イトトンボは識別が難しくて……(水元公園) | 首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

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雑誌編集者である著者が自ら首都圏の公園や自然地に足を運び、そこで出合った生きものの情報をお届けします。
都会の印象が強い東京にも、カワセミやタカ、多くの昆虫が暮らしています。「首都圏ってこんなに生きものが多いのか」と驚かされる情報が満載です。

 

首都圏では先週梅雨明けしたという話を聞きますが、

今年は正直梅雨があったという実感がイマイチ沸いてきませんね。

この水元公園に足を運んだのはまだ梅雨の間の話でしたが、

まとまった雨が降ることもなく、この日も真夏らしい晴天でした。

 

潤沢に水のある水元公園は暑くなると非常に蒸し、

体感温度が上昇して熱中症の危険に晒されます。

山歩き同様、飲み物は多めに持っておくべきでしょう。

(特に8月からは要注意)

 

 

 

 

 

釣り客の多い水元公園。たまにサギが横取りしようと近づいてくることも。

皆さん慣れてしまっているのか、特に追い払おうとすることはありません。

サギの方もあまり強引な泥棒はせず、あくまで「おこぼれ」にあやかりたいだけの様子。

これも人と野鳥の共生……というべきか?

(写真にはコサギアオサギが写っています)

 

 

 

 

 

釣り人の前にはこんな客も。

竿の先端に止まっているウチワヤンマです。よく見かける光景ですね。

 

 

 

 

 

雨が少なくて乾燥気味のハナショウブ園に、カルガモさん親子が。

生まれた日が多少異なるのか、同じ子供でも成鳥具合が大分異なります。

(多分、黄色味が薄くなっている右の個体がお兄さん(お姉さん)なのでしょう)

 

 

 

 

 

園内南側の水産試験場跡地へ。

ヤブカンゾウ、ノカンゾウなどを始めとして、ガマやミソハギなどの

湿地性・水生植物が多数植栽されており、この時期は園内でもとりわけ美しいスポット。

浅い池を中心として水環境が多くあるため、トンボ類を探すのであれば

ここを重点的に歩き回るのが最も効率がいいでしょう。

 

特に小さくて飛翔能力の弱いイトトンボの仲間にとっては、

こういう注水植物の多い環境は身を隠す場所が多く、暮らしやすいようです。

(ウチワヤンマのようにすばやく長時間飛び回れるタイプは、むしろ小合溜なんかの方が多い)

 

 

 

 

 

アサザ……ですかね?コレは。

普通花は黄色いものですが、白色の個体は初めて見ました。

 

 

 

 

 

オカトラノオ……ならぬヌマトラノオという植物も見られました。

丘ではなく沼すなわち湿地帯に生える別個体ということですが

オカトラノオが水辺に生えるケースも多々あるため、それだけで識別するのは難しいかも。

本種は花の穂が真上に伸びようとする傾向があり、

オカトラノオのように枝垂れることはあまりないので、そこで見分けられます。

(それとて差が微妙なこともありますが)

 

 

 

 

 

これは水産試験場跡地ではなく、園内の別の場所で自生していたものです。

形状からしてヌマトラノオと見て間違いないでしょう。

個体数自体はオカトラノオよりやや少なめで、分布も局所的な模様です。

 

 

 

 

 

真夏の水辺で一際目を惹く、美しいチョウトンボ

しかしなかなか止まってくれないため、鮮明に撮るのは困難です。

この時も10m以上離れた杭の上にとまり、クローズアップしてもこれが限界でした。

個体数自体は結構多いのですが……。

 

 

 

 

 

 

個体数が多いといえば、

ここ水元公園で特筆すべきはイトトンボやモノサシトンボの系統です。

小合溜の岸辺から水産試験場跡地まで、蓮や注水植物の上などでよく見られます。

写真は、アオモンイトトンボ(左)とクロイトトンボ(右)。

首都圏の公園でも比較的よく見かける種です。

 

 

 

 

 

ややレア度が高い種としては、このキイトトンボなども見られます。

鮮やかな黄色ゆえに小柄ながらも目立ちやすく、同時に識別もしやすいのが特徴。

というのも、他のイトトンボは大抵類似種が存在し、

パッと見ただけでは見分けるのが難しいのです。(アオモンとアジアなど)

