毒殺で死刑とされたのが、じつは「溺死」だった | 空気を読まずに生きる

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弁護士 趙 誠峰(第二東京弁護士会・Kollectアーツ法律事務所)の情報発信。

裁判員、刑事司法、ロースクールなどを事務所の意向に関係なく語る。https://kollect-arts.jp/

私も弁護人をやっている、本庄保険金殺人事件の再審請求。
即時抗告審で、東京高裁はトリカブト毒によって殺されたとされた佐藤修一氏の死因を再鑑定する決定をし、その鑑定結果が出た。
その結果は「溺死」。

詳細は、本庄事件弁護団ホームページに随時情報をアップするのでそちらを。

トリカブト毒で殺したとして死刑判決を受けた八木茂氏だが、死亡した人は溺死だった。
つまり、死刑判決は間違っていたということ。
こんな出来事そうそうない。そもそもあってはならないこと。

これほどのニュースにもかかわらず、マスコミの反応はかなり鈍い。
読売新聞「本庄保険金殺人、中毒死でなく溺死」
朝日新聞「被害者の死因は溺死」埼玉・本庄保険金殺人で鑑定
毎日新聞「埼玉・本庄保険金殺人:判決と即時抗告審で別の死因鑑定」

テレビはほぼ皆無。

この事件、ご存じの方も多いだろうが、当時マスコミが大々的に取り上げた事件。
ある意味においてマスコミによって作り上げられた事件。
そのようなマスコミの報道から、「他に冤罪はあるかもしれないが、八木茂だけは冤罪ではない」と思っている人も少なくないのではないか。

しかし、いま、「死因は溺死」という専門家の意見が出たのである。これはまったく色をつけていない厳然たる事実である。

例え、過去にマスコミが騒ぎ事件を作り上げたということがあったとしても、この事実は絶対に報じなければならないはずだ。
なぜかと言うと、八木氏は死刑判決を受けているから。
国家が国民を死刑で殺そうとしていたのが、誤りだったという証拠が出ているという事態だからだ。

マスコミの役割は、この事実を受け止め、なぜこのようなことになったのか、そのことに注目をし、報道することではないか。


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