ジャパンCに行って… | SCHUMA 3冠日~競馬・POG・予想~

SCHUMA 3冠日~競馬・POG・予想~

2005年10月23日。ディープインパクトが菊花賞優勝。ついに無敗の3冠馬のオーナーになった。1993年初夏に始まったPOG人生。翌年にはサンデーサイレンス産駒が登場した戦国時代を12年11勝で生き抜き、SS指数によって発掘した史上最強馬で、今ここに天下統一を果たした。

 初めてナマで見たハープスターは、噂通り横に張り出したデカい後肢で、力強く踏み込んで堂々とパドックを周回していた。
 パドックに入ってきた瞬間から、その踏み込みの強さは際立っていた。こんなにパワフルな歩様をする牝馬がこれまでいただろうか。とにかく、誰が見てもすぐに「いい馬」と分かるほどで、豪華メンバーに入っても間違いなくNO1だった。
 ただ、気になった点もいくつかあった。それはテレビでもアンカツが指摘していたが、腹目がいくらか巻き上がっているように感じたこと。さすがに凱旋門賞帰りの疲労は少なくなかったはず。はち切れんばかりのパンパンの馬体を想像していた身としては、あまりに研ぎ澄まされていて拍子抜けの感も否めなかった。
 もう一つは、トモの角度。確かに筋肉が横には張り出しているが、横から見たときのシルエットがサンデーサイレンス産駒にもディープインパクト産駒にもない急斜角で、この形はファルヴラブ産駒に見られるものに似ている。後肢の蹴りの強さより、引き付けの速さが武器になっているとすれば、今後も距離の限界説が付きまとうのは仕方がないかもしれない。
 そんな感想を抱きながら見ていたパドックで、他にも気になった馬が何頭かいた。
 まず、ハープの次によく見えたのがデニムアンドルビー。こちらもハープほどではないが力強い踏み込みが目についた。言われなければ牡馬だと思えてしまうくらい。体を大きく見せているのもいい。
 次にジャスタウェイ。こちらも凱旋門賞帰りでハープ以上に疲労が残っていたと聞いていたが、スムーズないい歩様をしており、世界一の看板がダテではないことを改めて認識させられた。
 スピルバーグはいかにも今が旬といった感じで、馬体が輝いて見えた。歩様はちょっと硬く、不器用そうに映ったので、やはり東京コースのような広い馬場が向くのだろう。
 逆にハープの前を歩いていたイスラボニータは、柔かみがあるが力強さに欠け、抱いていたイメージとちょっと違った。
 こうして全馬を見てみると、テレビでは分からない様々な個性に出合えて楽しい。競馬はやはりナマで見るものである。
 ただ、入場者が10万人を超えるとさすがにパドックはすし詰め状態。そんななかでスマホを高くかざすにわかカメラマンの存在があまりにも多く、中にはフラッシュを使う大バカ者までいて、古い競馬ファンとしてはイライラが止まらなかった。
 それはスタンドから見たレースでも同様で、記念撮影している連中のスマホが視界を何度も遮り、なんとも寂しい文化が日本に定着してしまったのだと悲しくなった。これが日本の最高賞金レースの舞台裏なら、二度と一般ファンとは競馬を見たくない。有馬は今年も関係者に頼んで、スタンドの上の方からガラス越しに見ることにする。
 で、レースはというと、パドックを見てさらに勝利の自信を深めたハープスターが、いつもより前に行ったので、どこで仕掛けるかに注目していた。が、故障馬が下がっていった大欅の死角で、いつの間にかポジションを下げていたのですべてが終わった。悔しいから直線で一度だけ「川田~!」と叫んで競馬場をあとにした。
 ハープスターが故障馬と接触してつまずいていたのを知ったのは、帰宅してレース映像を見てから。仕方がないこととはいえ、アクシデントに巻き込まれてしまうのも実力である。それでも強いと言い張るのは応援する側の傲慢であり、勝たなければ意味がないのが競馬だ。
 体調不良のスミヨンが体重超過の制裁を食らいながらもエピファネイアを圧勝させてしまった現実を目の当たりにすると、馬の進化に人がついていっていない日本競馬界の最大の弱点が浮かび上がる。これまでハープと川田が名コンビとして共に成長していってほしいと願っていたが、来春のドバイや来秋の凱旋門賞に行くなら、外国人騎手とコンビを組んだ新たなハープスターを見たいと、本気で思ってしまった。