3月1日、早稲田リーガルコモンズ法律事務所がスタートした。
私はこの事務所の設立メンバーの1人となりました。
この事務所、開所前から日経新聞で2度にわたって報道されるなど、華々しいスタートを切ることができた。各方面に対して感謝してもしきれません。
この事務所のコンセプト、成り立ち等々はあらゆるところでいろんな人が情報発信をしているのでそちらに譲りましょう。
事務所HPにもいろいろ書かれている。
www.legalcommons.jp
ここでは私、弁護士趙誠峰個人として、このコモンズ事務所に対する思いを書き留めようと思う。
私は2008年12月に弁護士登録をして以来、高野隆弁護士のもとで刑事弁護はもとより、弁護士としてのイロハを学んできた。
そして、その中で私の中に根をはったものの一つとして、「弁護士たるもの、目の前の依頼者の利益のために徹底的にその人の側に立って行動するもの」という弁護士としての最も基本的な行動原理がある。
刑事弁護に関して言えば、たとえ依頼者が社会からの嫌われ者だろうが、ヤクザだろうがオウムだろうが何だろうが、その人が国家から生命、身体の自由を奪われそうになっている以上、徹底的にその依頼者の側に立って、依頼者の利益のためだけに動くことが要求される。
その意味で、弁護士としての活動は誰のためでもなく、世の中のためでもなく、依頼者のためでなければならない。弁護士という職業は極めてプライベートな仕事だということである。
私はこれは弁護士たる職業の基本だと思っている。
ところで、私たちがこのたび設立した「早稲田リーガルコモンズ法律事務所」は「コモンズ」という言葉が示しているように、決してプライベートに特化した事務所ではない。
「コモンズ」の意味するところは事務所HPに譲るとして、この事務所はいくぶんか公益的な色彩を帯びた事務所であることは間違いない。
そして、われらがコモンズの中には、私のような刑事弁護をやっている者から、企業法務、ファイナンスなどを専門に手がける者まで幅広い人材が集まった。
そして、私がこの公益的な色彩を帯びた事務所の中で果たすべき役割として、プライベートな弁護士でいることが求められていると自分で勝手に理解している。
どういうことかと言えば、刑事弁護という役割からしても、世のため人のための弁護なんかではなく、弁護士たるもの目の前の依頼者の利益のためだけに動くということを実践することこそが求められていると思う。たとえそれが世の中全員を敵に回すような行動であったとしてもである。
そして、弁護士という職業の本質は、決して中立的なものではなく、決して公平なものではなく、極めてかたよった、極めて不公平な存在であることを、このコモンズで実践することに意味があるのだろう。
そして、このコモンズ事務所がこのような弁護士の受け皿になり続けられるように育てていきたいと思う。