おじさん医学生 | 行雲流水~へき地の一人病理医の日常

行雲流水~へき地の一人病理医の日常

兵庫県の赤穂市民病院に勤務する病理医です。学士編入学を経て医学部に入学し、2004年卒業。病理専門医、細胞診専門医です。

 医学部というのは面白いところで、他の職業や学部を経て入りなおした人が結構いる。


 私もそんな「転向組」の一人だ。32歳で医師になったとはプロフィールにも書いたが、私の大学では私が最年長じゃなかった。上から7~8番目くらいだったと思う(それでも「年寄り」には違いないが)。


 著作のある人にも再受験組は多い。その中でも精神科医が多いかな。帚木 蓬生、岡田 尊司、町沢 静夫。地域医療の色平 哲郎。外科医の平岩 正樹。ゆびまわしと速読の栗田 昌裕。勉強法の吉田たかよし。ぱっとおもいついただけでもこんな感じ。


 最近では新しい研修制度が導入され、また、医師不足などもあって、30代くらいじゃそれほど年齢によるハンディを感じなくなった。年下の上司に学ぶ謙虚さを失わなければ、十分やっていけるだろう。


 ただ、安易に医学部への再入学は勧められない。医学部の講義や実習は結構大変だし、それからだって何年も修行を続けなければならない。甘くはない。


 というわけで、医学部再受験を考える本など。ただ、受験テクニック本は除く。

河辺 啓二
おじさん医学生奮闘記―子連れ学生が覗いた東大医学部の裏側 涙と笑いの実習・研修生活日記

 官僚を経て30代で東大医学部に入りなおした人。主に医学生時代を振り返っている。

川渕 圭一
研修医純情物語―先生と呼ばないで

 フィクションだが自伝的作品。東大を出て30歳で京大医学部に入りなおし、研修医になった。その後、医学部に入る前の話

セブンソングズ―フリーター医師の青春七転八倒記

や、研修後の話

とび出せ!ドクター

も出している。

九鬼 伸夫
記者のち医者ときどき患者

 42歳で富山医科薬科大を出て漢方医になった方のエッセー集。再受験を志す人に厳しい言葉もある。高齢で医学部に入る過酷さが分かる。なお、エッセーの内容はホームページでも読める→こちら

神谷 美恵子
神谷美恵子著作集 (補巻 1)

みすず書房の説明

http://www.msz.co.jp/titles/00000_01999/ISBN4-622-00642-1.html


 神谷美恵子さんは再受験生と言えるか分からないが、25歳になってようやく医学部に入ることが許された。時代が違うとはいえ、真摯に医学に取り組む姿勢には学ぶことが多い。