですが、「来年の10%引き上げは既に決まったこと」としてどんどん進められています。

8%引き上げの際も、「経済対策パック」と称して財政出動したにもかかわらず、ろくに効果がなかったではありませんか。

また、民間のシンクタンクで見られる論調も「消費増税に伴う駆け込み需要」の話のみで、「消費増税後の景気低迷」の話はほとんど出てきません。

日本は「集団的痴呆症」にでも陥ってしまっているのでしょうか。

 

正しい知見に基づき、内外の情勢を謙虚に見れば、「消費増税すべきではないという結論に至るはずなのに。

 

『消えたヤルタ密約緊急電』の中でも、その正確な情報取集と分析でアメリカ機動部隊の行動パターンを的確に予測したことから「マッカーサーの参謀」の異名をとった堀栄三氏が小野寺少将にあてた書簡に、「当時の大本営参謀本部の出世主義者、秀才の中にはかなりの”ゲテ者”がいた」との記述があります。

 

この”ゲテ者”達こそ、独善的な構想を打ち立て、その構想にそぐわない「不都合な事実」からは目を背け、日本を敗戦に追いやった者たちなのではないでしょうか。

 

現代に置き換えるなら、「消費増税しても財政出動すれば景気は悪くならない」、「消費増税の条件は整った」と自己催眠をかけている岡本薫明事務次官率いる財務省が、まさに日本を滅ぼそうとしている”ゲテ者の巣窟”と言えるのではないでしょうか。