色んな意味で、結局大自然には勝てない(石砂山・前編) | 首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

雑誌編集者である著者が自ら首都圏の公園や自然地に足を運び、そこで出合った生きものの情報をお届けします。
都会の印象が強い東京にも、カワセミやタカ、多くの昆虫が暮らしています。「首都圏ってこんなに生きものが多いのか」と驚かされる情報が満載です。

 

こちらは、本ブログではおなじみのギフチョウの棲み処 石砂山の記録です。

出かけたのは4月上旬ということで、アップするかどうか以前に

行くかどうかも相当悩みましたが、現在里山関連の特集を企画していること、

外に出て情報収集しないとそもそも仕事にならないことなどもあり、

徹底的に感染予防をしつつ、人にも近づかないよう細心の注意を払い

ついでに週末を外して出かけました(立場はフリーランスなので土日休じゃない)。

どの道、平日の石砂山なんて人はいませんが。

 

ぶっちゃけ高尾山も裏高尾も御岳山も里山ガーデンもみなとガーデンも赤城自然園も葛西臨海公園も三番瀬も谷津干潟も桜草公園(ここは去年の台風のせいですが)もトレジャーガーデンも昭和記念公園も狭山丘陵も早戸川林道も円海山も江の島も鎌倉も磯のウミウシ探しもこの春行きたかった所どこにも行けず去年から企画していた軽井沢の取材計画まで吹っ飛んでいるのでこんくらいは許してください(闇)

 

 

写真は、いずれも登山口まで向かう途中で見かけた植物です。

右はマムシグサだろうと思われますが、

左はスミレの仲間である以外はちょっと判然としません。

アリアケスミレが一番可能性としては高いかと思われます)

スミレといえばほとんどタチツボスミレくらいしか見られない都心部と違い

ここの界隈は数・種類共にけた違いであり、その差は明確です。

そして、これはスミレに限らず、9割型外来種の都心と比べると

こうした山岳域はまだ然程「浸食」を受けていません。

 

 

 

 

 

 

きれいに舗装され、数は少ないながらも車が普通に通る道ですが

ちょっと道端に目を向ければ、戸田市内で見られない植物もたくさん。

右写真のキケマンソウもその1種。石砂山ではごくポピュラーな存在ですが

残念ながら戸田市内では(恐らく1株たりとも)見られません。

 

近似種のムラサキケマンなら、もしかしたら可能性はあるかも。

花の形・咲き方はほぼ同じで、色だけ紫色のヤツです。

 

 

 

 

 

法面に咲く青い花。ヤマルリソウ……ではないな。

この花、毎年ほぼ同じ場所で観察しているのですが

いまだに種名がわかりません。ここでしか見ていないということは、

野生化した園芸種ではないと思われますが……?

 

 

 

 

 

ちなみに登山口の手前には普通に民家があります。

この周辺だけスマホの電波が通じ、GPSも作動するので

一応ポケGOをプレイすることは可能です。

もっともポケストップもジムも存在しないので、起動するだけ無駄かもしれませんが

 

 

 

 

 

さっきのアリアケスミレよりもさらに小さい、

指先サイズよりももっと小さいスミレ。

やっぱりちょっと種類がわかりません(汗)。

 

ちなみに自分の知る限り、首都圏でスミレの数・種類が特に豊富なのは

あの高尾山だったりします。石砂山からも割と近い山ですが

あちらの方がスミレのファンには喜ばれている模様です。

そういうわけで実は毎年この時期は石砂山と同時期に歩いていたのですが

今年はこういう状況ゆえ、感染リスクを考慮して諦めました。

(ちょうど先日都知事が、高尾山のロープウェイとケーブルカーを停止したと仰っていましたね)

 

 

 

 

 

頂上への道中。

急斜面はなく、登り始めたら頂上まで2時間かからないので

素人でも割と気軽に登れる山だったりします。

ただし、暖かくなるとヤマビルが活発化するので要注意。

それこそ「登るなら流血沙汰は覚悟しろ」というレベルらしいので

私は毎年ヤマビルが発生する前に用事を済ませてしまいます。

 

 

 

 

 

 

ヤブレガサ(左)にヒトリシズカ(右)。

いずれも石砂山の登山道ではありふれた野草です。もちろん在来種。

そしてヒトリシズカは相変わらず独りじゃない。

 

ヤブレガサの傘の開き方からすると、ギフチョウ観察にはちょうどいい時期。

昨年ギフチョウが入れ食い状態だった時も大体こんな感じでした。

2014年から毎年登っておりますが、一応毎年見ているギフチョウを始めとして

ミヤマセセリヒオドシチョウシュンランフデリンドウチゴユリなど

目ぼしい動植物の出現状況には年ごとに結構な差があります。

一度データ化して分析し、登るのに最適なタイミングを見出してみたいところ。

 

