この映画、ボクがロースクール3年のころの作品だったと思うが、某刑事弁護士が試写会にて「身も蓋もない映画だなぁ」という感想を思わず周防監督に漏らしてしまったというもの。
刑事裁判もののドラマや映画は数多くあるが、その世界の人間になってしまったからか、リアルさに欠ける映画、ドラマを見ることに耐えられなくなってしまった自分がいる。
ところが、この映画は「元も子もない」という言葉が出てしまうほどリアル。本当によくできた映画だと思う。
今日でおそらく4回目か5回目に見たけれど、やはりよくできていた。
そしてロースクール生が映画内の判決に対して非常に素直でいい感想を数多く持っていたことがうれしかった。
ロースクール1年生相手に刑訴法の勉強の手伝いをしていたので、彼らがまだまだ刑訴法を理解できていないことはわかっていた。そんな彼らが、映画内の判決に対して鋭い感想を抱いていたということは、裁判員が裁判官の判決に抱く感想に似ているのではないかと感じた。
映画内の判決は、実際の裁判で見られる判決に非常によく似ていて、そのような判決に対して
「1人の証人の証言を信用できると言ったり、一部分については信用できないと言ったりするのはおかしい、卑怯だ、矛盾している」
とか
「(映画では証人尋問後に裁判官が交替するのだが)見てもいない証人の証言のことをあーだこーだ言うことはおかしい、証人尋問とは、その人の話している様子、表情等々すべて含めて判断するはずなのにおかしい」
とか
「疑わしいという程度で有罪にしていいのか」
等々の感想が述べられていた。
これらの感想はまさしくもっともであって、やっぱり自然な感想なんだなぁと改めて感じられた。
いずれにせよこの映画は本当によくできているのでぜひご覧あれ。
それでもボクはやってない スタンダード・エディション [DVD]/加瀬亮;瀬戸朝香;山本耕史;もたいまさこ;役所広司

¥3,990
Amazon.co.jp
それでもボクはやってない―日本の刑事裁判、まだまだ疑問あり!/周防 正行

¥1,470
Amazon.co.jp