今日は自分の裁判員裁判の判決があり、何かしら思うところを書きとめようと思ってブログの記事を書く画面を開いた瞬間、全然違うことを書きたくなった。
大阪地検特捜部の事件で、逮捕された前特捜部長、副部長らが“犯人隠避”について否認しているにも関わらず、大阪地裁が検察官の接見禁止請求を却下したという点。
ニュースでは、これを“異例だ”として報じられている。
確かに、否認事件で接見禁止が付されない(というより、裁判官がこれを却下する)ことは異例なのだろうが、それを単に異例だとか何だとか報道するだけでなく、もう一歩進んで報道できないものかと思う。
そもそも接見禁止ってどういうことかちゃんと報道するべきだ。
被疑者が逮捕、勾留された際、外部の人と面会する際に、弁護人と面会する場合は秘密接見が認められる。
簡単に言えば、弁護人と被疑者と2人きりで、立会いの職員無しで面会できる。
一方、弁護人以外の者と面会する場合は、どのような会話をしているかについて、立会いの警察官に全ての会話を聞かれる。
このことからすぐにわかるとおり、否認事件だろうが自白事件だろうがなんだろうが、被疑者が弁護人以外の者と面会室で会話をする際は、その全てが警察官に聞かれるのである。
そのような状況で、罪証隠滅(証拠隠滅)や逃亡をどのようにするというのか。
もちろん、犯罪のプロの人たちはこれらをかいくぐる術を持っているのかもしれないが、そうではない限り警察官が会話の全てを聞いている中で、アクリル板越しに面会して、証拠隠滅や逃亡を図ることは不可能である。
それにも関わらず、否認事件では、接見禁止が付されないことが“異例だ”と報道されるくらい、接見禁止が付される。
接見禁止というのは、警察官が立ち会い、かつ、アクリル板越しであっても弁護人以外の者とは会わせないというものである。
これは、どういうことかと言えば、警察官が会話を全て聞き取っても、警察の留置場のアクリル板越しであっても、その様子全てを警察官が見張っていたとしても、証拠隠滅行為や逃亡を防げないということを検察官が認め、接見禁止を要求し、裁判所がこれを認めているということである。
国家が、自らの“無能”を自認しているに他ならない。
私たちは、警察官立ち会いのもとでも、証拠隠滅を見抜けません、被疑者の逃亡を防げません、と。
勾留されている以上、さらに接見禁止が必要な事件など、よほどな事件でない限りあり得ない。
それにも関わらず、現状では否認すれば、弁護人以外の者と会わせないということが平然と行われている。
マスコミは単に否認している被疑者に接見禁止が付されないことを“異例だ”だとかなんだとか報道するのではなく、この機会に接見禁止がなんたるかを報道するべきだと思う。