夜の羽化シーン撮影の流儀(後谷公園のセミ) | 首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

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雑誌編集者である著者が自ら首都圏の公園や自然地に足を運び、そこで出合った生きものの情報をお届けします。
都会の印象が強い東京にも、カワセミやタカ、多くの昆虫が暮らしています。「首都圏ってこんなに生きものが多いのか」と驚かされる情報が満載です。

戸田に暮らして10年弱になりますが、

これまで夏のセミの羽化を撮影する際は浮間公園(東京都)にしか行っておらず、

後谷公園(戸田市役所のすぐ横)で撮ったのは今回が初めてだったりします。

樹木が多く、相当数がいるだろうことは想像していましたが

まだ梅雨明け宣言も出ていない中、入ってみるといるわいるわ……

さすがに8月まで待ちきれず、梅雨明け前に出てきたと思われる幼虫が

あちこちの樹木や手すりなどで見られました。

 

 

 

 

 

スマホのライトで照らしながらの撮影……なのですが

片手がスマホで塞がり、右手一本でカメラを支えるので

どうしてもブレが生じてしまいます(汗)。

 

 

 

 

 

セミの数が多いだけに、歩いている最中もうっかり踏まないよう

足元には細心の注意を払います。セミは当然土から出てきて羽化しますが

羽化するための止まり木などまで移動する際には

堂々とアスファルトも横切るため、油断できません。

 

また、写真のような草むらは特に要注意。

芝生程度の草丈でもセミの幼虫はすっぽり隠れてしまうため、

うっかり足を踏み入れればそれだけで不幸な事故が起こりかねません。

「夜の草むらには入らない」位のつもりの方がいいかもしれません。

 

後谷公園に限らず、もし夜の公園でセミを探すのであれば

(あるいはカブトムシなどを探す場合でも同じかもしれませんが)

常に足元に虫がいる可能性を考慮しましょう。多少面倒くさいですが……。

 

 

 

 

 

反り返った羽化後期のアブラゼミ

この個体についてはまた後程ご紹介いたします。

 

 

 

 

 

こっちはニイニイゼミの抜け殻。

サイズが小さく、泥を纏っているのですぐ見分けられますが

目立ちにくいので公園内でも見落としてしまいがち。

 

 

 

 

 

反り返ったニイニイゼミ

出てきた直後は緑色を帯びているんですね。

 

 

 

 

 

別の個体。翅が大分乾いてきて

身体の色も成体のニイニイゼミらしくなってきています。

 

アブラゼミもそうですが、ここは幼虫の数が非常に多いため

浮間公園と同じく色々な羽化段階のセミを観察できます。

1つのセミが羽化を始めてから終了するまでを追いかけていると

それだけで1時間は潰れてしまい、蚊にも刺されまくりますのでご注意を。

 

そういやデング熱の話、全然聞かなくなりましたね。

 

 

 

 

 

上の羽化直後のニイニイゼミを、別角度から。

翅に色のついているセミと言えばアブラゼミが一番有名であり

あちらの知名度は恐らく5点と考えられますが

本種もご覧の通り色があり、茶褐色で斑が入っています。

 

ニイニイゼミの知名度は微妙なライン。

名前は聞いたことがあっても見たことはない(というか見つけられない)

という人はいるかもしれませんね。点数を振るなら4点くらいか?

 

 

 

 

 

 

羽化の初期段階(左)と、中~後期段階(右)。

右のようにロープにぶら下がって羽化する個体も多いですね。

これは浮間公園でもよく見られる光景です。

 

 

 

 

 

仲良く並んで脱衣。

 

 

 

 

 

本記事の上から4番目の反りかえっていた個体ですが

30分して戻ってくると、きちんと殻から脱出できていました。

 

「時間が経てばそりゃ抜けるだろ」と思う方もいるかもしれませんが

実は殻から抜け出せずにそのまま力尽きる個体も少なくなく

この時期の公園ではそういう生々しい死体を結構目にしがちなので

(ついでに生きて羽化できても翅が曲がってしまうケースもあるため)

きれいに脱衣できた姿というのは、不思議なほどホッとするものです。

 

 

 

 

 

最後に、これは翌日の仕事前に撮影したもの。

例の2匹並んで脱衣中だったアブラゼミですが

いずれも無事に羽化できたようです。

 

 

浮間公園の方も、この土日にチェックしてみようかと検討中です。