その“ゴミ”、サワルナ、キケン(天神島) | 首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

雑誌編集者である著者が自ら首都圏の公園や自然地に足を運び、そこで出合った生きものの情報をお届けします。
都会の印象が強い東京にも、カワセミやタカ、多くの昆虫が暮らしています。「首都圏ってこんなに生きものが多いのか」と驚かされる情報が満載です。

 

8月中旬は少し内陸へシフトしていましたが、引き続きウミウシ捜索へ。

天気は良かったのですが、前回の訪問時と比べると若干波が高く、

磯を歩くにはちょっと向かないかなと、早くも暗雲が立ち込めてきました……。

 

 

 

 

 

波の高低にあまり関係なく見られる生きものといえば

カニとイソギンチャクくらいなものです。写真はウメボシイソギンチャク

後でチェックして気づいたのですが、左上にいる大き目のカニは

イボイワオウギガニのようです。数年前に新顔登録した種ですね。

 

 

 

 

 

あれ?変なところにアブラゼミの姿が。

 

すぐ下は海ですからね。何でまたこんな所に?

(近くに森もあるので、そんな不思議なことでもないですが)

 

 

 

 

 

何となく捕獲してみましたが、手を離しても逃げません。

普通ならこうすると飛んでいくんですが、くっついたまま。

 

 

 

 

 

とりあえず手持ちのタオルに乗せて放置。

私はサンダルに履き替え、浅瀬の探索に出ました。

 

 

 

 

 

穴の開いた欠陥住宅(?)に暮らすイソヨコバサミ

人と違って雨漏りを気にする必要はないのでしょうが

脇から天敵に攻撃されそうです。

 

ホンヤドカリよりもややサイズが大きいため

住居となる貝殻探しには少々苦労するかもしれません。

 

 

 

 

 

指に乗っかってきたイソスジエビ。スケスケです。

尻尾をたたんでいるので、特徴である先端の黄色い紋が見えにくいかも?

 

か弱い生物ゆえに強い波が来ると流されてしまうのか

波打ち際のほとんど水の動かないタイドプールに多数潜んでいました。

しかし、どこを探してもやはりウミウシの姿は見られません……。

もうそろそろ季節が終わってしまったのか? 波が高いと姿を見せないのか?

それともやはりシュノーケル装備で潜って探さないと見つからないのか……?

 

 

 

 

 

海から上がって戻ってくると、まださっきのセミが残っていました。

いい加減離れてくれないかと思いつつ、

いつまでくっついているかも興味があり、くっつけたまま持ち歩くことに。

 

 

 

 

 

さて、ここからが本題です。

 

海岸線にビニール系のゴミが漂着することは多々あります。

近年はプラゴミ漂流問題がマスコミで取り上げられたこともあって

善意からこうしたものを拾おうとする方も多いことでしょう。

ただし、拾う前に一度よくチェックすることをオススメします。

手を出す前にしっかりと、3秒は確認するようにしてください。

(一応、上の写真はただのお菓子の包装材です)

 

 

 

 

 

それ、本当にビニールですか?

 

 

 

 

 

 

 

直接触ることは憚られたので、棒に突き刺しました。

(漂着した時点で既に死ぬ運命なので、まあいいでしょう)

 

これはビニール袋ではありません。

生きものに関してそれなりに知識・恩恵のある方なら

正体が何なのか、もうお気づきなのではないでしょうか?

 

 

 

 

 

別の個体です。私も名前は知っていましたが、

こうして実物を目の当たりにしたのは初めてでした。

ある意味、ウミウシ捜索で磯に足を運びまくったお陰といえるでしょうか?

名前だけならご存知の方も多いことでしょう。カツオノエボシです。

 

遭遇率・・・3 (台風などによって多数漂着することもあるとか)

インパクト・・・2

美しさ・・・3

俊敏性・・・0 (遊泳能力はほぼない)

 

 

「電気クラゲ」と呼ばれることも多い、強烈な刺胞毒を持つ生きものの一種で

近年北上していると噂のヒョウモンダコに準ずる、磯の危険生物です。

「打ち上げられてたなら死んでるんじゃない?刺されないでしょ」と思うかもしれませんが

奴らの刺胞は死んでいても外的ショックで毒針を射出するため

写真の浮き袋はともかく、触手の部分には絶対に触れてはいけません。

過去に死亡事故も起きているなど、関東近海ではトップクラスに危ないとされています。

 

 

 

 

 

 

ちなみに厳密に言うと、コイツはいわゆる「クラゲ」とは別の生物らしく

いくつものヒドロ虫が連なってできた集合体なのだとか。

写真の個体はまだ小さいもので、大きいものだと浮き袋の直径が

リンゴなんかと同じくらいになるものもいるそうです。

そんな連中が、時に何十体と漂着することもあるとかないとか……。

 

アカクラゲなどの本ブログでも過去に紹介したクラゲたちと違い、

カツオノエボシは基本泳げない(浮き袋で水面に浮いてるだけ)ので

ただ海流や波に乗って流されるだけです。

つまり、先日関東に直撃したあの台風に乗って

今、海岸線に漂着している可能性があるということです。ガーン

 

海水浴場はもう軒並み閉まっていると思いますが

もしタイドプール等に足を運ぶのであれば、くれぐれもご注意ください。

(上記の浮き袋が浮かんでいるのを見かけたら即距離を置いたほうが無難です)

 

 

 

 

 

ウミウシが結局見つからないまま、夕方に。

帰りのバスの時間も限られていますし、何より開門時間が17時までなので

ここいらで撤退することにします。すっかり日が傾いてしまって……。

 

 

 

 

 

でも、まだタオルにくっついたままのセミ。

これで生きているんだから変。

 

 

 

 

 

放っておいても離れてくれそうにない(その気になればバスにも同乗させられた)ので

帰り際に近くの木に止まらせてやりました。

ここの自然教育園は生きものの持ち帰りを禁止しているため

それに倣った……と言いたいところですが、セミは多分範疇に入っていない気が(汗)。

 

結局、このセミがなんでくっついていたのかは最後まで不明でした。

特に翅を怪我しているわけでもなかったですし、単に寿命が近く元気がなかったのか?

その割には結構活発に足を動かしていたような気がしますが……。

 

あ、そういえばタオルに口吻を刺していたような気も。汗でも吸っていたんだろうか?

(私の汗とか汚れに寄ってくる奴多過ぎませんか)

 

 

 

 

 

帰り際に、出口近くのビジターセンターで立ち寄りました。

先日読者様に教えてもらい、初めて訪問しました。

 

 

 

 

 

 

教えていただいたとおり、ウミウシの生体展示がありました。

右が、今追い求めてやまないアオウミウシです(角度がアレで見にくいですが)。

果たして今年、野生の彼らに会う機会があるのか……?

秋雨シーズンに入る前に、どうにか撮っておきたいものです。

 

 

 

【8/25 天神島で撮影した生きもの】

鳥類・・・アオサギ、イソヒヨドリ、ウミネコ、キジバト、シジュウカラ、トビ

昆虫類・・・アオバハゴロモ、アブラゼミ、シオカラトンボ、ヒナバッタ

その他・・・アゴハゼ、イソガニ、イソスジエビ、イソヨコバサミ、イボイワオウギガニ、イワガニ、ウメボシイソギンチャク、オオヘビガイ、カツオノエボシ、クロイソカイメン、ヒライソガニ、フナムシ、ホンヤドカリ、ムラサキカイメン、ヨロイイソギンチャク

 

※スマホの海ポチャを避けるため、ポケGOの記録はありません。