で、早速両方歩いてみました(山崎・台峯緑地&鎌倉中央公園) | 首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

雑誌編集者である著者が自ら首都圏の公園や自然地に足を運び、そこで出合った生きものの情報をお届けします。
都会の印象が強い東京にも、カワセミやタカ、多くの昆虫が暮らしています。「首都圏ってこんなに生きものが多いのか」と驚かされる情報が満載です。

前回の記事の実質的な続きです。

宣言通り、鎌倉歩きのツアーで歩いた

山崎・台峯緑地に再度足を運びつつ

お隣の鎌倉中央公園にも行ってみました。

 

本日の記事は隣り合う2つの自然公園の

私的な比較検証のようなものと

思っていただければ幸いです。

写真がやたらと多いのでサクサク行きます。

そう宣言してサクサク行くことはほとんどないですが

 

上の写真は道中にあった小さな棚田です。

有名処の棚田に比べればもちろん小規模ですが

アップダウンの激しい鎌倉にはよく合った農地構造です。

 

 

 

 

 

 

まずは北鎌倉駅から台峯緑地(以降も略記します)を目指します。

途中写真を撮りながら歩いても30分はかからないはず。

ただし少々坂道なので覚悟が必要です。

(左:ホタルブクロ 右:スジグロシロチョウ

 

立地的にスジグロシロチョウの数が多く

対照的にモンシロチョウは姿を見ませんでした。

これは後述する台峯緑地や鎌倉中央公園でも共通しています。

 

 

 

 

 

途中で見つけたコメツキムシ(サビキコリ)

ちょっと引っ繰り返してみましたが

パチンと跳ねずに身じろぎして起き上がりました。

 

まあ、あんな起き方をしたら体力を消耗するので

普通に起きられるならそうするということでしょう。

なのであまり何度も引っ繰り返さないであげましょう

 

 

 

 

 

前回記事でも紹介した台峯緑地の展望スペース。

今回はほぼ快晴ですので、円覚寺などもハッキリ見えます。

 

 

 

 

 

 

深い森(左)もあれば開けた草原(右)もあり

写真は掲載しませんが小さな谷戸の池もあります。

敷地の大半は森で占められているものの

環境はそれなりに多様と言えるかもしれません。

 

 

 

 

 

 

上記右写真の開けた草原で撮影しました。

ハルジオンに来たベニシジミ(左)と

シモツケソウに乗っかるルリシジミ(右)です。

 

湿った地面で給水することの多いルリシジミは

この後台峯緑地・鎌倉中央公園の双方で

複数回エンカウントしています。

一方、通常数の多いヤマトシジミは

この日は不思議なことに1頭も見当たりませんでした。

「いない」ということはないのでしょうが

ルリシジミの方が多いのは確かなようです。

 

 

 

 

 

カノコガ……ですが

既にササグモの餌食となっていました(南無)

 

古人曰く「きれいな花にはクモがいる」とな(大ウソ)

 

 

 

 

 

上の方で「敷地の大半は森」と書きましたが

林床は真っ暗ではなく、いわゆる雑木林らしく

程よく日光が差し込むような環境になっています。

間伐などをしてこの状態をキープできるよう

有志の皆さんが維持管理しているそうです。

 

何故そんなことを……ってのは

もう何度も書いたのでここではスルーします(爆)

既にサクサク進まなくなっているし

 

 

 

 

 

 

トホシテントウ(左)と膨らみ始めたヤマユリの蕾(右)。

ヤマユリの開花期である7~8月に再度足を運んでみたら

また何かしら収穫があるかもしれません。

 

 

 

 

 

台峯緑地内には細い小川も流れており

カワトンボの姿も見られました。

 

後述する鎌倉中央公園には敷地内に小川が少なく

カワトンボの数は多くありませんが、

公園前の車道沿いにせせらぎがあり

そちらでは結構な数が観察できます。

 

 

 

 

 

ヤマサナエ。日照の少ない雑木林を好む

サナエトンボの仲間です。この日は2回遭遇。

 

 

 

 

 

台峯緑地内にある清水谷戸

まだ造成したばかりなのでしょうか

あまり植物の背丈が高くなく

開放的な水辺空間となっています。

 

池には結構な数のオタマジャクシが

見られましたので、環境は良好なようです。

 

 

 

 

 

ちなみに台峯緑地がオープンしたのは

今年の5月下旬。つまりつい先日です。

立地はGoogleマップを見てもわかる通り

完全に鎌倉中央公園に隣接しています。

 

というか、鎌倉中央公園が属していた巨大な緑地の未開部分を、

公園化して一般の人が立ち入れるようにした……と

言った方が的確かもしれません。

で、鎌倉中央公園との差別化というのもあるのか

台峯緑地は極力手を入れず、木道もほとんど敷かず、

自然な鎌倉の森の中を歩く……みたいなテイストに

なっているようです。故に自然度は高めで

恐らくは鳥や昆虫の数・種類も多めと思われます。

 

 

 

 

