その名は、ミトンクラブ(花をたずねて鎌倉歩き・9月) | 首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

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雑誌編集者である著者が自ら首都圏の公園や自然地に足を運び、そこで出合った生きものの情報をお届けします。
都会の印象が強い東京にも、カワセミやタカ、多くの昆虫が暮らしています。「首都圏ってこんなに生きものが多いのか」と驚かされる情報が満載です。

9月に参加した「花をたずねて鎌倉歩き」の記録です。

ちょうどハギの見頃に入った辺りで、

寺社境内はもちろん、街中の一角にも植栽されており

写真のように枝垂れる姿も観賞できました。

(写真は北鎌倉駅前付近)

 

秋の鎌倉において、ハギは観賞用としてはもちろん

蜜源として多くの昆虫の糧となっていますし

一部昆虫にとっては幼虫の食草ともなります(後述)。

 

 

 

 

 

ハギは1つひとつの花のサイズが然程大きくないので

さすがにアゲハチョウサイズはやってきません。

ツマグロヒョウモン辺りも恐らく難しく、

最大で写真のキタキチョウくらいまででしょうか?

(ただし、アゲハチョウより重いクマバチは平気でぶら下がる)

 

この花で吸蜜するのは、小型のシジミチョウが中心。

特に毎年秋に嫌というほど本ブログで採り上げる

ウラナミシジミにとっては貴重な植物となっております。

 

 

 

 

 

 

東慶寺の境内。土壌の力を再生させるために

手入れをせずに自然なままの状態としております。

かと言って草ぼうぼうなだけというわけでは決してなく

ヒガンバナやシオン等の秋らしい花が多数開花しています。

 

 

 

 

 

ミズヒキの花。赤い花と認識されがちですが

裏側から覗くと白色だったりします。

チェックしてみましょう。

 

 

 

 

 

東慶寺の境内で出逢ったヤマガラ

この日はいつもと違いエゴノキではなく、

ドングリらしきものを咥えていました。

 

それなりの自然度さえあればよく見かけるこの鳥ですが

食べ物については然程選り好みしているわけではないらしく

エゴノキ以外にも色々なものを食べます。

そうでなければあれだけの個体数を維持するのは難しいでしょうしね。

 

 

 

 

 

 

恐らくは不人気意欲的に撮影する人は少ないであろう

ノミバッタ(左)とムモンホソアシナガバチ(右)。

ハチの方は木製フェンスの上でジーッとしており

5cmくらいまで近づいても微動だにしませんでした。

(生きていることはちゃんと確認しました)

 

この日は稀に小雨がぱらつくなど天候が不安定で

あまり昆虫にとっては好きでない気候条件だったので

動くのを控えていたのかもしれません。

 

 

 

 

 

上記の悪天候とはあまり関係ありませんが

谷戸環境ゆえにしっとりした期間の多い北鎌倉。

東慶寺境内でも苔があちこちで繁茂していました。

 

 

 

 

 

同じく北鎌倉の浄智寺へ移動。

早春期にはフクジュソウやクリスマスローズなどが観賞でき

四季を通じて花(華)のある境内です。

(右下の方が講師の村田江里子さん)

 

 

 

 

 

同じく、浄智寺の境内。右奥に咲いているのはシオンです。

 

 

 

 

 

あんまりハエは撮影したくないのですが

偶然手にとまったので(ついでに意外と綺麗なので)1枚。

ミドリバエという、見た目そのまんまの名称です。

 

遭遇率・・・3 (住宅地に沸くようなタイプではない模様)

インパクト・・・1 (見ての通り小型)

美しさ・・・3 (ハエだけれど色はそこそこ綺麗)

俊敏性・・・5 (小さい上に素早く飛ぶ)

知名度・・・1 (手持ちの図鑑には名前なし)

 

本ブログでは基本的にハエの仲間は無視していますが

新顔登録しようと思えば結構な数をリストに入れられます。

でも、そこまでして登録数を稼ぐ必要はないでしょう(汗)

 

 

 

 

 

村田先生タマアジサイオオカマキリ

カマキリの方は別に隠れているわけではありません。

恐らく、タマアジサイに来る他の昆虫を

狙っているのではないかと思われます。

 

