#20 | 狂(-U)武士

狂(-U)武士

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渋谷「~~、~~~…」



渋谷は下を俯きながらブツブツ喋っている。



彩「ブツブツ、ブツブツ、何言うてるか分からんわ。」




渋谷「……ぶっ殺す。」




渋谷がキッと彩を睨みつける。
今までにない鋭く強い眼光だった。



ダンス(強い目……。)



彩「おーこわ。でもな、言葉で喧嘩は決まらへんねん。実力に伴っとんのか?その言葉。」




渋谷「…うるせえよ。」




彩「あ?」




渋谷「うるせえっつってんだよ。」




彩「よくそんな威勢よくいられるな。フラフラやん。」




確かに私は今、気力だけで立っている。
今にも倒れそうだ。
でも、ダンス、お前が私の両脚を支えてくれている。

だから私は今立っている。

ダンスに支えられて立っている。




渋谷「うらあああああああ!!!」



渋谷が勢いをつけて彩に向かって走っていく。
今までにない気迫。
彩も若干圧倒されていた。


彩(なんや、さっきまでとは全く別人やないか…!)



彩がそんな渋谷に気をとられ、一瞬動きが止まった。
とどのつまり、反応が遅れたのだ。



渋谷の渾身の一撃が彩を貫いた。




悪鬼「彩っ!」




渋谷の感覚では完全に極まっていた。
過去最高の一撃。
今まで渋谷の繰り出したどの攻撃よりも極まった一撃。

実際、そうであった。
渋谷に思わず笑みが零れた。



が、しかし、渋谷の目の前にはのけぞりはしたものの、倒れていない、彩の姿があった。

彩はゆっくりと上体を起こす。




渋谷「バカな………」



彩「いったぁ。今のは効いたわ。うちやなかったら勝負あり、やったな。」




菜々「…さすがのフィジカルや。」




自分の全てを乗せた最高の一撃。
それを出し切った渋谷に力はもう残されていなかった。


渋谷は崩れ落ち、膝をついた。




彩「どうやら、今のが最後の攻撃、みたいやな。」




菜々「…決着、やな。」




彩の右蹴りが渋谷に炸裂した。



音が響く。



そして、渋谷は血潮を吹き、再び、天を仰ぐこととなった。





その横で横たわるダンスの頬に涙が伝っていた。