また、♂♀で体色がガラリと変わることもあり、これまた厄介。

私も未だに、最終確認のために必ず図鑑で確かめています。

 

 

 

 

 

具体的に識別しにくいパターンを紹介しましょう。

このトンボ、一見するとモノサシトンボのように見えるかもしれませんが

正体はオオイトトンボという全く別の種。今回初撮影した新顔です。

 

遭遇率 … 2
インパクト … 2
美しさ … 4
俊敏性 … 3

 

モノサシの腹部の特徴である目盛り状の模様だけで識別しようとすると

あちらの遭遇率が高いこともあり、ほぼ確実に引っかかります。

というか、今まで本ブログでモノサシとして紹介してきたトンボの中にも

本種が紛れ込んでいる可能性が存在します(汗)。

……これに限らず、1回全部過去のデータを洗い直した方がいいような気がしてきました。

 

 

 

 

 

ちなみにオオイトトンボの識別ポイントは

目の上に三角形(というかドラクエによく出てくる「盾」みたいな形)の青い紋があり、

また、その紋を繋ぐように1本のラインが頭を横切っているのが特徴です。

これはモノサシトンボにはありませんので、明確な識別材料となります。

 

にしても本種に限らず、トンボの顔はクローズアップすると少々不気味ですね……。

 

 

 

 

 

カワセミコゲラが同じ場所に出現したため、セットで撮影してみました。

かたや森、かたや水辺の鳥だけに、こうして一緒に撮れる機会なんて滅多にありません。

水郷だけあってカワセミの出現率は非常に高く、散策していると毎度複数見かけます。

コゲラがぶれてしまった件についてはまあご愛嬌。

 

 

 

 

 

別の個体です。カワセミって何故かたまにこういう背伸びした姿勢を見せますね。

威嚇する際に背伸びすることもあると聞きますが、これがそうなのかは不明。

少なくとも、近くに別のカワセミの姿はなかったので

もし威嚇していたとすれば、私に対する拒否反応という可能性が高いです(汗)。

 

 

 

 

 

3匹連なっている小さなテントウムシ。1匹の大きさは恐らく5mmにも満たないです。

ヒメカメノコテントウといい、珍しくはないのですが本ブログでは新顔です。

 

遭遇率 … 3
インパクト … 1
美しさ … 3
俊敏性 … 2

 

主食はナナホシテントウなんかと同じくアブラムシであり、

実際この3匹のすぐ傍にはアブラムシの姿が見られました。

人にとっては益虫といえる存在です。特にバラ園なんかではありがたい存在。

こんな小さなテントウムシでも、数匹いるだけでアブラムシが激減します。

(不確定要素が多いので基本バラ園では殺虫剤が使われますが)

 

 

 

 

 

オオヨシキリ。すっかりお馴染みの夏鳥です。

水元公園にはヨシ原もあるので、結構頻繁に出くわします。

そして案の定、ゲッチョゲッチョと喧しいことこの上なく……。

 

暑さの増してくるこの季節、あの声を近くで聞かされると

自然と体感温度が増してきます(呪)。まるでミンミンゼミの声のよう……。

 

 

 

 

 

この辺りでかなり暑さがしんどくなってきて、汗の量が尋常でなくなってきました。

所さんがCMでいっている脱水症状に近かったかもしれません。

 

あー……頼む、ハイドロポンプしてくれ~……。

 

 

 

 

 

ずっと立ちっぱなしor歩きっ放しだったので乳酸も蓄積してきました

お昼時だったこともあって、園内にあるお食事処「涼亭」へ。

暑い時につい入りたくなる良ネーミングです。

 

この日は梅干を添えた冷やしうどんをいただきました。

梅肉をほぐして麺に絡めると、さっぱりして非常に美味。

夏場には特におススメです。

 

食後は適当にぶらぶらと。かわせみの里などの園の端まで足を運びました。

とは言え、その後見られた生きものはほとんどメジャー所ばかり。

あまり改めて紹介するほどのものはいませんでした。

 

 

 

 

 

