11月定例会の一般質問では、さざなみ倶楽部から木沢成人議員が登壇しました。
木沢成人議員の一般質問をレポートします。
『議第159号契約の締結につき議決を求めることについて』
(議第159号・・・国宝延暦寺根本中堂および重要文化財延暦寺根本中堂廻廊保存修理工事)
木沢議員
国内における漆の消費量・生産量について、代表的な産地やそのシェアも含めて伺う。
県答弁
国内における漆の消費量、生産量は、令和2年の漆の国内消費量は32.2トンで、中国からの輸入が大部分を占め、国内生産量は6%にあたる2.1トン。国内の代表的な産地は、岩手県が1.5トンで74%、次いで茨城県が0.4トンで18%。この2県で9割以上のシェアを占めている。
木沢議員
国産漆と外国産漆の品質の違いと国産漆を使用する意義について伺う。
県答弁
技能者の間では、外国産漆と日本産漆とは性質が異なり、施工後の仕上がりや耐久性に違いが生じるとの見方もあるが、そのような品質の違いは定まった評価は存在しないと聞いている。一方、国産漆を使用する意義は、文化財建造物の保存修理は、建てられた時代と同じ材料、同じ技法を用いることが原則とされ、今回の工事でもこの原則に基づき国産漆を使った。これにより、文化財建造物の本来の姿を多くの方に見ていただき、その保存と活用を図るとともに、我が国の伝統技法の保存そして継承に繋げていきたい。
木沢議員
ウルシ栽培にチャレンジすることについて伺う。
県答弁
本県でもかつては農山村地域で生産が行われていたが、漆器需要や職人の減少から技術が途絶え、生産者はいなくなってしまった。岩手県をはじめ各地で効率的な栽培技術等の研究も始まり、国産漆の生産量は増加してきており、京都府も途絶えかけていた丹波漆(たんばうるし)を復活させる取組が始まったと伺っている。県では、山村地域に埋もれている資源を発掘し、活用を図ることで、農山村の活性化を目指すやまの健康の取組を進めている。今後は、ウルシも森林資源の一つと捉えて、先進地も参考に活用等の可能性を探りたい。
木沢議員
先進地である岩手県のウルシ生産の基盤をつくったのが近江商人である。そのような縁もあることから、岩手県から講師を招き、一度ウルシの関係者が集まる勉強会などを企画してはどうか。
県答弁
岩手県盛岡市には、近江商人渡来の地の石碑が北上川のほとりにあり、高島から行かれた近江商人がさまざまな取組をされたと。このウルシの生産、ウルシを掻きながら、漆器や仏具仏壇、さらには文化財の修理にあてていくことは、中々可能性があると感じた。早速行くか、連絡をとって来てもらうかを、至急考えていきます。
木沢議員
関西広域連合で、文化財の保存修理とその活用、そのための物的・人的資源の確保・育成について、知事主導で議論を進めることについて所見を伺う。
県答弁
本県では、奈良県と人事交流などを通じて職員の育成や技術継承を図るなどで近隣府県との交流し、関西広域連合主催の古墳サミットを開催するなど、連携を図ってきた。今後もこのような取組を充実させたい。一方、保存修理に必要な資材には調達が困難なものも多く、文化庁では、関西広域連合の各構成府県をはじめ、全国各地に供給林・研修林となる「ふるさと文化財の森」を設定し、資材の安定的な確保に向け森の整備支援や資材採取の技術研修などが行われている。文化庁はもとより、関西広域連合全体で連携・協力し、必要となる資材の確保や技能者の育成を進めるのは、大きな意義があると考えている。今後、関西広域連合で文化財の保存と活用のあり方なども含め、文化財の宝庫である関西ならではの取組ができないか、幅広く可能性を探りたい。