何となく、平野部でサクラ(ソメイヨシノ)が散り始めたくらいの時期

一番ギフチョウが出やすく、登って楽しい気がしないでもないですが……。

 

 

 

 

 

枝かぶりで遠距離でもアオゲラとわかる1枚。

撮れたのはこの1回だけですが、この後何度も鳴き声を聞きました。

相当数が生息しているものと思われます。

 

 

 

 

 

こんな虫が。どう見てもハエなのですが

一応新顔ということで。セスジハリバエというそうです。

外見の特徴をダイレクトに表したナイスなネーミングです。

 

遭遇率・・・2 (林縁部に生息するらしいので、多分町中にはいない)

インパクト・・・1 (サイズは一般的なハエとほぼ同じ)

美しさ・・・1(腹部の模様はおしゃれでも、やっぱハエなので)

俊敏性・・・4(やっぱハエry)

 

ちなみに本ブログでは基本的にハエは撮影対象とせず

新顔登録もしていないのですが、昨今のこの情勢で海に行けず

撮る予定だったウミウシ等をしばらく新顔登録できそうにないので(呪)

選り好みせずこういうのもリストに加えるようにしています。

ハエに失礼? 知るかそんなもん

 

 

 

 

 

 

ハエの次はですか。

正面から&手を添えての撮影ができ、写りも上々ですが

ちょっと種名はわからないです。後日わかったらUPします。

 

 

 

 

 

そんなこんなで山頂に到着。

結局、麓から頂上まで誰ともすれ違いませんでした。

こんな石砂山は初めてです。(平日だからかもしれませんが)

 

上のような張り紙が何ヶ所かに貼ってあります。

外出は自粛要請で済んでいても、

ギフチョウに危害を加えたら法で罰せられますので要注意。

 

 

 

 

 

しばらくギフチョウが現れなかったため、休憩しながら何となく検温。

たとえ近所への買い出しでも外出する際は必ず体温を測りますが

逆に心配になる体温です。

 

 

 

 

 

で、待つこと約20分。お目当てのギフチョウはすぐに現れました。

しかも足元にとまってくれて、皮肉にも歴代で最もクリーンな写りに……。

 

 

 

 

 

サイズ比較用に、私の足を横に並べてみました。

標本みたいに見えるかもしれませんが、ちゃんと生きています。

アゲハチョウの仲間の中では静止してくれる頻度が高いため

脅かさなければこういう撮り方も十分可能です。

ただし踏んづけたら法で罰せられます。

 

 

 

 

 

超低姿勢から、横顔をクローズアップ。

他のチョウよりも早めに羽化するためか、寒さ対策として(?)

頭から顔、お腹、脚の付け根まで長い毛で覆われています。

 

でも改めて撮ってみて、ここまで剛毛とは思わなんだ……。

 

 

 

 

 

スミレで吸蜜するギフチョウ

山頂付近ではこうした花が大事な食事処となっています。

翅に多少傷を負っていますが、これくらいなら問題なく飛べるようです。

 

 

 

 

 

真横から1枚。でもこうして見ると身体が完全にケ●シです。びっくり

(実際、ギフチョウの終齢幼虫は真っ黒な毛むくじゃらだったりします)

もちろん毒があったりはしませんのでご心配なく。

 

 

 

 

ギフチョウを探せ!

(A:左下の方で倒木に乗って日向ぼっこしています

 

 

 

 

 

ギフチョウの食草となるカンアオイ

山頂から裾野にかけていくつも見られます。

ギフチョウと共に大切に保全されているようです。

 

 

 

 

 

最後に、これまた標本みたいな写りのミヤマセセリです。

捕獲せずにこういうシーンを撮るには、

とにかく驚かさないように細心の注意を払います。

 

残念ながらこの日ヒオドシチョウは撮れませんでしたが

ギフチョウとミヤマセセリの登場頻度はそこそこ高かったです。

無論、石砂山のメインディッシュはギフチョウですので

やはりこのタイミングで訪れれば「ハズレ」はないみたいですね。

 

 

 

 

……ここ数日、戸田周辺を歩くだけに留めてまいりましたが

やはり自然地は見られる動植物がまるで異なり、刺激が違います。

同時に、都心でどれだけ人が喚こうがパニックに陥ろうが

山中の動植物は全く変わることなく命を繋いでいると思い知らされます。

 

 

 

 

 

ミヤマセセリの顔をクローズアップ。

ギフチョウほどの剛毛ではないですが、

こちらも微細な毛でびっしり覆われています。

 

後編はいつも通り、下山~藤野駅までのルートです。

 

 

<後編に続く>