Analysis of football data_サッカーデータ・スコア解析ブログ -21ページ目

Analysis of football data_サッカーデータ・スコア解析ブログ

ヨーロッパ7大リーグ出場全選手のデータを使って選手やクラブの解析をしています。

ついでに英語の練習中
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どうも、Schusseです。

全くもってうまくいかないユナイテッド。

今回は、移籍市場の立ち回りについて振り返ってみよう。

 

まずは前回のおさらい。アモリムの3-4-3システムは全くハマっていない。というのも、これまで用いて来た4-2-3-1と3-4-3では根本的に求められる選手能力に違いがある。特にスカッドとして問題なのは以下の点だ(4-2-3-1でも問題だった点も含む)

・内外でプレー出来る質の高いシャドーの不足(若いディアロのみ。サンチョとグリーンウッドは放出)

・CFの質不足

・エースであるブルーノの適性ポジションが無い

・サイドから崩せるWBが存在しない(アントニーのみ)

・ブルーノをCHで起用しない場合、CHの攻撃力不足(解決し得るのはエリクセンとマウントのみだが守備と負傷の課題)

 

また、これにプラスして、守備もまったくハマらないという問題がある。

l   前からプレスに行くとCBの前ががら空きになる。しかし、CBは後ろに腰が重いので中盤のスペースを潰せない

l   スピードのあるCBもいないので、相手3トップと3バックが簡単に1対1になってやられてしまう(WBは戻って来きれない)

l   4-5のブロックを作っても誰が誰に行くのか明確ではないので結構崩されてしまう。シャドーの守備意識によっても問題が生じる

 

そんなワケで、冬の市場でアモリムに合った選手を獲得することが急務だったハズだが、結局獲ったのはドルグだけ。おまけにラッシュとアントニーを金にもならないローンで放出。戦力はむしろ明らかに低下した。

 

ドルグはまだ20歳でガタイも良いので、将来的な投資にはなるかもしれないが、短期的な解決策には全くならない。レッチェの試合も見ていたが、物凄い攻撃面で差別化出来る選手ではない(攻撃力だけで言ったらまだアントニーの方が使えると思う)。

将来的には良いのかもしれないが、今ここに3000万も投資している場合では無いだろう。

おまけにこれで、クエンダやカレーラスの線もほぼ無くなったと言ってよい。そこまで掛けるべきだったのだろうか。疑問は残る。

 

そこで今回は、お金がない中でももうちょい何とか出来なかったのか、今回の移籍市場を振り返ってみたい。

まずはこちらが、この冬移籍した選手一覧だ。市場価値がある程度高い選手のみを表示している。Market valueがその選手の市場価値、Feeが支払われた移籍金だ。Profitがマイナスになっている選手はお買い得案件だったことを示している。

 

 

 

とにかくビッグディールだったのはトップ2だ。どちらかは確実に欲しかった選手だった…。シモンズはお買い得になっているが、実際には成績に応じたAdditional feeが支払われる契約なのでトントンだろう。それでもpotential考えればお買い得なのに間違いはない。

 

そうなると、この冬の移籍市場で結局圧倒的にお得だったのはラッシュだ。何をやっているんだ。

ファーガソンのような育成のためのレンタルや、買い取りの前段階としてのレンタルを除くと、お買い得ランキングの次点はデサシ、フェリックス、コロムアニ、アントニー、アセンシオ、チルウェルとなる。この辺りが、2000万ユーロ以上お得だった移籍選手となる。

 

すぐに分かるが、移籍市場の立ち回りが断然下手くそなのがチェルシーとユナイテッドである。ユナイテッドは7500万ユーロ、チェルシーは6850万ユーロも自軍市場価値を溶かしている計算になる。ユナイテッドは次いでにマラシアも放出しており、強化しなければいけない冬の市場で逆に自ら自軍を弱体化する始末だ(まぁマラシアはいても特に役には立たないが)。

 