 

 

台峯緑地を出て鎌倉中央公園に向かいます。

隣接しているのに直接行き来するルートがないので

一旦緑地の外に出てぐるりと回り込む必要があり

地味に面倒くさいですが(爆)そこは我慢。

 

道中のせせらぎ(右)では上記の通り

カワトンボの姿も見られました。

(右写真の右上付近を要チェック)

 

 

 

 

 

 

こちらが本ブログでもお馴染みの鎌倉中央公園

大きな池(上池&下池)があり、カワセミ(右)も姿を見せます。

上記の通り台峯緑地にも池(谷戸の池)がありますが

面積は鎌倉中央公園の方が圧倒的に上であり

カワセミを探すのならこちらでスタンバイするのが良いでしょう。

ただし、中央公園の2つの池にはアカミミガメなどの

外来種も侵入しており、その辺も踏まえた環境の良さを

比較するのであれば、谷戸の池の方に軍配が上がります。

 

 

 

 

 

また、自然な森を保全しつつ公開している台峯緑地に対し

鎌倉中央公園は「公園」と名にある通り、人が中に入って

自然に親しみながら遊ぶことに重点を置いているため

全体的に開放的な空間や広場が多くなっています。

 

公園内にあるこの棚田も、開けた環境の代表例。

ちょうどこの日は田植えの体験イベントを開催していました。

 

 

 

 

 

 

菖蒲田のハナショウブ(左)もちょうど見頃。

真夏の赤トンボ ショウジョウトンボ(右)も姿を見せました。

 

上記の田んぼも含めて、鎌倉中央公園の立ち位置は

「里山風の自然度の高い公園」といったテイスト。

「かつての自然な雑木林を歩く」という感覚の

台峰緑地とは明確な差が見られます。

ピクニックのできるような芝生広場もありますので

遠足や家族連れで来るなら鎌倉中央公園の方が人気でしょう。

 

 

 

 

 

 

シオヤトンボ(左)とオオシオカラトンボ(右)が

同時に観察できました。台峯緑地&鎌倉中央公園の

双方で確認しております。写真はカットしますが

シオカラトンボも何頭か確認しております。

 

さすがにシオヤトンボはそろそろお別れの時期。

ここから先の真夏はオオシオカラトンボが

席巻するようになるかと思われます。

 

 

 

 

 

ハクセキレイの若鳥。まだ白黒が不鮮明です。

 

 

 

 

 

最後に、ラブラブハート交尾中のカワトンボを。

結局この日は相当数を観察・撮影できました。

 

 

 

以上、何となく所感をまとめると……

■自然度は台峯緑地の方が上

■イベント会場等としては鎌倉中央公園が上

■歩きやすいのは圧倒的に鎌倉中央公園

■昆虫の観察数は台峯緑地の方が上

■総じて、台峰緑地=自然観察・散策の場

 鎌倉中央公園=遊び・体験の場、という印象。

 

簡単に列記するとこんな感じです。

里山ガーデン&四季の森公園もそうですが

隣接する緑地でありながら趣が全く異なるので

どうせ出かけられるのならどちらか一方に絞るのではなく

1日かけて両方を踏破することを強くお勧めします。

直接行き来するルートがないのはアレですが(しつこいですか?)

午前中から現地入りすれば両方を散策し尽くすのも

決して難しいことではありません。

 

 

 

 

【6/4 山崎・台峯緑地&鎌倉中央公園で撮影した生きもの】

鳥類・・・ガビチョウ、カルガモ、カワセミ、シジュウカラ、ツバメ、ハクセキレイ、ムクドリ

昆虫類・・・アオクサカメムシ、アシナガバエ、アメンボ、イチモンジチョウ、オオシオカラトンボ、カノコガ(死体)、カワトンボ、クロウリハムシ、クロコノマチョウ、コアシダカグモ、ササグモ、ザトウムシ、サビキコリ、シオカラトンボ、シオヤトンボ、シマアメンボ、ショウジョウトンボ、スジクロシロチョウ、タンザワフキバッタ(幼虫)、ツマグロオオヨコバイ、テングチョウ、トホシテントウ、ナナホシテントウ、ナミテントウ、ヒシバッタ、ヒメウラナミジャノメ、ベニシジミ、ホソメヒラタアブ、モンキチョウ、ヤマサナエ、ルリシジミ

その他・・・アカミミガメ、クサガメ、スジエビorヌマエビ、タニシ、ナミギセル、ヤマアカガエル(?)のオタマ

 

 

 

★次回、生きもの探索ツアー「首都圏生きものめぐり」は

 2022年6月19日(日)に開催いたします。

 行先は「舞岡公園(予定)」でございます。

 現在お申込を受付中です。ご興味のある方はこちらよりお申込ください。

 (講座の概要につきましてはこちらをご参照ください)

 

 

【小学校6年生までのお子さんのご参加につきまして】

小学校6年生までの方は、初回500円でご参加いただけます。

ただし、御父兄の同行をお願いいたします。