風の旅-100921_0935461.jpg

弘化元年(1844年)創業以来、中が空洞のユニークな形と味。

昔、一口香をもらった上方の人がこう言ったそうです。「中身がなかった」。
この一言は縁起を知らない人。
「中にこそ香りと味がある」ことを承知してなかったのでしょう。

長崎に行くと立ち寄りたい老舗の一つは浜の町アーケード街にある。
以前は長崎唯一の華やかで賑やかな町、浜の町(はまんまち)は驚くことに田舎直送の八百屋さん、魚屋さんや干物屋さん、どこも変わらぬアーケード商店街になっていた。 が しかし、昔から変わらぬ喫茶店「ウミノ」「富士男」「銀嶺」………「森真珠店」「浜勝本店」等など、老舗と今風の店が入り混じっている。 銀座でさえそうなのですから。

浜の町アーケード街の老舗「榎純正堂」に迷わずはいる。
変わらぬ風格にほっとしたのは勿論である。思わず言った。
「こんな老舗が変わらず存在してるのにほっとし、とても嬉しいです」

一口香の包みを手に、笑顔に送られ店を後にしたことでした。
早朝に出発して、長崎墓参へ向かう。

思いもかけず、佐賀あたりで真っ黒い雲に包まれたかと思うや叩き付けるスコール。
ワイパーもスピードも思わず気忙しく急上昇。

入道雲の美しい空のもと長崎の町は、真昼時の太陽に眩しかった。

石碑に刻まれた短歌を指でたどる。
「くるしみてふこと人の世になかりせばなんで生き抜くことやあらなん」
父ありし頃、短歌を愛する父と短歌を学ぶ私はよく歌のやりとりで語り合った。
「勲六等瑞宝しょう受賞」と石碑の裏側に刻まれているのは、子孫への教育の思いなのだろう。

花を活け、水をあげ、お線香を上げた。
心なしか、石碑はそびえるように輝いていた。

高速道路も多く、三瀬峠コースに切り替えたのはラッキーだった。
黄ばみ始めた稲田の畦道に彼岸花が咲いているではないか!

炎天の日差しに大地からの秋のメッセージが狂いなく表現されていた。

なんと美しい風景、なんと素晴らしい神の御業なのだろう。
ヨーガを早目に切り上げて、福岡国際映画祭20周年記念マジド・マジディ
監督の来日挨拶と「カラー・オブ・パラダイス」を観賞。

感動する映画には監督の人間性が滲み出る。

監督は言う。
盲学校の子等と知り合ったことがきっかけで、彼等と共に時を過ごし、彼等独自の世界を映像に。

深い表現、美しい自然、そして素人である主人公の盲目の少年。
それは感動の時間に浸るに充分だった。