Analysis of football data_サッカーデータ・スコア解析ブログ -8ページ目

Analysis of football data_サッカーデータ・スコア解析ブログ

ヨーロッパ7大リーグ出場全選手のデータを使って選手やクラブの解析をしています。

ついでに英語の練習中
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どうも、Schusseです。

シーズンも10試合以上が終わったので、そろそろ中間査定をする時期に差し掛かっているのではないかと思う。ユナイテッドは、と言うと、当初の悲劇的な状態からはかなり復活してきており、今後に若干期待も持てる状況にはなって来ている。

 

スタッツを見てみるとお分かりいただけると思うのだが、当初懸念されていた(そして昨年課題であった)得点力は大幅に改善しており、ゴール期待値で言えばリーグトップレベルである(執筆時点でexGはリーグ5位で、シティやアーセナルと1点も違わない)。

一方で、課題は失点の多さであり、11試合で失点期待値は16.8(ページによって値は違うだろうが)、ワースト7位だ(それでもリバプールよりは少ないが)。

 

失点の多さについては良くこんな言葉を耳にする。

「中盤の強度不足だ」

本当にそうだろうか。特にバレバ獲得推進派がこのようなことを言っているような気がする。そこで、その点を少し検証してみたい。

 

まず、今年の中盤センターのペアは鉄板でブルーノとカゼミロとなっている。確かに、どう見てもトップ下のブルーノと、年寄のカゼミロなので不安はある。

では、この二人がいる時の失点はどうなっているのか。

順に見ていこう。C+Bがカゼミロ+ブルーノを意味する。

 

Week1: アーセナル_C+B 65 min, 1失点。残り25 min, 0失点

Week2: フルハム_C+B 53 min, 0失点。残り37 min, 1失点

Week3: バーンリー_C+B 72 min, 2失点。残り18 min, 0失点

Week4: シティ_C+B 10 min, 0失点。残り80 min, 3失点(ウガルテ+B)

Week5: チェルシー_C+B 45 min, 0失点。残り45 min, 1失点

Week6: ブレントフォード_C+B 0 min。 残り90 min, 3失点(ウガルテ+B)

Week7: サンダーランド_C+B 85 min, 0失点。残り 5 min, 0失点

Week8: リバプール_C+B 58 min, 0失点。残り32 min, 1失点

Week9: ブライトン_C+B 70 min, 0失点。残り20 min, 2失点

Week10: フォレスト_C+B 90 min, 2失点

Week11: トッテナム_C+B 72 min, 0失点。残り18 min, 2失点。

合計:C+B 620 min, 5失点(90分当たり失点数0.725)。残り370 min, 13失点(90分当たり失点数3.16)

 

ちなみに、カゼミロ+ブルーノペアの、90分当たり失点数0.725というのは、リーグで2番目に失点の少ないシティ(990 min, 8失点)と同等である。

 

つまり、「ブルーノとカゼミロの中盤センターの強度不足、とは言えない」ということだ。問題はむしろ、「カゼミロ不在時の失点の多さ」である。ブルーノが交代することはほぼ無いので、この差は、ほぼカゼミロとウガルテの差と言える(残念ながらメイヌーはほぼ出番がない)。

 

ではここから、具体的にどの当たりが問題と考えられるのか、を探っていこう。

まず最初に、失点場面を考えると、これは印象になるがユナイテッドは特にセットプレーと、サイドからの失点が多い。ただ、今回はオープンプレーについて考えたいので、セットプレーは考慮しない。ここは中盤センターの人選などとは別個の問題だからである。

 

では、サイドからの失点が多い理由は何か。

個人的に問題と考えるのは以下の点である。

l  前からのプレス

l  シャドーの人選

l  WBの人選

 

最初の項目は、前からのプレスである。

 

正直に言えば、昨年までに比べるとプレスの精度は上がっていると感じる。

理由として大きいのが、シャドーの選手が変わったことだ。

これまではラッシュやガルナチョなどが担当していたが、彼らは少し守備面で緩さが見られた(特にラッシュは酷い)。これが、クーニャ、エンベウモ、マウントになったことでサボりが減り、連動性が生まれるようになった。

ただ、問題がある。

それは、「ブルーノのイケイケ癖」だ。

彼は守備もサボらない。

それは良いのだが、今の担当はCHにも関わらず、相手のCBや時にはGKまでプレスを掛けに行ってしまうことがある。

その時に後ろがきちんと連動出来ていればよいのだが、基本的には人数が足りなくなるため、躱されてひっくり返されてしまうことが散見される。

そうなれば悲劇だ。

なんせ、広大な中盤中央のスペースを30過ぎたカゼミロが一人で全て面倒見なければならなくなる。

カゼミロは衰えた、カバー範囲が狭くなった、とかよく言われるが、それ以上に、「カゼミロがカバーしなければならない範囲が広くなった」と言った方が適切だろう。

範囲が広ければ当然的を絞ることも出来なくなり、素早い出足でのタックルやカットも出来なくなる。

この時に、人数が余るCBが飛び出してきて中央を埋めてくれれば幾分楽だが、ユナイテッドはこの点にかなり課題がある。

 

