脂肪豊胸(コンデンスリッチ)+陥没乳頭修正(片側) 術後3ヵ月半 | 医師の技術教育指導担当 Dr村松@湘南美容クリニック

医師の技術教育指導担当 Dr村松@湘南美容クリニック

湘南美容クリニック新宿本院主任医長兼技術指導医Dr.村松が日々の症例や美容外科に関することを分かりやすく解説します。

本日ご紹介する症例の患者様は20歳代半ばの女性、自然なバストのサイズアップとボリュームの左右差の改善、および右側の陥没乳頭を治したい、とのご希望でした。

 

 

脂肪豊胸術は仕上がりが極めて自然であること、バスト周辺の傷が極めて小さい(注入用のカニューレの挿入口のみ)こと、脂肪採取部に若干の部分痩身効果が得られること、などがメリットとして挙げられます。

 

一方、デメリットとしては、脂肪の定着率に関しては個人差が大きいこと(同じオペをしても2カップ程度サイズアップされる方も居れば0.5カップ程度しか変化しない方もおられます)、しこり形成などのリスクがあること、などが挙げられます。

 

定着率を高めたり、しこり形成などの有害事象を減らすためには①注入する脂肪の処理、②注入方法、いずれも工夫が必要です。

 

①の脂肪の処理に関しては、採取脂肪を濾過して不純物を取り除く、遠心分離にかけて純粋な脂肪を濃縮する、採取脂肪の一部を幹細胞抽出に利用する、など、近年様々な方法が開発され、これに伴い治療成績も徐々に向上してきたという歴史があります。

 

②の注入方法に関しては、定着率を高めたりしこりなどを作らないようにするためには「如何に散らして注入するか」が重要となります。

 

採取した脂肪には血流がないので、注入先の血流のある組織と可能な限り接することが重要です。

 

塊状で注入してしまうと、塊の中心あたりは血流と接することはなく、これがoil cyst(しこり)を形成したり脂肪が壊死、腐敗し重篤な感染に発展する可能性が生じます。

 

ですので皮下浅層、皮下深層、乳腺下層、大胸筋内、大胸筋下など、症例に応じて様々な層に分散して注入しております。

 

また、これらの層のなかにも血流の豊富さに関して差があります。

 

例えば乳腺下層はいわゆる「疎」な組織構造であるため、シリコンバッグ豊胸の際には容易に剝離が可能な乳腺下層に挿入することが多くなります。

 

しかし「疎」な層は血流も同様に疎であると言えます。

 

乳腺下層は脂肪注入の手技も非常に容易であり、ついつい多く注入してしまいがちですが、脂肪豊胸術後にoil cystを形成しているケースのほとんどが乳腺下層です。

 

これは、血流が疎である乳腺下層に脂肪を多く注入してしまうことが主な要因と思われます。

 

ですので、乳腺下層への注入は控えめ(脂肪の総注入量の約25~30%程度まで)にすべきであると考えています。

 

このような分散注入を徹底しているため、私に関しては脂肪豊胸術後に触知しうるようなしこりが生じたケースはこれまでの執刀例において1例も確認出来ておりません。

 

 

今回は脂肪採取にアキーセルを併用したコンデンスリッチ豊胸を行うこととしました。

 

右の陥没乳頭は刺激等でも乳頭が出てこない真性陥没乳頭でしたので修正術を行いました。

 

脂肪注入量はコンデンスリッチファット換算で右340㏄、左280㏄でした。

 

術前→術後3ヵ月です。

 

 

 

左右のボリュームの違いもある程度是正されながら自然なボリュームアップが達成出来ています。

 

患者様はもう少しボリュームが欲しかったということですが、まずまずご満足頂けました。

 

陥没乳頭はさすがにブログに掲載出来ませんのでホームページ内のフォトギャラリーからご確認くださいませ。

 

バスト全体

 

 

 

右陥没乳頭