「本家」を求めて走り回った話(瀬上市民の森~横浜自然観察の森) | 首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

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雑誌編集者である著者が自ら首都圏の公園や自然地に足を運び、そこで出合った生きものの情報をお届けします。
都会の印象が強い東京にも、カワセミやタカ、多くの昆虫が暮らしています。「首都圏ってこんなに生きものが多いのか」と驚かされる情報が満載です。

瀬上~横浜自然観察の森といえば、

ハンミョウカワトンボの観察しやすいお気に入りのスポット。

横浜市有数の森林浴ルートとしても非常に人気が高く、

本来であれば私も毎年GWの頃に歩いているのですが

ご存知の通り緊急事態宣言期間にあったため5月は一度も横浜(実家)に帰れず

今回ようやく7月になって訪れることができました。

 

写真はツバメシジミです。翅を開くときれいな瑠璃色でしたが

これはオスの特徴。メスは地味な黒褐色です。

 

 

 

 

 

通常、このルートを歩く際には瀬上市民の森に入り、

ハイキングコースに抜けてそのまま横浜自然観察の森方面へと

丘陵伝いに歩くのがデフォなのですが、ここでネックになったのが昨年の台風。

上の写真でもわかる通り瀬上では何ヶ所か崖崩れがあり

ハイキングコースに入る直前の斜面が崩れて立入禁止になっており

ここから歩いて向かうことは不可能となっていました。

 

サラッと書きましたが、奥まで入っていって

ようやく通行止めになっていることに気付いたため、結構なタイムロスに。

また、例年と異なり瀬上ではお目当てのハンミョウに会えず

(カワトンボは時期的に真夏に入ったらまず観察できない)

次第に空振り感が漂い始めました……。

 

 

 

 

 

 

一応、瀬上に何もいなかったわけではなく、

昆虫の数や種類自体は依然として豊富です。

左はカマキリの幼虫。恐らくハラビロカマキリではないかと思われますが

ちょっと違うような気もしないでもない……自信がないです(汗)。

 

そして右はトウキョウヒメハンミョウ。名前の通りハンミョウの一種で

こいつらについては探すのに苦労しないほど多数観察できました。

が、本家のハンミョウと比べるとやはり地味で目立たず

申し訳ないですが会った時の感動は小さいんですよね……。

 

ところでこのトウキョウヒメハンミョウ、最近方々で見かける気がします。

本家のハンミョウの居場所を奪っているんじゃないかと

つい邪推してしまうのですが、真相は如何に?

(別に外来種というわけではないみたいですが)

 

 

 

 

 

瀬上で見かけた、シオカラトンボ(左)とオオシオカラトンボ(右)。

名前から伝わってくるほどのサイズ差はありませんが

身体の青味が明らかにオオryの方が強いので

識別に苦労することはあまりないでしょう。

 

ちなみにオオシオカラトンボの知名度は、やはり無印と比べて低め。

2点とまでは言いませんが、せいぜい3点くらいではないかと。

 

その後、特筆すべき生きものとの出合いが期待できそうにないと判断し

14:30くらいに瀬上を離れ、表の通りを歩いて自然観察の森を目指すことに。

大人の足でも30分以上はかかる距離なので夏場はお勧めできませんが

バスの本数も限られているため、歩いた方が到着が早いと考えたのです。

交通費も節約できますしね(ケチ)

 

 

 

 

 

 

横浜自然観察の森へ。梅雨時で足元が大分ぬかるんでいたこともあり

訪問する人はまばら。まあ、元々人でごった返すようなこともないため

今のような状況下ではむしろ安心して楽しめるスポットかもしれません。

また、人がいない間はマスクも堂々と外せます。

というより気温が然程高くなくても湿度によって熱中症危険度は高まるため

特に写真のように周りに誰もいない時は、積極的に外した方がいいです。

 

どこまでなら外してOKか基準がわからないって?

そういう匙加減は自分で外を歩きながら考えましょう(キッパリ)。

冷たいようですが、自然散策なんてのは常に自己責任・自己判断が基本です。

 

 

 

 

 

アオオサムシに遭遇。林床で光が弱く鮮明に撮れなかったので

已む無くフラッシュを使用したら黒っぽくなってしまいました。

本来の色はもっと明るいメタリックグリーンです。

 

ちなみにアオオサムシの知名度は……やっぱり3くらいかな?

この系統の甲虫では一番遭遇率が高く、見た目もきれいですが

カブトムシやクワガタのような人気種とくらべると

こういう「這う虫」が子供たちから注目されることはあまりありません。

 

 

 

 

 

湿った地面で吸水するカラスアゲハ

知名度は3~4程度といったところでしょうか?

