カラス三昧のワケ(板倉町農耕地~渡良瀬遊水地 前編) | 首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

雑誌編集者である著者が自ら首都圏の公園や自然地に足を運び、そこで出合った生きものの情報をお届けします。
都会の印象が強い東京にも、カワセミやタカ、多くの昆虫が暮らしています。「首都圏ってこんなに生きものが多いのか」と驚かされる情報が満載です。

前回、渡良瀬遊水地からの帰路で利用した「板倉東洋大前駅」

実はこの駅の反対側(遊水池とは逆側)にもバードウォッチングスポットがあり、

手持ちの本にも掲載されています。どうやら農耕地のようです。

 

しかし、駅前がすぐ鳥の楽園かというとそういうわけではなく

むしろ真逆。駅周辺は新興住宅地になっています。

 

 

 

 

 

 

最近開発されたらしく、どの住宅も新しくてお洒落。

一方で渡良瀬が近いこともあり、右写真のように気球が空を飛ぶこともあります。

都心へのアクセスについてはともかく(汗)非常に住み心地のよさそうなエリアです。

 

 

 

 

 

 

近くには、ちょっとした池のある公園もあります。複数の冬カモが飛来しています。

その他はツグミ(右)が多数。ホオジロやカワラヒワなども確認できました。

冬によく見るオーソドックスな鳥ばかりですが、

まあ「一通りのもの」はここでも十分観察できるようです。

ただし、都心の個体と比べると明らかに警戒心が強く、

とりわけ池のカモたちはこちらを見るとすぐ逃げてしまう傾向がありました。

 

 

 

 

 

住宅街から農耕地に向かう途中にも、大きな池が。

相当数のカモが飛来していましたが、公園同様に警戒心が強いと予想されますし、

時間もあまりなかったのでこの時はスルーしました。

ザッと見た感じですと、ここも普通種ばかりという印象です。

 

 

 

 

 

駅から北西方面へと歩くこと約1時間(爆)。

ここが今回の散策エリアとなる板倉町の農耕地です。

渡良瀬とはまたちょっと違うニュアンスでだだっ広く、

見渡す限り、ビルや飲食店などの類はまったく見当たりません。

それどころか「木」すらない……。こんなところに鳥がいるのでしょうか?

 

 

 

 

 

 

この日の鳥探しはやや特殊で、普段スルーしているカラススズメ

むしろ念入りにチェックするように心掛けました。

(ハシブトガラス(左)とスズメ(右)は、通常撮影した生きものリストにすら加えない)

理由は、通常都心部では目にする機会のないちょっと珍しいカラスとスズメが

この農耕地には毎年飛来しているという情報があったため。

ただ、通常版(?)との差は本当に細かな部分のみで、パッと見では識別できないため

いちいちクローズアップして撮影→確認する必要がありました。

そのため、PCに保存しているこの日の撮影記録は、やたらカラスとスズメの写真が多いですw

 

 

 

 

 

電柱にとまるカラス軍団を撮影。

都会でも見られる何ら不思議のない光景……と思いきや、

これこそが実は探し求めていたものでした。↓

 

 

 

 

 

一見するとそこら辺にいるカラスと同じ。

しかし、実はこれは渋谷の繁華街なんかには絶対現れない種なのです。

正体はミヤマガラス(深山烏)。嘴の付け根が白いことが特徴で、

名前の通り(?)都心からかなり離れた農耕地に越冬のために飛来する冬鳥です。

 

遭遇率・・・2  (いる所にはコンスタントに現れるそうです)

インパクト・・・3

美しさ・・・2  (まあカラスですし……)

俊敏性・・・4  (ついでに警戒心が強い)

 

一度見つけた後は、田んぼ周辺を中心に割とコンスタントに観察できました。

集団性が強いらしく、1羽でいるということは一度もなかったんじゃないかと。

手持ちの本によると、ここはチュウヒなどの猛禽類も多く飛来するらしいので

敵襲に備えているのかもしれません。 (この日の本命はハイイロチュウヒだったのですが、そちらは割愛)

 

 

 

 

 

上に書いた通り、他のカラスとの比較のポイントは嘴の根元

慣れてくると遠目でも識別できるようになるのですが、

光の関係で白く見えてしまうこともあるため、

やはりいちいちクローズアップして確認する必要があります。

 

加えて、都会のカラスと違って人を非常に恐れているらしく、接近するのが困難。

電線の真下から接写……なんてほとんど不可能。ほぼ確実に逃げられます。

「そこまでして撮るほどのものか?」 と問われると痛いところですが(汗)

とりあえず、久しぶりの新顔です。

 

本当はこれに加え、ニュウナイスズメというスズメの別種も撮りたかったのですが

残念ながらこの日は現れませんでした。スズメの頬にある黒い紋がないのが特徴で

この界隈では冬鳥としてよく飛来するらしいのですが……。

仕方ないですね。また、次の冬に期待するとしましょう。

 

 

 

 

 

ミヤマガラスのいる風景……なのですが

こういう俯瞰では単なるカラスの集団にしか見えず……。

生物の写真というのは、被写体の正体が判然として初めて価値が生まれる

ものだと考えていますので、酷な言い方ですがこれでは何の意味も成しません。

 

カメラの画素数がもう少し多ければ、拡大した際に嘴の付け根がくっきり写り

ミヤマであることがわかるかもしれないのですけどね。

(ちなみにカメラをようやく買い換えました。詳しくはまた後日)

 

 

 

 

 

電線にとまったミヤマガラスの大群。

これまた猛禽対策の一貫か……と思いきや、

電柱にノスリが止まっています(右下の茶色い鳥に注目)。

まあ、ノスリはあまりカラスのような大型の鳥を襲うことはないので

カラスサイドにしてみれば警戒する相手ではないのかもしれませんが。

 

 

 

 

 

ここでは何度かノスリと遭遇しました。普通に電柱にとまっていることが多く

見つけるだけならほとんど苦労しません。

平塚の例の“タゲリ田んぼ”に通じるものを感じました。

 

 

 

 

 

このノスリ(電柱にとまっています)、完全に鳥を狙っていないのか

近くの電線にスズメの大群がとまっても知らん顔でした。

いや、あるいはお腹いっぱいで、スズメ達もそれを察知していたのかも?

 

これを“自然共生”といっていいのかは微妙かなり微妙。

 

 

 

 

 

カラス(種名は不明)と追いかけっこするチョウゲンボウ

結局、ここで撮れた猛禽は本種とノスリだけでした。

本来であればチュウヒやハイイロチュウヒ、コチョウゲンボウなど、

レア度の高い猛禽も結構飛来するスポットらしいのですが

昼過ぎまで歩いても姿が見えず、そこへきて尿意に襲われました(汗)。

ギャグに感じるかもしれませんが、結構な大問題。

何せここは公園ではなく、近くにコンビニや公衆便所もありませんので……。

 

 

 

 

 

尿意をまぎらわすためにポケGOを起動(爆)。

ここは公園ではなく、あくまで農耕地。文化財施設なども存在しないため

見ての通り寂しい状態でした。渡良瀬遊水地以上に、狩りには向かないようです。

 

 

 

 

 

十数分探し求めた結果、ようやく1軒のラーメン屋さんを発見。

ほとんど飛び込む勢いで入り、ついでにここで昼食を済ませました。

家系ではない、昔ながらのしょうゆラーメン。ちょっと懐かしくなりました。

 

腹ごしらえを済ませて、午後はそのまま徒歩で渡良瀬遊水地へ向かいました。

果たして、お目当てのハイイロチュウヒは現れるのか?

 

 

≪後編(渡良瀬遊水地)に続く≫