そんな中、園路の一角でこんなものに遭遇。

形状は明らかにハンミョウの仲間ですが、日本屈指の美しさを誇る無印のハンミョウと違い、

こちらはやや地味な褐色で、サイズもあちらより一回り小さいです。

正体はコハンミョウ。見たまんまのネーミングです。

 

遭遇率 … 3
インパクト … 1
美しさ … 3
俊敏性 … 2

 

これまでに本ブログではトウキョウヒメハンミョウ、ニワハンミョウなどの

類似種を紹介してきましたが、本種は今回が初顔合わせです。

翅の模様で見分けられますが、これもイトトンボ同様に図鑑に頼った方がいいでしょう。

 

 

 

 

 

正面から。サイズは小さいものの立派な肉食昆虫。

無印のハンミョウと同じく鋭い顎を持っています。

 

 

 

 

 

肉食昆虫といえば、ここではスズメバチも出現しますので要注意。

とはいえこの時期は比較的大人しく、こちらから危害を加えない限りは

このくらい近い距離でなおかつ正面から連写しても、襲ってはきませんでした。

 

ちなみに写真の個体はコガタスズメバチです。

とはいえ上のコハンミョウもそうですが、こうして接写した画像をデカデカと掲載すると

実際のサイズがわかりにくくて困ります。

 

こればかりはブログや図鑑でも限界がありますので

やはり実際の昆虫のサイズ感を把握するには、直接足を運ぶ必要があるでしょう。

やたらと暑いですが、ぜひ皆様もフィールドワークへ!

 

 

 

 

 

肉食昆虫つながりで、カマキリの幼虫にも遭遇しました。

まだこの時期は身体が小さく、スズメバチやウチワヤンマなどの他の肉食昆虫には

到底太刀打ちできません。秋になれば逆にそうした連中を捕食できるほどの強さを得られるので

今はまだ辛抱辛抱……。たくましく生き抜いてほしいものですね。

 

 

 

【7/8 水元公園で撮影した生きもの】

鳥類・・・アオサギ、オオヨシキリ、オナガ、カイツブリ、カルガモ、カワウ、カワセミ、カワラヒワ、コゲラ、コサギ、ヒヨドリ、ムクドリ

昆虫類・・・アオモンイトトンボ、アカボシゴマダラ、アジアイトトンボ、アメンボ、ウチワヤンマ、オオイトトンボ、オオヒラタシデムシ、オンブバッタ、カマキリの幼虫、キイトトンボ、クマバチ、クロアゲハ、クロイトトンボ、コガタスズメバチ、コガネグモ、コシアキトンボ、コハンミョウ、コフキゾウムシ、コフキトンボ、シオカラトンボ、ショウジョウトンボ、セグロアシナガバチ、チョウトンボ、ニイニイゼミ、ヒメカメノコテントウ、ベッコウハゴロモ、ベニシジミ、モンシロチョウ、ヤマトシジミ

その他・・・アカミミガメ、アメリカザリガニ

 

 

【7/8 水元公園で捕獲したポケモン】

アーボ・・・1

イーブイ・・・1

イトマル・・・1

オクタン・・・1

オタチ・・・6

クサイハナ・・・1

コイキング・・・6

コダック・・・4

コラッタ・・・3

シャワーズ・・・1

チコリータ・・・1

トサキント・・・1

ナゾノクサ・・・1

ニドラン♀・・・1

ネイティ・・・1

ハネッコ・・・2

ビードル・・・1

ヒトデマン・・・12

ヒマナッツ・・・2

フシギダネ・・・1

ポッポ・・・1

ポポッコ・・・1

ミニリュウ・・・2

ヤドン・・・1

ヤンヤンマ・・・1

レディバ・・・2

ワニノコ・・・1

 

≪総括≫

巣に指定されていたヒトデマンは別として、満遍なく様々な種が出現する水元公園。

ポケストップの数も割と多く、狩りに適したスポットといえるでしょう。

なお、いかにもヤンヤンマあたりが量産されそうなイメージがありますが、

この日捕獲できたのは1匹だけ(まあ、あんまいらないかもしれませんが(汗))。

嬉しいのは、水辺が多い分ミニリュウが出現するということ。

巣になることはありませんが、長時間滞在すればそこそこ成果はあるかも?