#19 | 狂(-U)武士

狂(-U)武士

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彩「なんや?ただがむしゃらに向かってきて…迎え撃ったるわ」



渋谷「…ダンス!」




彩は大きく踏み込んでダンスの顔面を撃ち抜こうとした。
彩の拳がダンスの顔面を捉える、その時。


ダンスは急停止し、そして右斜めに足を弾き、飛んだ。

ダンスで鍛えられた脚の筋肉、そしてフットワーク。


リズムを変えたのだ。





私の人生は長い長い一曲なの。
喧嘩もそう。

時には変調があったっていいでしょ?




彩の拳は空を切り、飛び上がったダンスの拳は彩の左頬へ伸びる。


彩「勢いが足りひん。」


がしぃっ。


彩の左手によってダンスの拳は掴まれた。
グググ…
彩はダンスの拳を掌握していく。




ダンス「くそっ…」


渋谷が上体をわずかに起こす。


渋谷「や、やめろ!」




彩「止めたかったら、力づくで来んかい」



渋谷(動けよ、身体!)






彩「終いや」




彩の右拳がダンスの顔面を撃ち抜いた。









渋谷の裏拳とは比にならない痛みが全身を突き抜ける。


この拳には愛がない。
だからこんなに痛いんだ…。


渋谷さん、ごめんなさい…。




ダンスは膝をつき、崩れ落ちた。




彩「こいつ副部長ちゃうんか?なんやこの弱さは。弱すぎて欠伸がでるわ。」




渋谷「ダンス………」




今までの私の喧嘩は全て自分のため。
自分による自分のための自分の喧嘩。



でも今は違う。



この沸々と湧き上がる怒りは



ダンス




お前に手を上げたこいつへの怒りだ。





彩「もう用事済んでもたわ。どないする?これから。観光でもする?」




悪鬼「うしろ、うしろ♪」




彩「うしろ?」




振り返るとそこには



渋谷がフラフラな状態で立っていた。




彩「こうでなくちゃ。前田さん」