ナイトブルーの背景にレモン色のお月さまが新月から満月へ、満月から新月へ。卓上の月齢カレンダーを机の隅に置きました。悩みごとも自宅のプラネタリュームの部屋で星を眺めていると、些細なことに思えてくると仰っていたのはアラン・ドロンでした。せめてとカレンダーを眺めていると、ひとつの星に生命を授かっている浪漫を感じます。森羅万象すべてファンタジーのように…
文芸新潮七月号に掲載された坂本龍一氏の記事『ぼくはあと何回、満月を見るだろう』を拝読しました。みなぎらんばかりの創作意欲。オピニオンリーダーのエネルギーに感動しました。「『男はつらいよ』のタイトルバックに江戸川が映るのを見るだけで号泣してしまいます」と。せつなくもあり、印象的でした。
愛に出会えず埋もれてしまった原稿はありませんか? 急いでしあげてしまった原稿。
漱石のお弟子さんが「I love you」を「我、汝を愛す」と訳した処、「月がきれいですね、で通じる」とアドバイスしたそうです。日本で、口語体の「愛す」は野暮ったい。粋でない。日本では花鳥風月をともに楽しみ、そこはかとなくしずかに心を通わせる。日本人は古来そのようにして愛をはぐくんできた。とのお考えです。
このごろは洋画のタイトルに邦題もなくそのままの英語ですね。日常会話も和訳のように言葉を選ぶ逆輸入の風潮が。とはいえ、愛と云う口語体を使うのにためらいを感じるのに明治と令和、大差はないことでしょう。それでもたいせつな愛。それを描くとは至難の業です。そこで「わたしは真の愛にこれが一番近いと思います」と云う素直な気持ちで、あなただけの愛を表現してみましょう。
満月の幾夜かまえから唸ってみましょう。あなたのみなぎる命を捧げた原稿です。そして愛を描こう。