雪のふかい日のことでした。森のなかで、おじいさんが片方のてぶくろをおとしたことに気づかずに、こいぬと歩いていきました。
おちたてぶくろをみつけた、おしゃまな女の子のくいしんぼねずみは、ここで暮らすことにするわ、とてぶくろのなかへもぐりこみました。そこへはねてきたぴょんぴょんがえるのお姉ちゃん。わたしもいれて、どうぞ、とてぶくろのなかへ。次にはしってきたのははやあしうさぎのお兄ちゃん。そしてつづけてちょっときどったおしゃれぎつねのおばさん。ワイルドなはいいろおおかみのおじさん。パイプ煙草をふかしてあらわれた、きばもちいのししのおばあちゃん。みんなてぶくろにはいりました。もう満員。そこへ、わしもいれてくれとおとずれた、のっそりぐまのおじいちゃん。なんとかゆずってはいり、あわせて七匹。てぶくろは今にもはじけそうになりました。だれも、狭いからはいらないでということもなく、身をよせあいました。
さて、てぶくろのかたほうないことに気づいたおじいさん。さがしにもどると、みつけたてぶくろは、むくむくうごめいています。こいぬは驚き、わんわんわん。その声にみんなはびっくり。森のあちこちへにげてゆきました。
ウクライナ民話『てぶくろ』より。
いきものは本当はこんなにあたたかいと教えてくれるこの絵本を繰りつつ迎えたお正月。絵本には無邪気にあたたまっているかわいらしい動物たちの絵が描かれています。今年はうさぎ年。うさぎ君もほっこりあったかそうです。
でもこの冬を乗りこえるために悲痛な想いをされている民話のふるさとの方たちを想えば、心の暖をとろうにもとれません。
2023年、心あたたまるシナリオをたくさん読ませていただけますように!