自分が目覚めるとともにデスクのPCを起こし、いつものように身支度をしながら迎えたファイナル第5戦。
「アンダードッグ」
元は19世紀後半の英米における闘犬文化に由来するこの言葉、戦いで負けて下に押さえ込まれた犬(Under=下、Dog=犬)を指していた言葉が転じて、「勝ち目のない人」「不利な状況に置かれている弱者」「かませ犬」を意味するようになりました。
ニューヨークニックスの小さな大エース、ジェイレンブランソンを形容するものとして何度も耳にした、あまり好きではない言葉です。

ま、「小さな」とは言いましたが、彼も188cmありますから、もちろん一般的には「大きな」人ではあります(笑)
が、平均身長200cmとも言われるNBAが舞台ですから、試合を観ているといかに彼が身体的ビハインドを背負っているかは容易に理解できます。
しかし、そんな不利を全く感じさせない数々のスーパープレーでチームを牽引し、破竹の勢いでファイナルへと駒を進めます。
イースタンカンファレンスで第3位だったニックスが、プレイオフにおけるここまでの快進撃を予想した人はどれだけいたことでしょう。
1回戦でホークスを4勝2敗で退けたのちに、2回戦ではシクサーズ相手に4勝0敗。
続くカンファレンスファイナルで同1位のピストンズ相手にこれまた4勝0敗で撃破し、ファイナルではウェスタンカンファレンスを制したスパーズと対峙することになりました。

「エイリアン」
サンアントニオスパーズを率いるのは、22歳にして既にNBAを代表する選手である、ヴィクターウェンバンヤマ、通称ウェンビーです。
ドラフト1位、鳴り物入りでスパーズに入団したのは2023年のこと。
育成に定評のあるスパーズは、体幹づくりのためのトレーニングを強化したり、出場時間を制限したりと、怪我のリスクを軽減しながらじっくりとウェンビーを育成していたようですが、間もなく一気にトップ選手まで駆け上がっていくことになります。
身長は226cm、手を伸ばすだけでダンクシュートが出来そうな体格だけで圧倒されますが、それでいて自らボールプッシュもするしステップバックスリーも放つし、オールラウンドにプレーをこなす彼はまさに近代バスケの象徴です。
日本のバスケも随分と進化しましたが、その理由として、彼のようなビッグマンが器用に色んなポジションのプレーを遂行していること、全世界の選手が彼のプレイに影響されているということ、が挙げられるのは間違いありません。
「スパーズ対サンダーが、事実上のファイナル」
ニックスがファイナル出場を賭けてピストンズと戦っているときも、皆の関心はウェンビー達に集まっていたように思います。
ずっと低い評価の中でもがいてきたベテラン「アンダードッグ」ブランソン達が、ずっと輝かしい道のりを歩んできた若き「エイリアン」ウェンビー達に挑む。
2026年のファイナルはそんな構図でした。
私はというと、最初は「スパーズ頑張れー」くらいの気持ちで観戦しておりました。
というのも、なんせウェンビーくらい有名な選手でないと誰が誰やら分からない状態から観戦し始めましたから、知っている方を応援する、くらいだったわけです。
ところが、試合を重ねるうちにニックスの背景が色濃く見えるようになってきて、いつの間にやら
『いや、むしろニックスに勝って欲しい・・・かも・・・』
と、にわかファン丸出しで観戦をしておりました。
ウェンビーだけじゃなく、スパーズの主力は20代前半の若手選手ばかり。
一方で、ニックスはブランソンが29歳、他の選手たちも30歳前後の選手が中心です。
『スパーズは来年以降も優勝候補の大本命だけど、ニックスが優勝するには今年を逃すとキツいかも・・・』
そう考え始めると、ついついベテラン選手達を応援したくなっちゃったわけです。

どの試合もすごかったですが、特に先日の第4戦は歴史に残る名勝負となりました。
前半からスパーズに圧倒され、最大29点差をつけられたニックスが後半一気に盛り返し、残り1.2秒の大逆転劇で107-106のわずか1点差での勝利。
プレイオフを通じてニックスの逆転劇は何度も観てきましたが、流石にこの試合はもうスパーズの勝ちで決まった、と思っていました。
「アンダードッグ」
勝ち目のない人、蔑むつもりは全くありませんでしたが、この言葉が好きではない私も、彼らのことをそう捉えて見ていたわけです。
大逆転で優勝に王手をかけたニックスは、勢いそのままに第5戦もスパーズを下し、4勝1敗でファイナルを制しました。
チームの総合力としては、評判通りスパーズの方が上だったような気がしてなりません。
しかし、栄光を掴んだのはニックスでした。
改めて、バスケットボールって面白いし、難しい競技だなーって感じます。
敗れたスパーズは、来年更に強くなるに違いありません。
栄光のど真ん中を突き進んでいたエイリアンが打ちのめされた後のストーリーは、これから始まります。
早くも来年のシリーズが楽しみで仕方ありません。

「君のことを過小評価し続けた人々に対して言いたいことは?」
優勝とファイナルMVPという2つのトロフィーを手にしたかつてのアンダードッグに、意地悪な質問が投げかけられました。
しかし、ブランソンは最後まで気高き選手であり続けます。
わずかに首を振り、静かに答えます。
「当時もそんな連中には反応しなかったし、今さら反応するつもりもないよ。」
魂が震えるアンサー。
今年の優勝はニックスが相応しかったと、心から思えるシーンでした。
いやーーーー、スポーツっていいですね。
と、昨日模試を終えて早速解き直しやら次のテストに向けての準備やらで忙しそうな高3生らを横目に、こんなことを振り返っておりました。
明日はワールドカップの日本戦も控えているし、「にわか」スポーツファンは大忙し(?)です。
「明日は5時起き?ワールドカップ見るの??NBAのファイナルなんて見てないよねー???」
みんなに問いかけて回っていたら、
「スポーツは全く興味ないんで・・・。それより、この数学の問題教えてもらえます?」
なんて、冷静に返されちゃいました(苦笑)。
いかんいかん、ちゃんと本業を頑張ってこその趣味ですからね、皆の邪魔にならぬよう、こっそりブログにて「にわか」熱を放出しときます!!
さ、明日はいよいよワールドカップ、日本対オランダ!
きっと子ども達も明日は早起き(笑)、5時起きですね。
私もバスケのにわかファンは一旦終了して、サッカーのにわかファンとしてしばらく楽しみます。
浅薄な知識をひけらかして恥をかくかも分かりませんが、にわかはにわかなりに、楽しんで声援を送ろうと思います!
頑張れニッポン!
そして、ありがとうニックス!もちろん、スパーズも!
西野でした。