とは言え、特にショーを使うことでこの部分はかなり改善されてきているように思う。彼はしっかりと中盤まで飛び出してきてくれる。また、最近はCBの選手がマンツーマン気味にマークした選手を追いかけて中盤まで来ることも多くなったので、この辺りは少し整備されてきたように感じられる。

とは言え、ショーに比べると右(ヨロまたはデリフト)の飛び出しは少ない。

これは、彼らの問題も少しはあるかもしれないが、それ以上に「左WBはダロトなのに右WBはディアロだから」という点が影響していると思われる。

この点は最後に書こう。

 

 

2点目はシャドーの人選だ。

今メインでシャドーを任されているのはエンベウモ、クーニャ、マウントの3人だが、私は昔の記事で、「クーニャはCFで使い、シャドーにマウントとエンベウモを置きたい」と書いた。

なぜか。

シャドーは守備の負担が大きいからだ。

もっと言うと、シャドーは引いてブロックを形成する時にサイドの深い位置まで戻らなければならない。私は、クーニャがその役割に適しているとはとても思えない。

 

正直に言うと、クーニャには満足している。ウルブズの時は歩いている時間が多く、守備で本気を出さない選手という印象だったのだが、ユナイテッドでは非常に真面目に守備のタスクもこなしてくれている。

だが、彼は本来ウィングではなくフォワードの選手だ(CFよりはセカンドトップ的であろうとは思うが)。

そのため、守備の時に毎回サイドを戻るというタスクはどうやっても染みつかないだろう。

実際、クーニャがサイドの守備のサポートに遅れてしまったがために失点したシーンが今年起こっている(どの試合だったか忘れちゃったけど…)。

しかし、これは起こるべくして起こっていることである。

クーニャをシャドーに置くということは、そういうことだ。

いっそのこと、守備時は5-3-2にした方が潔いかもしれないが、それだと中盤の3がカゼミロ、ブルーノ、エンベウモになるのでカゼミロの負担が半端ない。

 

 

3点目はWBの人選だ

つまり、右WBにディアロを置くことによる功罪である。

間違っても、ディアロが悪いと言っているわけでは無い。彼の存在は差し引きで言えば明らかにプラスである。

しかし、一方で、彼は純然たるウィングプレーヤーであり、守備力に期待すべきではない(と言っても、前に出ていく守備の上手さはチーム随一で、相手陣内でボールを奪いきる能力はピカイチだ。去年何回そこからゴールを奪ったことか)。

 

当然、戻っての守備は得意ではないので、下記のような弊害が生じている

1.     前にプレスを掛けることが得意なので、そもそも回避された時に戻って来ることが出来ない。そのため右CBが釣り出される

2.     引いて守った場合も、相手WGのドリブルに対応しきれない。その結果、崩されて大きなピンチになり得る、クロスを上げられる、右CBが釣り出される、と言った問題が生じる

3.     伸長があまりにも低いため、左サイドからクロスを上げられた時に競り合えない。先日もこのパターンから失点している。

 

このような問題がある上に、上記により生じる二次的な問題として、右CBの過剰負荷が生じる。

具体的に言うと、右CBは右サイドのケアを第一優先に考えなければならないため、前述した、「ブルーノが飛び出した中盤センターを埋める」というタスクを実行できない状態に陥る。

 

 

以上お分かり頂けたように、ユナイテッドの失点の問題は中盤センターだけで生じているわけではない。むしろ、いくつかのポジションにおける構造的歪みが他のポジションに波及して全体的な問題となってしまっている。

攻撃面は見事に修正して見せたので、今後それを維持しながらいかにこの守備の問題を解決していくか。アモリムの腕の見せ所である。

ただ、試合中の修正を見ているとどうにもアモリムにその能力があると思えないんだよなぁ。

なぜかは分からないが、アモリムはリードしている状況で攻撃的なカードを切る傾向がある。

先日のトッテナム戦では、スタメンからシェシュコを外し、トップにクーニャ、シャドーにエンベウモとディアロ、WBにマズラウィとドルグというメンバーを選んできた。

左がダロトじゃないということを除けば、最も攻守に安定した布陣と言えるだろう。このスタメンは上記の問題を大部分解決しており、アモリムが色々と悩んだ痕跡が認められた。

そして狙い通り先制して1-0で推移。

後は試合を締めるだけである。

なのに、なぜか分からないが、アモリムはリードしている後半にマズラウィに替えてシェシュコを投入。守備の穴になるようにクーニャをシャドーに、ディアロをWBに配置した。まぁ結果的には失点したのはクーニャを下げた後(かつカゼミロを下げた後)だったが、あの交代の意図は何だったのかいまだに分からない。

そもそもこの試合、クーニャはロストも多くあまり出来は無かった。攻守に走れるマウントを入れる方が効果的であることは明らかだったと思うのだが…。

 

この辺りをどうマネージメントしていくのか。早めに解決策を見出して欲しい。