NHKEテレで夜9時から放送していた

ピレシュの演奏番組を見そびれた。

 

最後の20分だけ、なんとか見られて

「自分が優れていると思ったところから、

 成長が止まってしまう」といったような話や

「探究心こそが発見を生み出す」といった話を

聞いていて、その通りと頷いていた。

 

 

 

 

モーツァルトを学ぶ時、必ず先生から言われることがある。

「ピレシュの演奏を模範にして、どうやってその音色を

生み出しているのか、耳を傾けてよく聴いてみて」。

 

モーツァルト作品は、これまで男性的で硬い演奏が定番だったのが、

ピレシュが登場したことにより、軽やかでエレガントな演奏が高い

評価をされるようになった。

 

どう演奏しているのかは、動画に食いついて指の動きを見ても

耳をかっぽじって音色を聴いてみても、私には分析できない。

 

ピレシュは華奢な身体と小さな指を使い全身全霊で演奏する。

いかに良い音色の響きを繰り出すかを、とても緻密に計算し

常に研究しているピアニストというのがわかる。

 

ピレシュから何を学ぶかといえば、、

モーツァルト作品の音色は、古典にこだわらずに

威厳よりも軽快さ、エレガントで流れるような音色を

作りだすにはどう指を扱ったら良いのかを考えたりする。

 

左手は淡々としたリズムを刻むのだけれども

右手はそのリズムに乗りながらも自由で大らか、

そして情緒のある旋律を奏でていることが多いので

大げさにならずに表情豊かに奏でる。

 

さてどのようにして?

 

それはピレシュの演奏技術を真似ることではなくて

私自身の持つ指の扱い方や息づかいで

何をどう感じれば情緒あるイキイキとした軽やかな

モーツアルト作品を奏でられるのか

譜面にある音符やら様々な音楽記号を読み解きながら

「心の声に耳を傾けて」みると、そこに何か発見があるはず。。。

 

モーツァルト作品は、本当に何度も何度もしつこく演奏してみて

息づかいがしっくりとくる瞬間、パズルのピースがハマったような

何とも言えない心地良さにめぐり会うことがある。

 

そして、せつなさや歓喜がはっきりとみえてくることがある。

それに気づいて、音符と心が繋がった演奏ができるようになると、

たまらなく愛おしく自分の演奏作品と感じられるようになる。