選手の給料すら払えないのは承知ではあるが、もう少し補強は出来なかったのか。

この冬の移籍ランキングで、特に考慮しても良かったのではないかと思える選手を緑色で表示してみた。基準は、

それなりの実力が見込める選手で、

移籍金が非常に安い、もしくはレンタルで、

補強ポジションと合っている、

選手になる。

 

とにかく今年の移籍市場で一番驚いたのはべナセルのレンタル移籍だ。確かに怪我は多いが、試合に出れれば攻守でトップレベルのプレーが出来る選手だ。まさか彼が放出されるとは思っていなかったので全くマークしていなかった。どのような経緯でマルセイユへのレンタルの話が纏まったのか分からないが、ユナイテッドはこの情報をキャッチしていなかったのか。

彼が取れればかなり中盤の構成力は増したので悔やまれる。確かなボール奪取力を備えながら、ウガルテ、メイヌー、カゼミロの誰もが持ちえないビルドアップ能力(長短両面)を兼ね備え、かつ左利き。こんなにお誂え向きな選手が他にいるだろうか。ホイビュアとべナセルなんて、理想の中盤そのものではないか。

 

他にも、ホイルンドが全くハマらない現状(というか、彼はそもそも能力がまだ不足している)ではコロムアニは狙いたかったところだし、シャドーというポジションが新設されたことを考えればアセンシオは打って付けだ。特に、マウントが怪我をしたこと、アントニーとラッシュを両方放出することを考えれば、シャドーの補充は必須だったハズだ。

現に、ディアロが悪夢の離脱をしてしまい、シャドーとして使える選手がガルナチョと不在がちのエリクセンになってしまった。ザークズィーを使ったりしているが、守備時に5-4-1になることを考えると明らかに不適だ(その観点ではエリクセンももちろんシンドイ)。

 

べナセルに行かないならルフェーは適任だったし(実際、サンダーランドではレベチ過ぎてハイパー無双中)、カクレはポテンシャル考えれば1500万ユーロで買い取りは超絶魅力的だ。現時点での実力で言えばメイヌーのアップデート版と考えて差し支えない。

ベステは元々左WBとしては過不足ないプロファイルを持っている。守備もしっかり出来るし、左足でのクロスの精度も高い。ユナイテッドにはいないタイプなので役に立っただろう。Iling-Juniorも、左WB解析で成績上位者として挙がって来ていた。

 

この辺りを補強していれば、緊急の穴埋めには十分なったハズだ。明らかに駒不足だったのに、なぜ怠ったのか理解できない。

 

それにしても、この冬の市場でのユナイテッドの損失は計り知れない。前述の通り、3人のレンタル放出で7500万ユーロもチームの市場価値を溶かしてしまった。

そこで、ここ3年(テンハーグ以降)の放出収支を見てみよう。

 

 

 

Saleが売却額、Profit1が市場価値に対していくら高く/安く売ったか、という値だ。

これがマイナスになるほど、安く買いたたかれてしまった、ということになる。

みて頂ければ分かるが、+になっている選手はほとんどいない。つまり売るのが超絶下手くそ、ということだ。ここ3年で一番うまく売れたのはカンブワラで、500万ユーロ(8億円程度)高く売れた。

それに対して、無料のサンチョ・アントニー・ラッシュのレンタルや、ヴァラン、ポグバ、クリスティアーノ、リンガード、マルシャルなどのフリー流出によって、相当な損害を被っている。

 

また、Feeはその選手の獲得にいくら賭けたか、Profit2は獲得金額に対していくら高く/安く売ったか、という値だ。これがプラスになれば、売買で設けられた、ということになる。

 

当然ユース選手の売却では全額が利益になるので、マックとグリーンウッドがこの点では貢献してくれた(特にマック。グリーンウッドは本来の市場価値を考えれば実際はかなり安く放出するハメになってしまった)。他にも、ヘンダーソン、エランガ、ガーナー、ペレイラなどは貢献してくれている。

