「奈良にはうまいものなし」といったと
云わる文豪志賀直哉の旧居が奈良市高畑に
あるというので潜入調査しました
奈良の鹿
高校三年生の受験生の頃にサン=デグジュ
ペリの「夜間飛行」を買いに行き間違って
志賀直哉の「暗夜行路」を買ってしまい
ました
私の間違いはまだマシな方で
友人の中園君は受験問題によく出るからと
小林秀雄の本を買いに行って小林信彦の
「オヨヨ島の冒険」を買い間違いました
中園君は小林信彦の大ファンなってしまい
僕にもすすめてくれました
小林信彦のオヨヨ大統領シリーズは
本当に面白い
志賀直哉旧居の壁
*右の白壁が志賀直哉旧居です
オヨヨ島大統領シリーズを夢中になって
読んでいたので二人とも浪人したのは
いうまでもない
高校の現代国語の教科書には志賀直哉の
「正義派」という作品が載っていました
志賀直哉の作品を夢中になっていたら浪人し
なくても良かったかもしれません
たかばたけ茶論
*志賀直哉旧居の隣にあります
春日神社のすぐ南側なので鹿もいますが
凝った土塀や竹垣の高級で景観にあった
家が多くあるところです
小学校から大学まである学校法人です
玄関入って横に受付があり横の階段から
2階に上がるのが順路です
入場料350円
2階は座敷があります
二階の廊下
友人を二階の客間に泊めたりしていました
南側の座敷には文机があります
座敷と文机
この部屋で執筆などをしていたようです
隣の座敷は仏像置いて有ります
志賀直哉が住んでいた時には床の間に仏像が
置いてあったそうです
仏像のある客間
仏像は谷崎潤一郎が購入して直して志賀
直哉に譲られたのだが
志賀直哉は谷崎潤一郎が直した仏像の手足
を仏像修理の専門家の明珍恒男に外して
もらって飾ったらしい
シンプルでオリジナルに近いのが好きなよう
で志賀直哉の文体と同じようです
元の仏像の写真
今は新しい妙見菩薩木像が置かれてます
写真の古い仏像は行方不明になっていたので
すが平成24年に60数年ぶりに早稲田大学内
会津八一博物館に所蔵されていたのが発見
されたそうです
窓から北側の若草山や三笠山が見えます
窓からの風景
左側の禿げている山が若草山で右側が三笠山
です
この景色に感動した小林多喜二は奈良に
引っ越して来たらしい
小林多喜二は蟹工船を書いたプロレタリア
文学の戦旗派で志賀直哉と真逆の題材の
作家です
*左翼雑誌「戦旗」に投稿したから戦旗派です
一階廊下
階下に降りて廊下を行くと家族の生活の場が
あります
お風呂と洗面所
風呂はかなり広いです
ここの縁側で撮った写真がありました
建物は丁寧に修復されていよくぞここまで
残してくれたと奈良学園の関係者には頭が
さがります
縁側
縁側は志賀直哉の息遣いが伝わってきます
志賀直哉は白樺派の小説家です
*白樺という雑誌に投稿したから白樺派です
白樺派はボンボンの小説家ばかりで志賀直哉
ももちろんボンボンです
志賀直哉の写真
写真で見ると眉毛の濃いなかなかの男前です
志賀直哉が初めて原稿料をもらった自伝的
小説「大津順吉」は金持ちのボンボンの
ダメンズ物語です
当時は最下層の貧しい物語を描いた戦記派か
ボンボンのダメンズを描いた白樺派がはやっ
ていたようです
茶室
志賀直哉は生涯に23回も引っ越しをして
います
奈良はよっぽど気にいったのか自分で設計
して京都の数寄屋大工さんに自宅を作って
もらっています
台所と冷蔵庫
時代にガス(プロパンガス)で調理して
とってもモダンで優雅な生活です
間取りを見る限り家族や友人と交流する場所
を大事にしているような家です
ダイニング
子沢山だったのですが、それだけではなくて
友人知人が多くこの家に来ていて楽しんだ
ようです
特にこのダイニングの横のサンルームのよう
な部屋は自然と多くの文人や文化人が集ま
って「高畑サロン」とよばれていました
サンルームから見たダイニング
小説家の小林秀雄や瀧井孝作は志賀直哉
を慕って奈良に移住しています
サンルームは和風ですが天井から外光が
はいるようになっています
サンルームの天井
サンルームは広い庭に面して南側の
太陽が燦燦と降り注ぎます
サンルームから見るお庭
奈良は古くからの寺社文化が長い歴史のなか
で残こりシンプルで珠玉のような価値が
残っている所です
写実の名手で無駄の無いシンプルな文章
を淡々と書いていく志賀直哉が気に入った
ところかもしれません
お庭
昔、小説家を目指す人は志賀直哉の文章を
原稿用紙に書き写す修業をしたほどの
文章の天才と呼ばれていました
ほんまかいな?
と思っていたら文章上達法のあるブログで
他の作家にくらべて志賀直哉の文章は弊害の
少ない真似してもいい作家で原稿用紙で書い
てくださいと書いてありました
さて、志賀直哉の仕事場、書斎は友人たちと
語り合う場所とは反対の北側の池のある庭に
面してあります
原稿用紙に向かって天から降りてくる情景を
文章で書くタイプなので静かな所が良かった
ようで
書斎の机
若い頃は明るすぎると気が散るので机の上
だけ明るい北側の書斎がつくったそうです
年を取って寒々した部屋がいやになって二階
の文机のある部屋で執筆したようで
この書斎は夏だけ使っていたようです
書斎の横の庭
「食ひものはうまい物のないところだ」が
「奈良」という文章に書かれています
*志賀直哉全集第6巻 P342-345奈良
昭和13年1月1日発行の「観光の大和」創刊号
に載せられた文章です
その当時、奈良で著名な文豪志賀直哉
に創刊号の文章を頼んだのでしょうね
関西人なら
「ちょっとは気を使えよ〜!!」
と全員からツッコミ入れられる文章です
壮年の志賀直哉もまだまだ青いね〜!
「奈良の欠点は税金の高い事だ」とも
書いてありました
お口の健康に気を使う人はこちら
↓
たかぼん
志賀直哉旧居HP
http://www.naragakuen.jp/sgnoy/
http://www.naragakuen.jp/sgnoy/
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