〈 シシオドリ 〉海の故郷でつなぐ郷土芸能 | SC南三陸のブログ

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南三陸サポーターズ倶楽部
持続可能な社会を目指す生産者と消費者のコミュニティです。

SC南三陸の事務局、波伝の森山学校で勤務しています。小野寺です。

波伝の森山学校 (はでんのもりやまがっこう)と読みますが、SC南三陸の事務局を兼ねつつ

普段は会社の名前にも由来しますが、南三陸町の戸倉という集落の中にある波伝谷(はでんや)地区 という場所で、

森林を整備する林業の仕事をしています。 なぜ林業??..といえば 実は山と海は繋がっていて.. 美味しい牡蠣を..

というお話は今回はさておき。 

 

 

故郷、南三陸町のご紹介として「鹿子躍 (シシオドリ)」という郷土芸能と東日本大震災が関係するお話を。

私は林業に従事しながら、行山流水戸辺鹿子躍 (ギョウザンリュウミトベシシオドリ)という南三陸の芸能の躍り手と、

首都圏の東京鹿踊(トウキョウシシオドリ)のメンバーとして、一般の人が馴染み難いような“郷土芸能” をワークショップなどを通じて発信する活動を行なっています。

 

 

“シシオドリ” と聞いて、イメージが浮かぶでしょうか?

鹿子躍・鹿踊・獅子踊... などとも書きますが、旧伊達藩である岩手県南〜宮城県、それから愛媛県の宇和島市にまで伝わっているという郷土芸能です。太鼓をつけて踊る団体、幕を両手で持って踊る団体など、様々な形態が存在しますが

南三陸町の水戸辺鹿子躍は、下の写真のような感じ。

「八ツ鹿踊り」とも言われ、8人の人間が鹿を模した装束を身にまとい、太鼓をつけて、

跳び、躍り、叩き、唄う .. 全身を使って表現する芸能。

 

太鼓踊系」の八ツ鹿踊(いわて花巻空港の壁画)wikipediaより

 

獅子舞(ししまい)とはまた違うもの。実は南三陸町戸倉には獅子舞もあるのですが...

また後ほどご紹介。

3年に1度開かれる、地元の戸倉神社から神様を集落におろすお祭り。

 

 

 

さて、岩手・宮城を中心におおよそ200もの団体が存在するシシオドリですが、

南三陸町戸倉の水戸辺鹿子躍は、鹿踊最古に発祥した最大流派「行山流(ギョウザンリュウ)鹿踊」の元祖です。

 

gogle mapより                                       南三陸町戸倉旧水戸辺村 昭和57年に発祥の石碑が発見。保存会を発足させ、平成4年に復活。

 

その起源は今から300年以上前の江戸期にも遡り、

「この世に存在する生きとし生ける全てのものを、躍りで供養する」  という使命を持って生まれました。

当時の暮らしを想像すれば、人々は大自然の環境の中に身を委ね、自らが生きるために野山で狩猟を行いながら、鹿や猪といった獣の肉を命の糧としていた。

つまり鹿踊は、人が生きるために食べていた“獣”の格好に扮し、その“獣”の命や、その他の動植物、

はたまた亡くなった人の命までを、躍って供養する芸能だったのです。

 

「私たちは、生きるために他の命を奪っている」

今日の大量消費社会に生きる人々は、なかなか忘れがちな部分である気がします。果たして、商品として加工され、

スーパーに整然と並ぶ食肉を見て、“私たちと同じように、心臓を動かして生きていた生き物なのだ” と意識する人は、何人いるでしょうか。 自然と密接な関わりを持って生きていた昔の人だからこそ、平等であるという命の尊厳を強く意識されていたのかもしれません。

 

 

そんなシシオドリであり、南三陸町戸倉の水戸辺鹿子躍ですが、

実は東日本大震災による津波被害を受け、南三陸町は壊滅的被害を受け、躍りの継承活動も出来ない事態に陥りました。

そして... 津波に飲みこまれたはずのシシオドリが、奇跡的に見つかって.... ?? というお話は

↓こちらのページをご覧ください...↓

https://to-shika.tumblr.com/post/158687043269/おどんねげね-鎮魂とシシオドリ

(東京鹿踊 ブログ記事:「おどんねげね。」鎮魂とシシオドリ)

 

 

 

 

・・・

 

ご覧いただけましたでしょうか。

(掲載写真の容量の関係で、このページではご紹介しきれませんでした..m(_ _)m)

 

というわけで、

とても小さい田舎町なのですが、 海や山、里、川 といった自然と、人々の暮らしが密接に関係している南三陸町。ここで海山の業を営む私たちだからこそ、大事にしなければいけないモノやコトがある気がします。

そして現代社会に生きながら、私たちが何か忘れがちになっている大切なことを、

みなさんと一緒に考えるきっかけを作ることが出来ればなと思っています。

 

 

水戸辺鹿子躍、7,8月のお祭りや盆供養の際には南三陸町内にて演舞を行います!!

東京でもときどき躍っています。 イベントはSNSやホームページでおしらせしています。

ぜひ、現地に足を運んで、本物を見てみてください( ◠‿◠ )  おまちしています。

 

写真: 小野寺翔(鹿写真家 石井陽子さん撮影)

 

行山流水戸辺鹿子躍保存会 継承者

https://twitter.com/bistrone (twitter)

 

東京鹿踊

https://to-shika.tumblr.com (tumblr)

 

 

波伝の森山学校合同会社 (きこり)

小野寺 翔