先週、20日に狭山の実家に線香を上げに行った時、母親と我が故郷に暗い影を落としてきた「狭山事件」の話になった。先日、犯人とされて再審請求中だった石川一雄さんが亡くなったので、当時のことを被害者と同世代だった母親から聞いてみようと思ったからだ。
ワタシがこの事件を知ったのは小学校高学年のころ。石川さんの無期懲役が確定し、駅前でたびたび再審請求の運動を目にするようになり、クラスメイトからは「ウチのお母さんが(被害者と)同級生だった」などと話題になった。中学に上がると、野間宏の「狭山裁判」を読み、事件の全貌とともに背景に被差別部落問題があることも知った。
部落問題については、以前の入間川駅(現狭山市駅)の改札が片側にしかなかったり、祖父母から昔の話を聞いたりしていたので、幼いながらに差別が消えていないことを薄々感づいていた。ただ、それもひと昔前の話。駅前開発が進んで人口が流入してきた今となっては、この問題にここであえて触れる必要もないだろう。
さて、今は亡きオヤジも地元は狭山で、学年は母親の1つ下だった。オヤジには狭山事件について直接話を聞いたことがある。記憶が定かではないが、事件当日に中学の野球チームが移動していた時、犯人か被害者のどちらかとすれ違った可能性があって、チームが警察に尋ねられたらしい。「狭山裁判」にもそんな記述があったので、より身近な事件なのだと実感したのを思い出す。
今回、母親にはまだ聞いたことがなかったので、初めて当時の話を教えてもらったのだが、これが想像以上に生々しく、被害者と接点があったことに驚いた。
「被害者の◯◯さんは堀兼中学のソフトボール部のピッチャーで、私もピッチャーやっていたから何度も対戦したのよ。あ〜、まだ顔をはっきり覚えている。おとなしそうな子だったのよね。どこの高校に行ったのかなと思っていたら、入学してすぐの4月に事件が起こったからビックリした」
被害者との距離がグッと縮まった気がした。と同時に、石川さんが本当に犯人かどうかの1点に注目が集まっていた事件だが、誰が犯人だろうが殺された被害者がいるという事実は変わらず、ましてや自分の母親とそんな接点があったのかと思うと、何ともやり切れない気持ちになった。
両親の時代は狭山事件だったが、ワタシの学生時代には、狭山の実家近辺で“◯◯ちゃん事件”も起こった。近所の幼稚園に通っていた園児が行方不明になり、園の父母たちが自転車のカゴに写真入りで“探しています”と貼っていたので、地元では早くから話題になっていた。その子と同じマンションに知り合いが住んでいて、当時は浪人中だったので捜査員に疑われたという話も。その事件はしばらくして、「東京・埼玉連続幼児誘拐殺人事件」に発展し、世間を震撼させることになった。いわゆる、宮崎勤のあの事件である。
こうした事件が都心から40㌔も離れた、ワタシが生まれ育った埼玉の中小都市で起こったのは偶然とは思えず、都会発信の文化は伝わってきていても、体質の古さから受け入れに時間がかかる場所であるため、個の暴走を許してしまうのかもしれない。いろいろと考えさせられるお彼岸だった。
さて、POG。
週末の出走馬が決まり、今週は予定通り2頭出し。キングノジョーがタイトル獲りに挑む毎日杯は10頭立て、ジェゼロが復帰する大寒桜賞は7頭立てになった。
毎日杯はすでに枠順も確定しており、キングノジョーは1枠1番。この中間は「操縦性」をテーマに牧場と連携して鍛えてきたこの馬にとって、最内枠というのは最も危険な枠であると同時に、最も成果を試せる枠でもある。いずれにしても、ここで結果を出さなければダービーの夢もついえるわけで、強い馬であればこの程度の試練は楽にクリアしてもらわなければならない。希望的観測たっぶりに“いかに勝つか”を楽しみたい。