さて、全世界待望のダン・ブラウン最新作、『ロスト・シンボル』です。
ダン・ブラウンの名前は誰もが一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?そう、聖杯伝説を描いてイエス・キリストに子孫がいると主張し、キリスト教を根底から震撼させた『ダ・ヴィンチ・コード』の作者なのです。こちらはトム・ハンクス主演で映画化もされました。他の著作にはアメリカ大統領選挙に潜む陰謀を描いた『デセプション・ポイント』、『ダ・ヴィンチ・コード』の前日談にあたり、コンクラーベ(ローマ教皇選出会)の行われているバチカン市国で起こる事件を描く『天使と悪魔』、NSA(国家安全保障局)とハッカーとの戦いを描く『パズル・パレス』があります。
そんなダン・ブラウンの実に六年ぶりの最新作がこの『ロスト・シンボル』なのです。前作、『ダ・ヴィンチ・コード』の波紋があまりに広かったためにここまで刊行が遅れたものと思われます。
もう一つ付け加えるとこの本は映画ではトム・ハンクスが演じたハーバード大学教授・ラングドンシリーズの第3作です。
キリストの聖杯事件から数年後。静かな生活を送っていたラングドンのもとに旧友から連絡が入る。フリーメイソン最高幹部のピーター・ソロモンからで、急遽講演を頼みたいという。ピーターのもとに駆けつけたはずのラングドンだったが、そこに待ち受けていたのは切断されたピーターの右手首だった。そして彼を人質に取ったというマラークと名乗る男はラングドンに“古の神秘”に至る門を解き放てと命じる。始めは半信半疑だったラングドンはピーターの右手首に記されていた暗号を解き進めていくうち、アメリカの首都・ワシントンに隠された秘密を知ることになる…。
と、すごく期待の持てる書き方をしましたが、結論から言うと少し拍子抜けな感じがしました。
その都市にある建物や絵画を使って謎を解き明かしていくストーリーは面白いです。ダン・ブラウンの作品は本の登場人物たちと一緒に自分達も謎を解き明かしていくような感覚が新鮮なのです。
しかし、私はこの本には『天使と悪魔』や『ダ・ヴィンチ・コード』にあったような“疾走感”が欠けているように思えます。淡々と事が運ばれているからです。一応、今回も主人公のラングドンは絶体絶命の危機に陥ったりはしていますけどね。個人的にはダン・ブラウンの著作の中では一番面白くないのではないかと思っています。
ダン・ブラウンは現在、次回作の執筆にかかっていると伝えられていますが、詳細は不明です。次回作に期待しています。