しかし、それを加味してもなお、3年間で5億8500万ユーロもの損失を出している。もちろん、長く在籍して30代になった選手(マタやマティッチ、デヘアなど)は仕方ない面もあるし、ラッシュやアントニーはレンタルなので最終的な損失額は変わってくるが、それを差し引いても巨額であることに変わりはない。

おまけに、テンハーグの解任とアモリムの招へい(スポルティングとの契約解除)にも50億円程度費やしたというのだから、普通の企業だったら株主総会開けないだろう。

 

 

ついでに獲得選手も見ていこう。

 

 

イネオスが入って来て、今年の夏の市場は割とうまく立ち回ったと思える。市場価値に対してそれほど余計な金額を出すことなく補強が出来ている。特に、デリフトとザークズィー、マズラウィは市場価値より安く獲得できたし、ヨロも年齢考えれば許容範囲だ。

 

一方で問題なのはその前の2年間だ。特に去年は酷かった。

完全に実力不足で、4500万ユーロの市場価値すら過大評価なのに、さらに3000万ユーロほど上積みして獲得したホイルンドは全くの失敗だし、マウントに至ってはチームで構想外の上に契約も残り1年だったのに6000万ユーロとか狂気の沙汰過ぎる。

オナナも、インテルがFreeで獲得した選手であることや、デヘアがまだいたことを考えると過剰投資だろう。とにかくこの3つのオペレーションが酷過ぎた。マウントとオナナは2500万ユーロが良いところだったし、ホイルンドも当時時点での実力的には3000万ユーロ程度だ。なにせアタランタですら10点取れていなかったのだから(この点は後日もう少し解析したい。「アタランタですら」というのは、アタランタを過小評価しているのではない。特に攻撃的な選手は、アタランタでは成績が上振れしやすく、アタランタを出ると成績は低下する。それにも関わらず、という意味だ)。

 

2年前を見ると、この年は実力者を多く取って全体的には成功だったと今でも思っているが、カゼミロは市場価値通り4000万ユーロで取るべきだった。レアルがゴネるのは分かるが、バイバックオプションを付ける、などの工夫は出来たように思う(レアル的には、カマビンガとチョアメニがハマればカゼミロは不要だが、ハマらなかった時の保険としてカゼミロは取っておきたかっただろうから)。ちょっと30歳に7000万ユーロは高すぎる。まぁ獲って良かったと思ってはいるけどね。

リサマルも市場価値よりは高くついたが仕方無い。これも結果的には良い移籍だったし、エリクセンを無料で取れたのでこの差額は解消出来た。

マラシアは意味不明だったが結果としてはそこまで損はしていない(PSVへのレンタルは買取付いているらしいので)ので良しとしよう。

 

当然問題だったのはアントニーだ。どう考えても3000万ユーロの選手に9500万ユーロとか意味不明過ぎる。このお金出すならクワラツヘリアだってシャビ・シモンズだって取れた。この移籍にGoサイン出したヤツの脳みそがマジで疑われる。何を持って行けると思ったのだろうか。ホイルンドに7400万ユーロ出したヤツも意味不明だが、圧倒的にそれ以上だ。

 

とにかく今はこれらのツケ、特にホイルンド、マウント、アントニーのツケ、を支払わせられている。このせいで、十分に移籍市場で動くことも出来ない。なにせ、3年間で市場価値より5400万ユーロも余計に市場に突っ込んでいるのだから。しかもこれはレンタル加味した値なので、レンタルを除けばその倍以上、1億1000万ユーロも3年(実際には2年)で余分に金を出している計算になる。

そして、そのようにして過剰なお金を投入して獲得した選手を、安価で放出してさらに売買で5億ユーロもの損失を出しているのだから眼も当てらない。

それでお金が無くなって、冬の市場では安価なレンタル選手などを考えるべきだったのにルフェーもベナセルもコロムアニもアセンシオも取り逃し、シャドーにザークズィーを使いだす始末。

 

これでどうやって勝とうと言うのかね。

 

ネガティブなことはまだある。

次回は、「ユナイテッドに来ると選手のパフォーマンスが低下する問題」について考えてみよう。