この手の黒いアゲハチョウの中では、見た目が美しいこともあり

一番知名度が高いのではないかと思われます。

(ちなみに一番遭遇率が高いのは多分ジャコウアゲハです)

 

アオオサムシもカラスアゲハもなかなか狙って撮れる昆虫ではないため

この時点でそれなりに収穫はありましたが、

はるばる何キロも歩いてきた以上、やはり「本命」に会いたいところ。

足元をしつこいくらいにチェックしながら湿った林道を歩きつつ

30分ほど経過したところ……↓

 

 

 

 

 

やっと、本家のハンミョウに会うことができました。

毎年のように何度も遭遇している虫なのに、今年の喜びは何となく格別。

5月に会えなかった件が尾を引いていましたが

これでようやくモヤモヤが吹っ飛んだような気がします。

なお、カワトンボについては別の場所で会えているのでOKかなと。

これでクソコロナのせいで今年会えなかった生きものはウミウシだけになりました(呪)

 

 

 

 

 

ハンミョウというと地面を活発に歩いているイメージが強く

実際その通りなのですが、この日遭遇した3匹はいずれも草木の上に止まり

ジッとしていました。梅雨明けが遅れて天候が荒れているので

地面に獲物がおらず、自身も増水などの危険のない所に避難しているのかも?

 

ちなみにハンミョウの知名度については非常に悩ましいところで

3寄りの4くらいかな……というのが私見です。

 

 

 

 

 

「トラップを仕掛けるのはやめてください」とあったにも拘らず

マナー違反者がバナナを括りつけていましたよ。(ー ー;)

しかもカナブン大量発生している有り様。

ここまで集っているとさすがに気持ち悪いです(爆)。

 

 

 

 

 

 

樹液に集まる昆虫はカナブンやカブトムシなどの甲虫だけではなく

昼間であれば危険なハチ、それもスズメバチがよく飛来します。

この日もマナー違反バナナトラップ(呪)のすぐ近くに

オオスズメバチ(左)が何匹か集まっていました。

また、ここでは初遭遇のチャイロスズメバチ(右)も何匹か撮影。

 

知名度は、オオスズメバチは恐らく4~5点。

チャイロスズメバチはガクッと落ちて2点くらいかなと考えます。

去年やっと新顔登録できたことからもわかる通り

チャイロryは遭遇率があまり高くないため、認知されにくいのです。

 

そんなチャイロryですが、他のスズメバチの巣を乗っ取って暮らすという

結構ブラックな面を有しているハチだったりもします。

 

 

 

 

 

最後に、小さなカメムシらしき虫を捕獲したアオアブです。

知名度は2~3点くらいか? 大抵の図鑑にはちゃんと載っています。

この系統だと一番知名度が高いのはシオヤアブ(3~4点)なのですが

目が鮮やかな青色で、目だけ見るとこっちの方が奇麗だったり。

 

なお、獰猛なハンターで、時にトンボなどの大型昆虫を相手にしても

後ろに回り込んで口吻を突き刺し、体液を吸ってしまうことがあります。

この興奮は太くて鋭く、人の皮膚にも刺さります(しかも悶絶するほど痛いとの噂)ので

迂闊に手を出さないよう注意が必要です。

 

ちなみに「日本で最強の昆虫は何か?」という話題が上った際に

オオカマキリ、オオスズメバチ、オニヤンマ、カブトムシ辺りと並んで

シオヤアブが名を連ねることもありますが、強さ的には同等にも拘らず

アオメアブの名前が挙がることはまずありません(汗)

 

 

 

 

【7/19 瀬上市民の森~横浜自然観察の森で撮影した生きもの】

鳥類・・・カルガモ、ツバメ、トビ

昆虫類・・・アオオサムシ、アオスジアゲハ、アオバハゴロモ、アオメアブ、アカタテハ、アシグロツユムシ(幼虫)、アメンボ、オオカマキリ(幼虫)、オオシオカラトンボ、オオスズメバチ、オンブバッタ、カナブン、カラスアゲハ、コフキゾウムシ、コミスジ、シオカラトンボ、シオヤアブ、スジグロシロチョウ、セグロアシナガバチ、セマダラコガネ、タンザワフキバッタ、チャイロスズメバチ、ツバメシジミ、トウキョウヒメハンミョウ、トホシテントウ、ニイニイゼミ、ハグロトンボ、ハラビロカマキリ(幼虫)、ハンミョウ、ヒメウラナミジャノメ、モンシロチョウ、ルリシジミ

その他・・・タイワンリス、ナミギセル

 

 

★現在、生きもの探索ツアー開催に向けて準備中! ご期待ください。m(_ _)m