 

 

 

 

上のカマキリを、別角度から撮影したもの。

 

 

 

 

 

ハギ、ススキ、コスモス、トレニア

秋の花々が上・中・下の視点を彩る風景。

コスモスとトレニアはもちろん園芸植物ですが

鎌倉の寺社では意外と普通に植栽されています。

派手な色ではなく和庭にも合うので、

特にトレニアはグランドカバーとして活用されているようです。

(夏の暑さに強いのもポイント)

 

 

 

 

 

明月院に移動。この日は東慶寺→浄智寺→明月院

北鎌倉界隈の寺社をめぐっています。

既にアジサイの見頃は過ぎていましたので(タマアジサイは除く)

境内が混み合うようなことはなく、安心して散策できました。

 

 

 

 

 

さて、上でちらと触れたハギウラナミシジミの関係につきまして。

ハギの花を観察していて一番遭遇する機会が多いのですが

これは蜜源だけに留まらず、ハギが非常に重要な役割を担うから。

 

写真の個体は食事中ではなく、腹部の先端を押し付けています。

ちょうど産卵中なのです。

 

 

 

 

 

立ち去った後に確認しましたら、確かにが2個ありました。

ものすごく小さいので、クローズアップしてもこれが限界。

もっと詳細に撮るならルーペを活用する必要があるかも?

昨年もハギに産み付けられた卵を撮影しています)

 

ウラナミシジミにとっては幼虫・成虫両方の食草であり

鎌倉において一番ハギの恩恵を受けている昆虫ではないかと思われます。

 

 

 

 

 

 

明月院で出逢ったニホンアマガエル(左)とナガサキアゲハ(右)。

カエルの方は、恐らくまだ陸に上がったばかりの若い個体です。

 

 

さて、鎌倉歩きの講座は花や寺社・文化施設などを

見て楽しむことをメインとされていますが、

道中では結構な数の野鳥や昆虫に出合い、

それも大きな「楽しみ」の一つでもあります

本ブログにおいても、アオスジハナバチなどを始めとして

講座参加中に撮影・新顔登録した生きものが結構多く

ノスリやシラホシカミキリなどの

ちょっと珍しい生きものにエンカウントすることも。

 

で、そうした中で恐らく歴代トップ級に驚かされたのが……↓

 

 

 

 

 

水路を覗き込んで、一瞬目を疑いました。

キングサイズモクズガニです。

 

淡水生の食用ガニ(美味)として有名な本種ですが

晩秋期になると海に下ることで有名。

それだけに、こんな上流域にいるとは思ってもみませんでした。

ここから海までともなると結構な距離のはずですが

反面、天敵に狙われにくいなどのメリットもあるかもしれません。

 

 

英名は「Mitten crab(ミトンクラブ)」

確かに名前の通り、ハサミが分厚い毛で覆われています。

当然、食卓に上がると水揚げするとこの毛はしなっとなってしまうため

もっさりしたミトンらしい形状を見るには

写真のように水中にいる姿を観察する必要があります。

 

参加者の皆さんも大層驚かれていました。

そりゃあ、こんなところにデカいカニがいると思わないでしょうし……。

 

 

 

 

 

ちなみに昼食のために1時間半ほど席を外し

再度見に行っても、やはりまだ同じ場所にいました。

微妙にポーズを変えていることから

置き物や死んだ個体でないことは間違いありません(爆)

 

 

なお、講座が終わり皆さんとお別れしてから

夕暮れ時まで鎌倉市内を歩いていましたが

この後5体ほどのモクズガニに遭遇しました。

……もしかしたらこれまでも気づかなかっただけで

何度も講座中にニアミスしていたのかもしれません。(;^_^A

 

 

 

 

 

★次回、生きもの探索ツアー「首都圏生きものめぐり」は

 2021年10月17日(日)に開催いたします。

 行先は「長浜公園~八景島~海の公園」でございます。

 (シーサイドラインに乗って移動します)

 現在お申込を受付中です。ご興味のある方はこちらよりお申込ください。

 

 

【小学校6年生までのお子さんのご参加につきまして】

小学校6年生までの方は、初回500円でご参加いただけます。

ただし、御父兄の同行をお願いいたします。