WoO137 はるか遠くからの歌

 

WoO138 異郷の若者

 

 

 

 

 

葛西健治氏著

 

 

ベートーヴェンのピアノ曲はよく聴くけれど、

歌曲は聴く機会がなくて知らなかった。

WoO137とWoO138は、同詩異曲といって、

同じ詩に対して、違った曲を創作したことで

有名な曲があるのを知った。

 

今の通説では、WoO138が最初に作曲されて、

後に、WoO137が作曲されたことになっている。

 

WoO138は、優雅で美しい旋律だけれども、

伴奏部分を聴くと、誰かが旋律に合わせて

適当にピアノ伴奏を書いたように聴こえてくる。

 

素人の書く簡易伴奏に近いので、、

ベートーヴェンの作品らしくなく聴こえた。

 

WoO137を聴いてみると、活動的で躍動感があり、

女性を追い求める男性の姿が見えてくるような

ベートーヴェンの作風に思えた。


この2曲、同じ作曲家が創作したと思えないぐらい

作風が違って聴こえた。

 

 ヒマワリ         ヒマワリ      ヒマワリ

 

 

その後、この2曲が何年頃に創作されたものかを

調べている時に「国立音大リポジトリ」が出てきた。

 

葛西氏はWoO137の完成度の高さに比べて

WoO138は、詩と曲の不一致が著しく、

完成度が劣るので、ベートーヴェンの関与が

なかったのではないかという見方をしている。

 

ライシッヒ詩集に基づいて出版された歌曲集は、

詩人と出版社が独断で歌曲集を出版したもので

曲も、ベートーヴェンではない人物が創作して

WoO138を、勝手にベートーヴェンの曲として

載せたという仮説を立てているように読める。

 

ベートーヴェン自身もまた歌曲集を再販したが、

その時に、WoO138は再販から外したそうで、

ベートーヴェンの作品とみなしていなかったから

ではないかと考察が成り立つという。

 

ヒマワリ                ヒマワリ                     ヒマワリ

 

 

今日、1日かかってこの2曲の謎解きしていた。

 

1809年 WoO137はるか遠くからの歌

1809年 WoO138異郷の若者

この2曲は共に1809年に作曲されている。

 

ここからは私の推理で、

この資料をヒントに考えてみた。

 

オーストリアに住むルドルフ家は、長期に渡り

ベートーヴェンのスポンサーとして支援しており、

そこに生まれた末息子は、1803年頃から

ベートーヴェンからピアノを学び作曲指導を受けた。

そうするうちに二人は友人関係を築いた。

 

1809年ナポレオンによる侵攻の際、ルドルフ家は

ウィーンから遠く離れることになったために、

ベートーヴェンは、餞別にルドルフに

ピアノソナタ第26番をはじめ14曲を捧げた。

 

この事実について、ベートーヴェンの書簡が

ウィーンの音楽博物館に保存されている。

 

また、そのお返しにルドルフも自作の曲の1つを

ベートーヴェンに捧げた。

 

こういった二人の関係性から

二人は同じ詩のテーマと調を決めて

それぞれ作曲作品を、

互いの友情の証として贈りあった、、、

 

師匠のベートーヴェンが、弟子のルドルフのために

骨折ってやり、1曲ぐら出版して残したかったという

という気持ちがあったのではないかなと、、

そんな気がした。

 

「異郷の若者」曲名そのものが、ルドルフを

指しているように思えてならない。

 

WoO137 はるか遠くからの歌 

(ベートーヴェンがルドルフに捧げた曲)

 

WoO138 異郷の若者

(ルドルフがベートーヴェンに捧げた曲)

 

そう考えると、それは成り立つような気がした。

詩人と出版社が勝手に出版したというよりは、

ベートーヴェンが、密かにルドルフの作品を

紛れ込ませて、出版しようとしたのではないかな

と考えた。

 

葛西先生、どうでしょうか?この推理。

 

ベートーヴェン交響曲第5番 score  私blog

 

 

ピアノ伴奏の勉強になるので楽譜が欲しくなった。

ヘンレ版の楽譜はWoO137、138が入っている。

 

楽天 6930円

 

歌曲集第1巻の掲載曲目
ベートーヴェン/歌曲集第1巻 (原典版/ヘンレ社)

Schilderung eines Madchens WoO 107/An einen Saugling WoO 108/Der freie Mann (2. Fassung) WoO 117/Urians Reise um die Welt Opus 52,1/Feuerfarb’ (Zweite Fassung) Opus 52,2/Das Liedchen von der Ruhe Opus 52,3/Maigesang Opus 52,4/Mollys Abschied Opus 52,5/Die Liebe Opus 52,6/Marmotte Opus 52,7/Das Blumchen Wunderhold Opus 52,8/Ich liebe dich, so wie du mich WoO 123/La partenza WoO 124/Adelaide Opus 46/Abschiedsgesang an Wiens Burger WoO 121/Kriegslied der osterreicher WoO 122/Opferlied (Zweite Fassung) WoO 126/Neue Liebe, neues Leben (Erste Fassung) WoO 127/La tiranna WoO 125/Bitten Opus 48,1/Die Liebe des Nachsten Opus 48,2/Vom Tode Opus 48,3/Die Ehre Gottes aus der Natur Opus 48,4/Gottes Macht und Vorsehung Opus 48,5/Bu?lied Opus 48,6/Lebensgluck Opus 88/Der Wachtelschlag WoO 129/An die Hoffnung (1.Vertonung) Opus 32/Elegie auf den Tod eines Pudels WoO 110/Als die Geliebte sich trennen wollte WoO 132/In questa tomba oscura (2. Fassung) WoO 133/Sehnsucht (4 Vertonungen) Opus WoO 134/Andenken WoO 136/Lied aus der Ferne/Der Jungling in der Fremde WoO 138/Gesang aus der Ferne WoO 137/Der Liebende WoO 139/Kennst du das Land Opus 75,1/Neue Liebe, neues Leben (Zweite Fassung) Opus 75,2/Aus Goethes Faust Opus 75,3/Gretels Warnung (Zweite Fassung) Opus 75,4/An den fernen Geliebten Opus 75,5/Der Zufriedene Opus 75,6
ページ数    123

 

 

 

 

 


 


最近の学びは

 

 

 

 

 

同じネタで投稿する

 

他の投稿ネタを確認する