彩「なんや?ただがむしゃらに向かってきて…迎え撃ったるわ」
渋谷「…ダンス!」
彩は大きく踏み込んでダンスの顔面を撃ち抜こうとした。
彩の拳がダンスの顔面を捉える、その時。
ダンスは急停止し、そして右斜めに足を弾き、飛んだ。
ダンスで鍛えられた脚の筋肉、そしてフットワーク。
リズムを変えたのだ。
私の人生は長い長い一曲なの。
喧嘩もそう。
時には変調があったっていいでしょ?
彩の拳は空を切り、飛び上がったダンスの拳は彩の左頬へ伸びる。
彩「勢いが足りひん。」
がしぃっ。
彩の左手によってダンスの拳は掴まれた。
グググ…
彩はダンスの拳を掌握していく。
ダンス「くそっ…」
渋谷が上体をわずかに起こす。
渋谷「や、やめろ!」
彩「止めたかったら、力づくで来んかい」
渋谷(動けよ、身体!)
彩「終いや」
彩の右拳がダンスの顔面を撃ち抜いた。
渋谷の裏拳とは比にならない痛みが全身を突き抜ける。
この拳には愛がない。
だからこんなに痛いんだ…。
渋谷さん、ごめんなさい…。
ダンスは膝をつき、崩れ落ちた。
彩「こいつ副部長ちゃうんか?なんやこの弱さは。弱すぎて欠伸がでるわ。」
渋谷「ダンス………」
今までの私の喧嘩は全て自分のため。
自分による自分のための自分の喧嘩。
でも今は違う。
この沸々と湧き上がる怒りは
ダンス
お前に手を上げたこいつへの怒りだ。
彩「もう用事済んでもたわ。どないする?これから。観光でもする?」
悪鬼「うしろ、うしろ♪」
彩「うしろ?」
振り返るとそこには
渋谷がフラフラな状態で立っていた。
彩「こうでなくちゃ。前田さん」